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2011/08/17

注目の黒人監督、新作決定

Steve英国を代表する美術賞“ターナー賞”受賞(1999年)の黒人アーティストであり、その後映画界に進出した"Hunger"(日本未公開)という作品でカンヌ映画祭カメラドール(新人監督)賞を受賞するなど、目覚ましい活躍をみせる才能スティーヴ・マックイーンが、新たにブラッド・ピット率いるプランBのもとで一本の映画を手掛けることが分かった。

そのタイトルは"The Twelve Years a Slave"。1800年代中葉、ニューヨーク在住のひとりの自由な身分(奴隷では無い)の黒人男性がある日、仕事を依頼すると見せかけた男たちに拉致され、その後、12年に渡ってルイジアナで奴隷生活を余儀なくされるという、原作者ソロモン・ノーサップの身に実際に起こった実話を基にした物語だ。高い教養を身に着けていたノーサップは自伝の中で黒人奴隷が置かれている生活環境や強制労働の内容、はたまた白人たちの言動なども克明に記し、やがて不屈の精神をたぎらせながら自らの手で再び自由を勝ち取っていく様も描かれる。まさにブラックカルチャーの伝説ともいうべき男の物語である。

Chiwetel このノーサップ役には英国の黒人俳優キウェテル・イジョフォーが決定している。『堕天使のパスポート』や『キンキー・ブーツ』に主演し、最近では『インサイドマン』『アメリカン・ギャングスター』『2012』や『ソルト』といった大作にも顔を覗かせる実力派俳優。以前、ある英国雑誌で「黒人俳優が007を演じるならば、誰がいい?」なる記事を見かけたのだが、その筆頭に挙がっていたのが他ならぬイジョフォーだった。そういう筆者も『堕天使のパスポート』以来、彼の大ファンを自称しており、『2012』では彼の出演シーン以外は目に入らなかったくらいだ。

なお、マックイーンとイジョフォーはここ数年来持ちあがっている企画、アフロビートの創始者にして黒人解放運動家フェラ・クティの伝記映画でもタッグを組むことになっており、このためイジョフォーはサックスとピアノのトレーニングまで積んできているのだとか。しかしながらブロードウェイ・ミュージカルをベースにした本作はなかなか資金集めが巧く行かず、正式なゴーサインが出せないままでいる。

Shame その間、マックイーンは"Hunger"で組んだマイケル・ファスベンダーと『17歳の肖像』のキャリー・マリガンを配した"Shame"を完成させ、本作は今年のヴェネツィア国際映画祭のコンペ部門でお披露目されることが決定済み。

ごく少数単位で遂行可能なアートと違い、映画製作はおびただしい数のキャストやスタッフが必要となる(もちろん、そうではない映画もたくさんあるが)。その狭間でマックイーンは常に製作費の壁に悩まされ続けている名匠のひとりということになるが、しかし今回ばかりはブラッド・ピットという後ろ盾もあり、今後の製作もある程度は(これまでの彼の作品に比べれば)スムーズに進むのではないだろうか。

では締めくくりとして、この酷暑を吹き飛ばすフェラ・クティ渾身のナンバー"Zombie"をお聴きください。

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