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2011/02/18

ポスルスウェイトの追悼式

今年の初頭に癌のため64歳で亡くなった名優ピート・ポスルスウェイトの追悼式がロンドンで行われ、ケヴィン・スペイシー、ダニエル・デイ=ルイス、ジュリー・ウォルターズらが参列し故人を偲んだ。

スピーチに立ったデイ=ルイスは、古巣オールド・ヴィック・シアター・スクールで始まるポスルスウェイトとの交流について「彼の下で過ごした修業時代は私にとってかけがえのない財産です」と振り返った。この頃、彼は舞台に立つポスルスウェイトの演技の虜となっていたそうで、今をときめくデイ=ルイスのプロとしての初仕事はポスルスウェイトの代役だったと言われている。これらの縁もあり、後に『父に祈りを』(93年)の父親役をキャスティングする際に、すでに主演に決まっていたデイ=ルイスは真っ先にポスルスウェイトの名を提案したという。

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『父に祈りを』では父子の役を演じる二人だが、実際には10歳ほどしか離れていない。というかポスルスウェイト自身、90年代から最新作にして最後の作品となった『ザ・タウン』に至るまで、ほとんど印象が変わっていないことにも驚かされる。

この日の式典では『ブラス!』(96年)に登場する炭工夫たちのブラス・バンドのモデルとなったグリムソープ・コリアリー・バンドが「ダニー・ボーイ」を演奏する一幕も。本作の中でポスルスウェイトは楽団のリーダー兼コンダクターを務めている。

Brass
スピルバーグをして「同時代で最高の役者のひとり」と言わしめたピート・ポスルスウェイト。決してスクリーンで主演を張れるような二枚目の役者ではなかったかもしれない。だが彼のような名バイ・プレイヤーがふとこの世からいなくなってしまうと、心の中にポッカリと穴が空いたように寂しさが募って止まらなくなる。それは昔、僕が「映画祭にピート・ポスルスウェイトが来る!」と浮足立って渋谷の会場に長時間並んだものの、実際にはその日の来場が知らぬ間にキャンセルとなっており、肝心の彼は翌日の舞台挨拶に登場・・・などといったインターネットが充分に普及する以前の“行き当たりばったり”な悔悟を未だに引きずっているせいかもしれない(多分、彼の来日はあれ一度きりだったと思う)。

昨年、『インセプション』では病床の父親役としてほぼ寝たきりの演技を披露した彼(あの頃は既に病魔と闘っていたのだろう。寝たままだったのはクリストファー・ノーランの配慮か。しかし実際には寝たきりの演技は意外と体力を使うのだ)。そして最後の作品はベン・アフレック監督作『ザ・タウン』となった。

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この映画での役柄は花屋さん。ほら、バラを手にして、気のいいおじさんぶりを披露・・・と思っていたら、いきなり豹変。「オマエ、殺したろか!?」と鬼気迫る勢いで啖呵を切る。このギャップに仰け反った。このときはもうかなり痩せ細ってはいたものの、ベン・アフレック監督は最後の最後で、役者としての彼の素晴らしい怪演を抽出してくれた。まだご覧になっていない方はぜひスクリーンで。この映画は日本であまりヒットしていないかもしれないが、アカデミー賞作品賞候補にあと一歩のところで入閣の叶わなかった、しかし疑いようのない傑作です。

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でも最後はやっぱり元気な舞台写真のスチールで。
そしてもう一度、あらためて、"Rest in Peace."
 

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