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2011/11/05

【レビュー】インモータルズ

仮にこの映画の観賞直後にゼウスと出くわしたなら、思わず条件反射的に地べたにひれ伏してしまうだろう。あ、いけね、ゼウスって呼び捨てにしたら天からギューンと降りてきて蹴ったくられそうだ。だからゼウス様。そう呼ぶことにしておく。

『ザ・セル』や『落下の王国』で「映像だけは綺麗」王子の名を欲しいがままにしてきたターセム・シンが、今回は有史以前の地上を舞台に、ギリシアの神々と人間との深い関係性の物語を紡ぎだした。それが『インモータルズ』。

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天上にはゼウス様をはじめ金ぴかにドレスアップしたギリシア神話の神々。地下には封印されしタイタン族。そして地上には「世界も神々もオレが丸ごと全部ぶっつぶしてやるよ!」と威勢を張る不良番長ミッキー・ローク(役名はあるんだが、そのまま呼ぶことにする)の存在が。

そして、忘れてました、主人公には他と比べるとやや存在感が薄い英雄テセウス君。彼はゼウスの寵愛を受けたニンゲン役。上半身の筋肉をムキムキ言わせながらこれを演じるのは次回作"Man of Steel"で新スーパーマンに就任することが決定済みのヘンリー・カヴィルだ。

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ストーリーは難しいようで意外と単純。暴君ミッキー・ローク一味が神に逆らいタイタン族を解き放とうとするのを、ギリシア軍総動員、さらには神々まで加勢しながらこれを必死に食い止めようと奔走するというもの。この大騒動をターセムならではの壮大な映像美で描くのだが、これが本当に息を呑むほど美しかったり(冒頭のキューブ内に整列したタイタン族の画など3Dで描くのに打ってつけの名場面だ)、壮大だったり、ロシア正教会の金ぴかのモザイク画のようであったり、果てにはおびただしい数の兵士が細長い通路で刃を交えるスペクタクルや、クライマックスの超音速とスローモーションの合わせ技で展開する激闘シーンは観る者を狂喜乱舞させずにいられない。おそらく過去のターセム作品の中では芸術性とエンタテインメント性との間にいちばんの調和がもたらされた、いわば彼自身がゼウスの寵愛を受けた一作ということができるだろう。

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加えてターセムは、その美しさの画竜点睛となるのは残虐なまでに飛び散る深紅の血、と考えているのだろう。この映画のバイオレンスぶりには言葉を失うこともしばしばある。とりわけミッキー・ロークのとことんな残虐性には「次はどんな手で来るか!?」と観客が身構えてしまうほど。かと思えば、今度は神々がしびれを切らし、空の神殿(まるで「ドラゴンボール」の神様宮殿みたいな)より飛来し、一瞬にして人間を文字通り血みどろに“粉砕”してしまったりもする。もう、どっちが残虐なんだか。

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で、極めつけは全神々のお父ちゃん的存在であるゼウス様。「人間を助ける、助けない」のすべてのルールを彼が決め、勢い余って手を出した神には自らオンドリャア!と怒りのムチ打ちを食らわす。カッコ良く精悍に決めてはいるけれど、その実、なんて自分勝手な…あ!俺、言ってませんよ!撤回!撤回!

とにかく『インモータルズ』はビジュアル的になかなかの重厚感を見せつけてくれる快作だ。これぞ視覚的カタルシス。ブルーレイを手に入れたならなんども巻き戻して観入ってみたいシーンも数多いだろう。それに石岡さんの衣装デザインはまたしてもそれだけ独立して主役とみなしていいくらい見事だ。

ただ、こうして興奮に酔いしれてる側で、現実世界ではギリシアの経済支援策をめぐり連日にわたって協議が続き、ヨーロッパの金融不安をどう取り除くかの誰もが苦心している。今まさに地下からタイタン族が解き放たれようとしていて、人間界はテセウスの登場を、そしてゼウス様が天上から再びギュイーン!と降臨して怒りのムチをぶちかましてくれるのを、今か今かと心待ちにしているのではないだろうか。

はたしてそのとき、ムチを食らわされるのはタイタン族か、それとも我々ニンゲンなのか。

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『ザ・フォール/落下の王国』のレビューはこちら

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