« 【NEWS】イーストウッド主演作の公開日決定 | トップページ | 【NEWS】X-Men ファースト・ジェネレーション2にマシュー・ヴォーン続投 »

2012/01/31

【賞レース】俳優組合賞で『ヘルプ』3冠

*一度エントリーしたはずだったブログ記事が消えていたので、もう一度トライ。一昨日のニュースです。

アメリカの職業俳優らが自らの手で「最も輝いていた同業者」を選出する俳優組合(SAG)賞の授賞式が行われ、今年は『ヘルプ』が主演女優賞(ヴィオラ・デイヴィス)、助演女優賞(オクタヴィア・スペンサー)、そして作品賞に相当するキャスト(アンサンブル)賞という3冠を獲得。誰もが予想しなかった一大旋風を巻き起こす事態となった。

Help01
そのほか、映画部門の主演男優賞には『アーティスト』のジャン・デュジャルダン、助演男優賞には『人生はビギナーズ』のクリストファー・プラマー(彼は『サウンド・オブ・ミュージック』のトラップ大佐役でも有名)が輝いていいる。

SAG賞にてひとつの作品が複数の部門を独占するのは珍しいこと。さらにはヴィオラ・デイヴィスとオクタヴィア・スペンサーというふたりの黒人俳優が揃って受賞するのも歴史的に見て非常に貴重な一歩と見ることができる。これまでの賞レース結果ではオクタヴィア・スペンサーが助演女優オスカーに王手をかける強さを見せつけているものの、一方の主演女優賞枠は『マーガレット・サッチャー』のメリル・ストリープや『マリリン 7日間の恋』のミシェル・ウィリアムズなど強敵ぞろい。これに今回の受賞でヴィオラ・デイヴィスが株を急上昇させたことで、果たして誰がオスカーを手にするのかを予想することが全く容易ではなくなった。運命の行方はまさに神のみぞ知る状態だ。

Help03
ところで、筆者がこの受賞結果に触れたのは、ちょうどこれから『ヘルプ』の試写会場に向かおうというさなかだった。

Help02 『ヘルプ 心がつなぐストーリー』の舞台はまだ黒人差別の根強く残る60年代のミシシッピ州だ。アメリカに公民権運動の嵐が吹き荒れる前夜とも言うべきその頃、ひとりの作家志望の女性が黒人メイドたちに匿名インタビューを敢行し、これまで聞かれなかった白人への本音をぶちまけてもらう。そこからあふれ出る抱腹絶倒のエピソードや、無慈悲かつ痛みをともなう悲惨な話の数々はやがて一冊の本「ヘルプ」へと紡がれ―。

物語はエマ・ストーン演じる作家の卵スキーターを中心に展開するも、本作の語り部となるのはヴィオラ・デイヴィス演じるエイビリーン。最初は喜怒哀楽のどれでもない表情でメイド仕事を続ける彼女だが、ひとつの過去が明かされ、次第にその瞳に意志の灯がともりはじめる。またその親友ミニー(オクタヴィア・スペンサー)のパワフルかつユーモラスな存在感ときたら、この映画の間口をグッと広げ、観客をフィール・グッドな語り口の渦に巻き込んでくれる。ほかにも一風変わった女性を演じるジェシカ・チャスティンや、偏見の固まりたる性悪女という役柄を一手に引き受けたブライス・ダラス・ハワードといったキャストも相俟って、“アンサンブル”の名にふさわしい極上の空気が醸成されている。2時間半という長丁場もあっという間に爽やかに過ぎ去っていく。

また、この手の人権を扱った映画では、たとえば2年前にサンドラ・ブロック主演の『幸せの隠れ場所』がそうであったように、どこか「白人が手を差し伸べる」といったくだりが忍び込むことが多く、逆に黒人側は黒人側で『プレシャス』のようなほぼ黒人キャストだけで織りなされた人間ドラマで「自らの手で這い上がる」というテーマを掲げることが多い。今回の『ヘルプ』のように両者がそれぞれの立場でよりベターな境地を目指すという語り口がこれほど巧く練りこまれて結実した例はあまりない。

2011年の8月に米公開された本作だが、最初はこれがヒットするだなんて誰も思ってもいなかった。しかし蓋を開けてみると観客は芋づる式にこの映画の評判を口コミで伝え、製作費2500万ドル足らずの本作は最終的にアメリカだけで1億7000万ドルもの興収を記録するに至っている。

そしてアカデミー賞では、作品賞、主演女優賞、助演女優賞(×2人)の4ノミネートを獲得。毎年必ず存在する“番狂わせ”的な立場を担いつつ、まだまだ『ヘルプ』旋風は続きそうだ。

この記事が参考になりましたら、クリックのほどお願い致します。

TOP】【レビュー】【TWITTER

|

« 【NEWS】イーストウッド主演作の公開日決定 | トップページ | 【NEWS】X-Men ファースト・ジェネレーション2にマシュー・ヴォーン続投 »

awards」カテゴリの記事