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2010/10/03

ナイト&デイ

最初に断わっておくと、『ナイト&デイ』は世間で言われているほど酷い作品ではないどころか、トム・クルーズもキャメロン・ディアズもなかなか頑張っているし、超日常へのいざない方も、アクションの魅せ方も上手い。全米興行における不人気ぶりはひとえに数年前の「オプラ・フィンフリー・ショー」でのトムの奇行が彼に関するイメージを180度変えてしまったこと、それにこれまで王者を誇っていた者が足をすくわれる様子は恰好のマスコミの餌食となりがちなことに起因する。

Knight
空港で初めて出逢った男と女。女は「やった!素敵な偶然!」と浮足立つが、男にとってこれはすべて計算づくだった。彼は「オプラ・フィンフリー・ショー」さながらの奇行でもって事あるごとに彼女の前に姿を現し、ふたりに次々と襲い来る屈強な男たちを粉砕してはまたどこかへ去っていく。どうやら彼は、敵対する組織から天才青年の発明品を守っているらしいのだが。。。

つまり、ヒロインが“自称エージェント”の男にいいように翻弄され、東欧にまで連れまわされた挙げく、その終着地で本当の自分みつけた!という強引なプロット。おい!これは80年代か!?

そう、どこか80年代風なのである。しかも本作を見ていると、その80年代テイストの噴出と征圧によって、映画が予想外の内的世界を醸成していっているようにも感じられるのだ。

そもそもトム&キャメロンの美形も年齢には勝てないもので、本作でスクリーンいっぱいに映し出される顔面には時折シワが目立つ。ふたりとも10代、20代のピチピチした若手には到底かなわない域に達しており、これはメイクで隠すこともできたのだろうが、かなり意図的に露わにされている。それゆえ彼らが懸命にはしゃぎまわる姿は、まるで80年代、90年代に失ったものを必死に取り戻そうとしているようにも見える。

それを裏付けるかのように、二人は冒頭からして80年代風のオーバーアクションにて出逢いを果たし、ロマンティックな会話、雰囲気がわざとらしいくらい盛り上がりを見せ、ふとバックでは勢い余ってダリル&オーツの曲なんかが流れたしちゃったりもする。そしてこのムーディーな針がいよいよ振り切れようかという矢先、急転直下、雰囲気一転、まるでその懐古主義の針を揺り戻そうとするかのように、妖精ならぬ、屈強な武装勢力が銃を打ちならし襲いかかってくるわけである。

まさに80年代臭の肯定と反発。ノスタルジーの醸成と征圧。

『ナイト&デイ』はその2大要素の掛け合いによって相互作用するアドベンチャーだ。またそれによって化学反応を増して膨張していくものこそ、彼らが世界を股にかけて守り抜こうとする“無限大エネルギー”の正体なのではないか。少なくとも僕にはそう読みとれた。

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『ナイト&デイ』の監督は『3時10分、決断のとき』が高評価を獲得したジェームズ・マンゴールド。この人の作品、演出にハズレなし、かも。

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