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2010/10/10

ゴズリング&ウィリアムズ共演、高評価の夫婦ドラマに厳しいレイティング?

映画業界で恐れられるMPAAのレイティング。これによって岐路に立たされてきた映画は数知れず。

そしてこのたびライアン・ゴズリング&ミシェル・ウィリアムズ共演の"Blue Valentine"に"NC-17(No Children under17)"が付与される可能性が浮上しているという。本作は崩壊間近の夫婦がもう一度かつての輝きを取り戻そうとする人間ドラマだ。

同作をサンダンス映画祭での上映後に買い付けたワインスタイン・カンパニーは、その後、若干の編集を施してカンヌとトロントに本作を出品。本作でのゴズリング&ウィリアムズの演技は一部で「アカデミー賞の演技部門でノミネートの可能性あり」とまで評価されており、12月末公開に向けた今後のワインスタイン・カンパニーの動向に注目が集まっている。

Blue_valentine

“NC-17”とはつまり18歳未満は観賞禁止。これを受けると、①製作サイドはこの称号を甘んじて受けとめるか、②編集しなおして再審査を申請するか、あるいは③このレイティングを拒否して“レイティング無し”の状態でMPAAに未加盟の劇場(ごく限られた数しか存在しない)での公開を決めるのか、その苦渋の決断を迫られることとなる。

ちなみ劇場公開時に“レイティング無し”の場合、その後のDVDリリースやテレビ放映、ネット配信の際、アウトプットの形態ごとに様々な手続き上の問題が発生する可能性がある。

また、これらのレイティングは未成年のみならず、大人が観賞する際の基準となることも忘れてはならない。それはアカデミー賞などが絡んでくると表現と芸術とをめぐる多様な議論となって複雑さを増していく。

The Hollywood Reporterによると、1990年に"NC-17"が導入されて以来、このレイティングを受けながらオスカー候補になった作品はフィリップ・カウフマン監督作"Henry and June"(撮影賞候補) 1作のみ。

一方、『ボーイズ・ドント・クライ』は一時"NC-17"の判定を受けながらも、その後の編集によって基準を"R"にまで引き下げ、ヒラリー・スワンクに主演女優賞をもたらした。

対するダーレン・アロノフスキー監督作『レクイエム・フォー・ドリーム』はMPAAによって下された"NC-17"指定を不服として、“レイティング無し”の状態でごく限られた劇場にて公開。作品にとってかなりハンディのかかった立場に追い込まれたが、それでもなお作品の高評価は持続し、オスカーは獲れないまでも、エレン・バースティンが主演女優賞候補入りを果たした。

ただし歴史を"NC-17"以前にまでさかのぼると話は違う。それがまだ"X"という基準で呼ばれていた1969年、この烙印を押された『真夜中のカウボーイ』はフタを開けてみると見事その年のオスカー(作品賞)を受賞。

社会の基準はその時代その時代によって大きく変わる。1971年に『真夜中のカウボーイ』がリバイバル公開された際、そのレイティングは"X"から"R"へと変わった。社会が変わったのか、あるいはMPAAの審査基準が曖昧なのか。この点はいくら議論しても尽きることの無い、永遠のグレー・ゾーンである。

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