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2011/06/06

【レビュー】ハングオーバー2

こちとら先週、高校時代の親友をひとり送り出したばかりだ。あいつら3人組とまったく同じ心境、心情。それゆえたしかに多少のひいき目はあったかもしれない。しかし、それにしても欧米のレビューはこの映画について辛口だ。一方、これに反して劇場に詰めかけた観客の満足度ときたら、これがなかなか好調のよう。正直、ざまあみろと思う。世に批評家と呼ばれる人間は数多くいれど、コメディを評論する人間の「自分は笑いとは何たるかを知っております。ええ、私の笑点こそ、世界の笑いにおける唯一の標準値に相違ございません」という語り口にはウンザリなのだ。もう世界にいる何十億の人々それぞれが、それぞれの感性に任せて、好きな時に笑えば、それでいいじゃん!

と、このように多少取り乱した気持ちにもさせるのも、披露宴後の酒がなかなか抜けないせいだ。その勢いでこれを書いている。こんな気持ちに浸れるのは今しかない。逃すな。このシンクロニシティこそ『ハングオーバー2』の魅力なのだった。

Hangover
本作には独身仲間をひとり送り出す祝福と寂寥が渦巻く。このビミョーな気持ちは口にすると変な誤解を招くし、かといってなかなか埋められるものではない。だから俺たちゃ酒に走る。それで軽々と境界線を越えてしまう。そして気がつくと、ブラッドリー・クーパーが前回とほぼ同じ携帯電話でのセリフ、いや、そのグレードアップ版を口にしている。

「もう・・・最悪だよ…この前以上だ」

失われた記憶の奪還。それはかつてはサスペンスやミステリーで用いられてきた手法だった。ある者は全く同じプロットでサスペンスに振りきれて『アンノウン』を作り、トッド・フィリップス監督とその仲間たちはコメディの大草原で『ハングオーバー』の大合唱を奏でてみせるのだ。

そうして培われた糞爆弾のごときストーリーが今回はバンコクにて炸裂。闇の濃い、タブー知らずのこのテリトリーで、まさに『男はつらいよ』的なまでに要所要所をパターン化することで展開と終着地をあえてわかりやすくした、酔いどれどもの宴が爆走をはじめる。

前作の赤ん坊やショウガールはそっくりそのまま別要素へと置き換えられ、謎の中国人ミスター・チャウはもちろん、今回は『サイドウェイ』のポール・ジアマッティまで顔を出す。焦燥感は2倍、モザイク度は4倍、キャラの相性&コンビネーションは5倍。とりわけザック・ガリファナキスのコメディ・リリーフぶりときたら、行動は奇天烈なのに目だけは常に据わっていて、ポコンと飛び出したお腹も、まさにそこにあるべくして存在するカオスのようで安定感たっぷり。その安定が無性に心地悪い。

メガネ男も今回は自分の祝宴ということでメインを張る。ブラッドリー・クーパーは相変わらず無意味にイケメンだ。それ以上でもそれ以下でもない。かつて『ゴースト・バスターズ』で築かれたデブ、メガネ、崩れイケメン(ビル・マーレイは決してイケメンではなかったが)のトライアングルが、ここでもいくらか踏襲されているかのよう。そんな彼らが以前から知る友人たちみたく妙に馴れ馴れしく、あちら側から心の内側へと滑り込んでくる。

そうやって考えていると、この続編に組み込まれた“パターン”こそ儀式の象徴のように思えてきた。彼らは独身最後の数時間をあえていったん忘却し、それを後から必死に取り戻そうとすることによって、逆に生涯忘れることのない記念碑的瞬間を掘り起こす。彼らにとって、まさに結婚式の表裏一体ともいうべき無軌道きわまりない儀式。すなわち忘却&奪還。バカ騒ぎのうちにこうした人生の通過点がさりげなく描かれるのも、本作の魅力なのだろう。

きっと近いうちに3度目も必ずやってくる。そして苦難を乗り越えるごとに彼らの友情は強度を増す。その純度がホンモノでありさえすれば、このパターン化は『寅さん』的に息長くつづく映画シリーズとして、あるいはテレビドラマ化としても進化、存続することが可能なのだろう。

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