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2011/01/23

女優たちの宴(MyFFF)

フランス発オンライン映画祭「マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル」のコンペティション作品「Le Bal des actrices(女優たちの宴) 」を観た。

Lebaldesactrices_2これは虚構?それとも事実?薄膜一枚で隔てられたその境界線をカメラは巧みに横断し、実名登場する女優達の観たこともないような表情を映し取っていく。この作品にジャンルを与えるとするならば、「フェイク・ドキュメンタリー・ミュージカル」ということになるのだろうか。

話の発端は女優としても知られるマイウェン・ル・ベスコの一言だった。「新しい企画を思いついた!女優達の素顔に迫りつつ、なおかつミュージカルでもあるの!」 すぐにはピンとこない発想だ。同席したプロデューサーも要領を得ず、「うーん、どうかな…」と嗜める。しかし次のシーンからすでに彼女はハンディカメラを手に持ち、女優達に対して「情熱大陸」顔負けの密着取材を敢行している。

監督にダメだしされる女優、オーディションで落とされる女優、活躍の舞台をハリウッドへ移すべく英会話に磨きをかける女優(それでも結果はボロボロなのだが)、役づくりに触発されて母性が芽生え始める女優、全部嫌になってインドに行っちゃう女優…。彼女たちはそれぞれに思う。もしあのとき違う選択をしていれば…自分の性格がもっと違っていれば…あ、忘れてた、美顔注射の予約をしなくっちゃ…なにさ!あのキャスティング・ディレクター!この仕打ちはあんまりだわ!ここまで言われなきゃならないの?私にとって演じることって何…?私はどこに向かいたいの?なんになりたいの…?

女優らがそれぞれに素顔をさらし始めた途端、ミュージカルシーンが幕を開ける。歌と踊りに載せて彼女たちの心の奥底にある隠された想いが吐露される。つまり本作はドキュメンタリーという超客観の手法からミュージカルという超主観の手法まで、その両極端の領域をカメラが果敢に行き来するという大実験作でもあるわけだ。このジャンルの壁をぶち破るエネルギーに魅了される。

そしていつしか、カメラを構えるマイウェンも夫にこう告げられる。「なあ、君は女優だろ?自宅を空けっぱなしじゃなく、ちゃんと子供と一緒に過ごせる時間を作ってくれ。そういう母親役も演じられるはずだよ」。ガーン!

実はこの映画、マイウェン・ル・ベスコ自身が全体の監督をも務めている。カメラのあちら側とこちら側、虚実両方において監督を担っているという究極の二重構造。これは自分に相当自信がないと成しえない技だ。女優業以上に自らをさらけ出す勇気がなければこんな大胆な所業は成し遂げられない。その熱意と表現欲求を讃えたい。

●本作はmy French Film Festival開催期間中、こちらのページより有料視聴できます。

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