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2010/08/26

ミレニアム3/眠れる女と狂卓の騎士

スウェーデン産『ミレニアム』の衝撃もこの第3弾が最終章。どうも作者スティーグ・ラーソンの脳内では5部作くらいの世界観が広がっていたらしいのだが、残念ながら彼は第1作目の世界的大ヒットも知らぬまま2004年に急逝している。死後、彼のパソコンの中に未完成の『ミレニアム4』が残されていた、なんていう逸話も聞こえてくるが、真相は定かではないし、権利の問題が複雑すぎて作品化はまだ当分のあいだ叶わないだろう。

Millenium_3_2 
さて、『眠れる女と狂卓の騎士』である。『ミレニアム/ドラゴン・タトゥーの女』→『ミレニアム2/火と戯れる女』と猪突猛進を続けてきたシリーズは最終章で更なる政府系秘密組織の存在を知ることになる。戦後のスウェーデン社会において公安警察と連携して諜報活動を行ってきたこの組織。『ミレニアム2』で明るみになった真実はまさに彼らの存在を危うくするものだった。すかさずお歴々が顔を合わせ、いかに事の収拾にあたるかについて協議がはじまる。一連の事件の真相解明に奔走する雑誌「ミレニアム」の面々も次々に生命の危険にさらされる。そして全ての謎の中心ともいうべきリスベットには、かつて幼かった彼女を陥れた精神病院長の魔の手が延びる。。。

さあ、この決着、どうしてくれんだ?とスクリーンにのめりこんだ。ラストを飾るのは壮絶な銃撃戦?それとも血なまぐさい報復合戦?いやいや驚くべきことに、本作が選んだ最後の趣向は、この手のジャンルとしてはあまりにオーソドックスな“法廷劇”だった。これがまた挑発的というか、確信犯的というか。いちばんオーソドックスながら、その実、もっとも過激な言葉の応酬が地肌にビリビリと伝わってくる。

また、リスベットのスタイルの変化にも目を奪われる。1作目ではショート・ヘア&無表情で宇宙人的な凄味を漂わせていた彼女は、2作目でややロング・ヘア&人間の感情を覚え始めたやや不安げな表情となり、この3作目ではついにぶっ飛んだ最終形態を獲得する。まるで超サイヤ人、いやあれはまさに実写版フリーザだ。

そして1作目で終始離れずに共闘したミカエルとリスベットが、2作目&3作目ではほとんど顔を合わせないのも大きなポイント。彼らの関係性の行方にも注目してほしい。ああ、でもこれでついに終わりなのか。こんなにも鋭利でグサッとくる過激ミステリーはもうしばらく現れないだろう。なお、デヴィッド・フィンチャーが監督を務め、007のダニエル・クレイグがミカエル役、ルーニー・マーラがリスベット役を演じる米リメイク版は2011年12月21日に全米公開。

ミレニアム/ドラゴン・タトゥーの女
ミレニアム2/火と戯れる女
ミレニアム3/眠れる女と狂卓の騎士


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