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2010/11/23

東京フィルメックス開催中

現在、東京ではアジアを中心に作家主義の作品を数多く集めた第11回東京フィルメックスを開催中。

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画像の真ん中は『アンチ・ガス・スキン』(韓国)のキム・ソン監督です。この映画がまた凄かった。ガスマスクを被った殺人鬼が街の人々を恐怖のどん底に陥れる中、顔に毛が生えた少女、ソウル市長候補、スーパーマンになりたいカンフー馬鹿、米軍兵士といった4人の主人公たちがそれぞれに激しいパラノイアに蝕まれていく。コメディとホラー、どちらに転ぶのか分からない不可思議さを持った作品。

正直、ラストの暴走には着いていけなかったけれど、そういう観客の好みが大きく分かれるところこそ、実は監督の大切な想いや自我が埋め込まれたポイントだったりもするわけで、映画祭のお客さんたちもそういう作家主義の特性を充分理解されているご様子。その後のQ&Aではお客さんの問いかけによって作品に込められた監督の意図が次々と明らかになり、ベールが一枚一枚と剥がされていくのを感じた。

これぞDVD観賞などでは得られない、真の意味でのライブ体験。どんな映画も最終的にはゲストと観客のコール&レスポンスによって完成形へと変化を遂げていくのだ。

<追記>
『アンチ・ガス・スキン』Q&Aの模様を知りたいというメールを幾つか頂きましたので、ちょっと時間がなくて取材レコーダーのデータを文字起こしすることはできないのですが、ノートにメモしたことを記載しておきます。

●本日は私のこの面白くもない映画をご覧いただきありがとうございます。本作は韓国の歴史や文化などが盛り込まれており日本の皆さんに伝わりにくいところがあるかもしれません。この映画を作るにあたり、皆が避けたがる政治的、宗教的、家族的、性的な問題をできるだけ精力的に盛り込みたいと考えました。そしてその中心にあるひとつの憎悪として「ガスマスクを被った殺人鬼」を据えました。私はこの映画で「憎悪とはあまりにも対象がない、あるいは対象があまりに広大すぎて特定することが困難だ」ということが言いたかった。

●本作に登場する市長候補は実在の人物をモデルにしている。言葉づかいなどで分かる人には分かる。これは私自身のハンナラ党に対する抗議の意味が含まれています。彼らはまだ観ていないので、この先どうなるか心配です。

●まず最初に着想したのが、ガスマスクを被った殺人鬼という絵だった。そこから出発して、本当にそんな者は存在するのか、本当はいないのではないか。また、裏を返せば、実はたくさんいるのではないか、といった二律背反を描きたかった。

●タイトルの「スキン」については「肌は様々なものを吸収し、そして排出する」といったイメージから用いた。肌にはたくさんの毛穴が存在するというのも、さきほどからの「実はたくさんいる/いない」の象徴。中盤に宗教者が「穴!穴!」と連呼するのもここに通じる。「ラストの白いケムリはどこから?」と問われれば、あらゆる毛穴から噴き出してきた、と応えることもできるかもしれない。

●毛むくじゃらの少女は、自分がケダモノのような存在だと思いこみ、自分は死ぬべきだと考えている。父親への復讐のために、自分を追いこんでいくという方向性をたどる。彼女の抱えているものはすべて妄想かもしれないが、それはもしかすると韓国人がひそかにかかえているものかもしれない。

●屠畜場が登場するが、あれは米国との間で起こった牛肉問題を象徴するもの。他にも米軍の問題、ハンナラ党への怒りなど、そういうものについての想いが込められている。

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