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2011/09/03

【メモ】英国王のスピーチ

『英国王のスピーチ』のDVDがリリースされたので、さっそく再見。もともと舞台劇として書かれた作品だけに、フィールドが映画に移ってもやはりバーティとライオネルの立ち位置、距離感が非常に際立った演出効果を生み出している。その一歩分だけ引いた立ち位置、散歩に出かけたふたりがどんどん離れていく距離感に胸が詰まる。また、あれほど俳優としてステージに立ちたかった(それでも叶わなかった)ライオネルが、英国王室という世界最大の“演劇性””儀式性”を前にして裏方の言語療法士として見事に、いわば演出家デビューする様、また彼がそれを鼻にかけるでもなく、妻にさえ打ち明けられず、王とひそやかなる親友関係をはぐくむ様がとても魅力的に紡がれていく。

ラストでロイヤル・ファミリーがバッキンガム宮殿のバルコニーから手を振るシーンがある。再見した際、集まった民衆が拍手で国王を讃える様子を、ライオネルが背後からちょっとだけ背伸びして覗きこもうとする仕草に気づいた。ほんとうは彼も拍手をもらいたい側の人間だったのだ。一瞬だけその“拍手”に誘われるライオネルだが、すぐに首を引っ込めて、その場でスッと前を向く。そのとき思った。もしかすると、あれほど嫌だった王位に就き立派にスピーチをこなした王の姿は、いわばライオネルの写し鏡でもあったのではないか?

むしろ「ここに居ていいのか?」とずっと自答していたのはむしろライオネルの方だったのかもしれない。彼は結局ステージには立てなかった。が、彼の分身たるジョージ6世はいま表舞台で全身に民の祝福を浴びている。

「これでいいのだ」

と彼が思ったかどうか詳述するのは野暮ってものだが、少なくともそれに似た宿命を受け入れるまでの道のりこそ、『英国王のスピーチ』が刻む見事な感情の動線なのだと感じた。

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