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2012/01/18

【NEWS】英国映画界の未来へ向けての提案書

このブログでもお伝えしたように、英国映画界ではこの数日、英キャメロン首相が「これからの映画界はメインストリーム系の映画を中心に更なる高みを目指すべきだ」と語ったことを機に「アート系作品に厳しい時代がやってくるのではないか」との憶測が広がっていた。

Chris そして月曜、政府の依頼により「これからの映画界はどうあるべきか」を議論してきたクリス・スミス(スミス卿)元文化相を座長とする審議会はついにその報告書"The Future of British Film"を提出した。

この中身は政府や業界の指針を決めるにあたり大きな要素を占めるとされるだけに「キャメロン発言を補強する内容なのでは?」と皆が戦々恐々としていたのだが、いざ蓋を開けてみると、キャメロンが放った反感の火種を取り除くかのように、「商業映画からアート系映画に至るまで、幅広い種類の映画を支援すべき」と提唱しており、関係者の間でも歓迎の声が広がっている。

「英国映画界は黄金期に突入しており、世界中の観客を巻き込むことに成功している。しかしこれに甘んじてはいけない。この経済状況下、映画産業は若者に魅力的かつ彼らにプロフェッショナルなキャリアを提供し、国内における数多くの雇用を創出するものでもある。この報告書では政府と映画産業が現段階の成功をより確かなものにするために必要な事項をまとめたものである」

こう書き出された報告書は、政府や業界に対し56の具体的な提案が成されている。その中の目新しい事項としては、「テレビ局への働きかけ」と「成功報酬のありかた」などが挙げられる。

・前者は現在、BBCやChannnel4が映画事業で大きな役割を果たす中、SkyやITVといった他テレビ局も英国インディペンデント映画の製作、配給、上映に積極的に関わっていくことを促すもの。(BBCは年に1200万ポンドの映画事業への投資を行っている)

・後者は英国での映画製作に大きな役割を占める宝くじ基金に関して、もしもそれを利用した映画が商業的成功を収めたならば、その利益の返還を義務付けることなく、それらをプロデューサー、監督、脚本家らの成功報酬とする一方、彼らが関わる次作品の製作資金にあてることも提案している。要は成功を一度きりにとどめることなく、成功者が二度目、三度目の挑戦に切り出しやすい体制を整えていこうとするものだ。

他にも、ハリウッドでは全体の14パーセントを占めるファミリー映画の割合が、英国では2パーセントと低迷していることから、このジャンルを補強しようという主張、それに興行面に関しても映画館の客が減少するシーズンには英国映画、英国インディペンデント映画を上映しようという提案がなされている。

そして興行的成功をめざすべく、映画の未完成段階において観客テストを行い、その反応によって変更を加えるなどの方法も取り入れるように促している。だが同時に、たとえば"Fish Tank""Red Road"で名高い女性監督アンドレア・アーノルドや『Shame -シェイム-』のスティーヴ・マクイーン監督らに代表されるアート系映画の試みはこれに該当しない としている。

また、長期的なビジョンとしては「すべての学校で映画に関する授業を取り入れ、生徒たちが英国映画に触れ、理解し、学べる機会を設ける」とか、「映画館のない地方のコミュニティ・ホールにデジタル上映機器やプロジェクターを設置する」といった観客を育てるための環境づくり、そして「海賊版や知的財産を不法に氾濫させる行為の撲滅に力を入れる」といった法整備の必要性を訴える提案が見受けられる。

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