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2011/09/05

グレン・クローズ、賞レース参戦なるか?

映画界にとってこの1、2週は最も重要な時期といわれている。イタリアではヴェネツィア国際映画祭、北米ではテルライド映画祭。そして両者の流れはアカデミー賞に向けて最も重要な起点となるトロント映画祭へと注がれていく―。

毎年アカデミー賞狙いの有力作が一挙に出揃い、観客や批評家、マスコミの審判を仰ぐと言われているこの時期。思い返せば『スラムドッグ・ミリオネア』も『英国王のスピーチ』もこのタイミングで絶賛されることでオスカー受賞に向けての好スタートを切ることとなった。また、『ブラック・スワン』でナタリー・ポートマンが注目されたのも、まさにこのタイミングだ。

Glen 今年もサイレント&モノクロームの話題作"The Artist"、クローネンバーグの"A Dangerous Method"、ジョージ・クルーニーの監督作"Ides of March"、またクルーニーが主演し『サイドウェイ』のアレキサンダー・ペインが監督を手掛けた"The Descendants"をはじめ数々の作品がアカデミー賞に向けた賞レース参戦を期待される中、とりわけ64歳になる名女優グレン・クローズに熱い視線が集まっている。

『ガープの世界』でデビュー後、『危険な情事』、『ナチュラル』で名演を残し、『エア・フォース・ワン』ではハリソン・フォード演じる大統領を支える副大統領役、そして『101』ではダルメシアン犬に刃を向くクルエラを怪演。最近ではTVシリーズ『ダメージ』で新たなファンを開拓する姿が記憶に新しい。

そんなグレンがテルライド&トロントで披露するのは"Albert Nobbs"という作品だ。これは彼女が30年前にオフ・ブロードウェイで主演した作品であり、この時からいつの日かこれを映画にしたいとの想いを持ち続けてきたという。まさに生涯に一度、女優としての情熱をありったけ注ぎこんだ作品といえる。

彼女が演じるタイトル・ロールは、高級ホテルの従業員として長く務めながら、あるひとつの秘密を抱えている。実は彼、男装した女性。つまり女性という性別を隠して、男性として生活を送っているのだ。

舞台は19世紀末のアイルランド、ダブリン。女性がひとりきりで生きていくにはあまりに高い障壁が立ちはだかった時代。14歳の時にとある出来事を経験した彼女はこの社会を男として生き抜こうと決意をする。そうすれば人並みの仕事につける。そして救貧院での厳しい生活から脱出することができる。

Albertnobbs
そんな過去を持つ彼女(彼?)もいつしか中年になった。相変わらず男性用の下着の下に女性の身体と、それに湧きあがる様々な想いを封じ込め、当時の社会を必死に生き抜くアルバート・ノッブス。そこでは同じ秘密を抱える人との出逢いがあったり、自分の運命を変えるほどの恋なども経験するのだが―。

Nobbs 本作は主人公アルバートに負けず劣らず、これまで幾度となく挫折に見舞われ、今回ようやく完成までこぎつけたと言われる。クローズは主演のみならず、脚本、製作を担っている。

監督を務めるのは『彼女を見ればわかること』や『愛する人』のロドリゴ・ガルシア。クローズはこれまで2本の作品を彼と一緒に闘い抜いており、その信頼感は堅い。共演にはミア・ワシコウスカ、ジョナサン・リース・マイヤーズ、アーロン・ジョンソン、ブレンダン・グレッソン。

すでにテルライド映画祭で披露されたばかりの本作だが、各紙の反応はまずまずといったところか。「いくつか気になる部分があるものの、グレン・クローズの演技は魂がこもっていて素晴らしいし十分オスカーに輝く可能性がある」とする見方が強い。

なにしろ過去に5度のオスカー候補入りの経験を持つこの名女優が、まだ一度もその頂点に輝いたことはないのである。今回こそ念願の受賞が叶うのかどうか。これは映画以上にアカデミー会員の心を揺さぶる要素となり得る。

なお一方で、今年の暮れにはグレン・クローズの前に立ちはだかる最強のライバル、メリル・ストリープが主演する"The Iron Lady"もお目見えする。

Iron
この作品でメリルは“鉄の女”ことマーガレット・サッチャー元首相を演じる。その旦那役にはジム・ブロードベント。そして『マンマ・ミーア!』で高評価を受けたフィリダ・ロイドが監督を務める。もはやアカデミー賞の常連となったメリルと、今年こそはと期待の高まるグレン。果たしてふたりの頂上対決は見られるだろうか。それともふたりを軽く凌駕する新たな才能の到来が、この先に待ちうけているのだろうか。

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