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2011/07/06

ハリポタ子役はなぜ順調に育ったのか?

Herry1 映画版『ハリー・ポッター』シリーズがその10年に及ぶ歳月に幕を下ろそうとしている。

製作開始時に10歳そこらだった主役の3人は今や20代に突入。その姿からは、セレブの名に甘んじることなく、それぞれが思い描く未来にむけて着実に道を踏みしめていこうとする意志が伺える。だが、そんな彼らに付きまとう質問は一向に変わらないようだ。「映画界には道を踏み外してきた子役俳優があまりに多く存在するわけですが、あなたは不安を感じますか?」。ほら、また彼らのウンザリする表情が思い浮かぶ。では思い切って質問を変えてみよう。

「なぜ、ハリー・ポッター俳優は皆、これほど順調に育ったのでしょう?」

AP通信の記事が出演者、プロデューサー、監督らの証言からいくつかの要素を割り出している。

まずはダニエル・ラドクリフの答えが興味深い。

曰く、「アメリカとイギリスじゃシステムがまるで違います。アメリカでは子役は“子供”である以前にプロの“俳優”として扱われる。でもイギリスではまず“子供”として扱われます。“俳優”であることは二の次。12歳の時点ではまだ誰もプロの俳優とはみなされないのです」。

もちろんこれは演技初経験者の多い『ハリー・ポッター』の特有のものとも考えられるが、なるほど、この国では基本的に子役はまず俳優であるよりも“子供”であることを尊重される。そこにチヤホヤや特別扱いなどは存在しないのだ。

他にはどんな要素があるだろうか。まずは両親をはじめ家族の献身的なサポートが不可欠であることは言うまでもない。幼少期のモチベーションを形成するうえでは特に。

次に環境が挙げられる。『ハリー・ポッター』に関して言えば撮影がロンドン郊外にあるリーヴスデン・スタジオで行われたことも好条件のひとつだった。ここは多くの子役が挫折したハリウッドに比べて格段に誘惑が少ない。この場所で、若き出演者たちはホグワーツ魔法魔術学校さながらの寄宿生活にも似た撮影の日々を送り、互いに切磋琢磨していった。プロデューサー、デヴィッド・ヘイマンの言葉を借りればそれは「自分たちを繭で包み込んだかのように配慮が行き届き、安全な環境」だったとか。

Harry2 そしてスタッフ。周囲に信頼できる大人たちが大勢控えていた。主役3人とトム・フェルトン、ボニー・ライト、エヴェンナ・リンチ、マシュー・ルイスにはセットにチューターが就き、彼らが勉強から悩みごとに至るまで相談に乗った。プレミアやインタビューに向けて熟練したパブリシストによる受け答えのコーチングも行われた。

ここで彼らは少しずつ映画人としての職業倫理を身につけていく。スタッフはその成長をつぶさに捉え、映画のキャラクターの中にも大いに反映された。ラドクリフは映画の中のハリー・ポッターのように現場でも広く目の行き届いたリーダー役となり出演者を統率した。エマ・ワトソンは勉強熱心で自分自身を学問に投じるようなところがあった。ルパート・グリントは抜群のユーモアで現場を和ませ、なおかつロンと同じく自らの大家族のことをいつも想っていたとか。

こう見ると『ハリー・ポッター』シリーズとは、右も左もわからなかった子供たちが立派に俳優として成長を遂げていくその過程を見守るリアリティ映画のようにも思えてくる。

と、ここで最初の質問へと舞い戻ろう。

「他の子役出身俳優と同じく、うっかり道を踏み外してしまうことに恐怖を感じませんか?」

同記事(AP通信)のラストでダニエル・ラドクリフが率直な答えを口にしている。曰く、

「この質問に何度も答えているうちに、こう考えるようになりました。『神様、これほどたくさん同じことを聞かれるのだから、もし仮に僕が本当に道を踏み外したなら、この質問はなお一層、永遠に繰り返されることになるのでしょうね』。

でも、最近ではそのことを個人的な使命にもしているんです。もしも僕らがこの壮大なシリーズを順調に巣立ち、成功し、バランスの取れた私生活やキャリアを送ることができたなら、願わくばそれが敷石となって、もう次世代の子役たちが同じような質問に応える必要がなくなりますように、ってね」。

彼らの冒険の最終章にあたる『ハリー・ポッターと死の秘宝Part2』は、7月15日より日米同時公開される。

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