« トロント閉幕 | トップページ | 巨匠の息子、英国史の暗部に迫る »

2010/09/21

伝説監督の一作、解禁

伝説のインド人監督として知られ、1992年に没した後もなお多くの観客を魅了しつづけるサタジット・レイ。そんな彼の手掛けた作品群の中にはインド国内で長らく上映禁止の憂き目にあってきたものもある。"Sikkim"と呼ばれるドキュメンタリーがそれにあたる。そしてこのたび、インド政府によって本作の禁が解かれたことがサタジット・レイの遺族によって明かされた。

Satyajit_ray_2
BBCがその詳細を伝えている。

そもそも"Sikkim"という作品は、今から40年前、レイが当時ヒマラヤに存立していたシッキム王国の王様の依頼を受けて観光PR目的で製作されたものだった。しかしその完成作を目の当たりにした王とお妃は大変驚き、不快感をあらわにしたという。それはレイがこの王国の美しさと共に、王宮の裏側で貧しい人々が食べ残しを奪い合う陰の情景さえもが刻印されていたから。王はレイにこれらの場面をカットして作りなおすように命じたという。

だが、その後ようやくレイが作品を手掛け終えようという頃、情勢は大きく変わっていた。1975年、インド軍がシッキム王国に侵攻し、この地を併合してしまったのだ。そして併合直後のデリケートな地域情勢ゆえ、インド政府はシッキム民の反応を警戒して本作"Sikkim"に上映禁止処分を言い渡してしまった。サタジット・レイの長男サンディップによると、その後はごく限られた私的上映を除いてはインド国内で人々の目に触れる機会は一度も無かったという。

そこにきて、今回の解禁である。併合から35年後、ようやく歴史のほとぼりが冷めたということになる。

現在、世界で残存の確認されている本作のプリントはアメリカとイギリスに1点ずつ。解禁後初となる上映がいつになるかまだ定かではないが、これに触れたことのある巨匠や研究者たちが軒並み絶賛を表明していることからも、多くの映画人や映画ファンにとって待ち焦がれた瞬間となることだろう。

この記事が参考になりましたら、クリックのほどお願い致します。

TOP】【レビュー】【TWITTER

|

« トロント閉幕 | トップページ | 巨匠の息子、英国史の暗部に迫る »

NEWS」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/137483/49515104

この記事へのトラックバック一覧です: 伝説監督の一作、解禁:

« トロント閉幕 | トップページ | 巨匠の息子、英国史の暗部に迫る »