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2010/09/07

全米夏興行レビュー

全米映画業界でサマーシーズンといえば、「5月の最初の週末」から「レイバー・デイ(労働者の日)」までを指す。つまり9月6日(月曜日)をもってそれが終了したことになる。年間興行収入の実に40%を占めると言われるこの時期、果たして今年はどのような傾向にあったのだろうか。

まず、Hollywood.comの調べによると、興行収入的には昨夏に比べ2%上昇。しかし、もちろんこの上昇分は3D料金がもたらしたもので、総観客数的に見ると逆に昨年よりも3%下落しており、その数は1997年以降のどの夏興行に比べても劣っているという。

思い出せば、まだリーマン・ショックの影響が強かった昨夏、テレビの海外ニュースでは「多額の出費を惜しんだ消費者が、旅行よりも比較的安価で済ませられる映画に足を運んでいる」との報が伝えられていた。結果的に昨夏の映画興行は前年比5%アップを記録。これは映画業界にとって「不況が呼び込んだ特需」と呼ばれた。また消費者側の3D作品への物珍しさも健在だった。

今年はその真価が問われる年だ。観客側も3Dには様々なタイプがあり、重要なのは目新しさではなく作品全体の質の高さであることにとっくに気がついている。

今夏の最高興収を記録したのは『トイ・ストーリー3』。これを含め今夏は7本の3D作品が封切られたが、結果、売り上げTOP10にランクインしたのは4本のみ。『キャッツ&ドッグス2』"Step Up 3D""Piranha3D"は共にヒットに至らず撃沈した。まあ、『エアベンダー』もギリギリ滑り込んだ観が否めないが。

逆に3Dの特色を位置付けたのは『怪盗グル―の月泥棒』だった。公開当初、3Dスクリーンの多くを『トイ・ストーリー3』や『エアベンダー』に奪われながら、映画本来の面白さで子供たちを魅了し、結果的に3Dスクリーンからの興収は全体の4割にとどまったという(残りはすべて2D版からだった)。

また2D映画では、続編やリメイクでなく“オリジナル”な創造性を見せつけた『インセプション』の大ヒットや、今夏最大のサプライズヒット『ベスト・キッド』の存在も大きい。

また、アメリカ国内で期待ハズレに終わった作品が海外興行の盛り上がりで大いに助けられるというケースも多数見受けられた。『プリンス・オブ・ペルシャ』『SATC2』『ナイト&デイ』『ロビン・フッド』はその典型。中でもトム・クルーズ株の米国内における暴落は著しく、それが海外では未だにいくらかの信用度を保持していることも証明された。

幾多もの不安材料を抱えながらも、全米興行収入はこれまでのところ史上最高のペースを爆走中。秋~冬には『ハリー・ポッター』や『トロン・レガシー』なども控えるが、さて懸案の客足を取り戻すことはできるのか?

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