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2011/04/21

有名映画人23名による公開書簡

アメリカで木曜日より開始となるDirecTVのプレミアムVODサービス。これは劇場公開後60日足らずの新作映画が$29.99という価格で視聴世帯に配信されるというものだが、昨日もお伝えしたようにこのシステムが劇場オーナーたちの大きな反感を買い、いま現在アメリカの映画業界は揺れに揺れている。

そしてこの騒ぎにアメリカの有名映画監督&プロデューサーも黙ってはおられず、ついに参戦。同サービスやスタジオ側の対応に懸念を持つ23名がスタジオ・オーナーに対し公開書簡を送りつけた。

そこに名を連ねたのは、マイケル・ベイ、キャスリン・ビグロウ、ジェームズ・キャメロン、ギレルモ・デル・トロ、ローランド・エメリッヒ、アントワン・フークワ、ピーター・ジャクソン、ショーン・レヴィ、ジョン・ランド―、ビル・メカニック、トッド・フィリップス、ブレット・ラトナー、ロバート・ロドリゲス、アダム・シャンクマン、ゴア・ヴァ―ビンスキー、ロバート・ゼメキスなど、とにかくスタジオ側も決して無視はできない大物ばかり。

文書を要約すると、

「映画業界は昨年、320億ドルもの劇場チケット売り上げを記録している。現段階において新作映画が劇場で独占上映される期間(ウィンドウ)は平均して132日。この期間を侵食することは映画産業の経済モデルを妨げるものであることをスタジオとケーブルテレビ会社に認識してもらいたい」

「たしかに昨今DVDの売り上げが落ち込んではいるが、かといって劇場上映期間を短期化することは何の解決にもならないどころか、業界内での共食いに陥ってしまうだろう」

「我々は話し合いの場を求める。そこでこの新サービスが既存の映画業界にいかなる影響を及ぼすのか、そのスタジオ側の見通しをきちんと説明してもらいたい。それが実施されるまでは、映画ファンらがこれまで通り劇場で楽しめるのに最も適した既存の上映システムを荒らさないでいただきたい」

などといったことが書かれている。

劇場主のみならず、多くの映画人たちが「これは始まりに過ぎない」と感じている。つまり「劇場公開60日後」という期間は後々さらに短縮され、いつしか「30日」になるだろう、と。ユーザーが$29.99が高過ぎると結論付けた場合にはこれがもっとディスカウントされる可能性も無いとは言い切れない。

ただし映画館がなくなるってことは現実的に言ってあり得ない。なぜならスタジオの収益の大部分は劇場興収に支えられているからだ。これがテレビ配信のみになると巨額の予算を必要とするブロックバスター系映画の採算が取れなくなり、すべてがテレビドラマと近似化してしまうだろう。これではますます共食いになってしまう。もっとも回避すべき方向性だ。

結局のところ、スタジオ側は新作公開後、その効力が切れないうちに先手を打って次のサービスを滑り込ませたいのだ。劇場興収においてある程度の金額を回収したのち、人々の頭の中にその映画の予告編や宣伝が刻み込まれているうちに次なる波を巻き起こしたい。それが今回のプレミアムVOD登場の経緯だ。

様々な想いがうごめくアメリカ映画業界。2011年の米興収は昨年を大きく下回っている。3Dの登場で映画料金は上がり、逆に観賞者数は減っているという現実。消費者の生活様式の変容。映画が持ちうるステイタスの変動。さて、これらは懸案の流れにどう影響するだろうか。

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