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2011/01/30

さよならゲーリー(MyFFF)

フランス発オンライン映画祭「マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル」のコンペティション作品「Adieu Gary(さよならゲーリー)」を観た。

Adieuジャン・ピエール・バクリ主演の温かくも微笑ましいヒューマン・ドラマ。経済を支えていた工場が閉鎖され、もはや“終わってしまった”に等しい街に、服役を果たした息子が帰ってくる。 長い長いトンネルを抜けて光が見えると、そこがまさにその故郷だった。彼は長年工場で働いてきた父(バクリ)とそっくりなプライド持ちで、新しく職を探そうにも一向になじめない。

一方、男やもめの父は父で、近所に住む女性と愛を育み、彼女の一人息子が自分のことをどう想ってるのか皆目分からずに頭を悩ませている。彼女の夫はかつてゲーリー・クーパーに似ていると言われたが、いつしか愛人とこの街を去った。残された一人息子はいつ帰ってくるかも知れない父を待ちわび、今日もひたすらゲーリー・クーパーの出演作を見続ける。

登場するキャラクターはそれぞれに切迫した想いを抱えている。が、それがストレートに画面を席巻することはなく、常に慈愛に満ちたまなざしのどこかから注がれているのを感じる。この輝きを何と呼ぼうか。

確かにこの街は終わっているが、それぞれに人生はつづいていく。いや、続いていかねばならない。ふとアパートの脇を轟音たてた列車が通り過ぎる。なるほど、ここは恐らくそれぞれの途中下車の街ではあっても、決して人生の終着駅ではないのだ。登場人物の誰もがそのことに気づき、再び人生を歩きだそうとする。またそれを祝福するかのように、本作のクライマックスでは腹の底から湧きあがるような街の鼓動が辺り一帯に鳴り響く。このとてつもなくマジカルでパワフルな幕切れ。なんという映画的顛末。ささやかではあるが、そういう瞬間に立ち会えたことが無性に嬉しくなる、思わずこの映画のことを人に話したくなる佳作だった。

●本作はmy French Film Festival開催期間中、こちらのページより有料視聴できます。

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