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2010/09/19

ヴェネツィア映画祭の更なる余波

クエンティン・タランティーノ率いる審査委員団がソフィア・コッポラの"Somewhere"を最高賞=金獅子賞に指名して幕を閉じたヴェネツィア国際映画祭。

タランティーノの元恋人ソフィアの受賞のみならず、長年の友人アレックス・デ・ラ・イグレシア監督(スペイン)やタランティーノの師匠筋にもあたる伝説のBムービー監督モンテ・ヘルマン(アメリカ)の受賞など、その発表直後から「身内びいきだ!」として批判が続出していたが、ここにきてイタリア文化相サンドロ・ボンディまでもが雑誌"Panorama"の取材にて審査結果を批判し、どれほど本気なのか分からないが「次回は私が審査委員長を選びたい」と発言する事態にまで発展している。イタリア政府は本映画祭の予算1200万ユーロのうち700万ユーロを拠出しており、文化相に言わせれば「それくらいの権利はある」と言いたいところなのだろう。

また、あまりにストレートすぎるこの発言に対しても「政府が関与するとなると映画祭の中立性を損なう」「そんなこと、どこの国でもやってない」「イタリア映画が受賞できなかった腹いせだ」と批判する声が少なくない。

67年に及ぶ長い歴史によって育まれ、いまや世界3大映画祭のひとつに数えられる祭典ではあるが、一時期はムッソリーニ政権下におけるファシズム色が暗い影を落としたこともあるゆえ、文化相の発言はさすがにまずかったかなと思われる。

が、一方で、彼の「タランティーノ氏は人々や伝統の機微といった、いまや洗練とは程遠く時代遅れともされるものに対して全く関心を払っていない。そういう(偏った)ビジョンが彼の審査基準に大きな影響を及ぼしている」(Panorama)という指摘は納得できる部分もある。

これと対になる要素として、カンヌ映画祭で審査委員長を務めたティム・バートンの言葉が思い出される。彼は自作と同じ超常的な題材を扱いながらも全く別アプローチを踏んだ『ブンミおじさん」を最高賞に選出し、総評としてこう述べたのだった。

「この映画祭を通じて、自分とは全く異なる物の見方が存在することに深く気づかされました」

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