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2012/02/29

【NEWS】ラッセル・クロウがノア役で交渉入り

キャリア最高の評価を獲得した『ブラック・スワン』以来、何ら新作が発表できずにいるダーレン・アロノフスキー監督が、いま現在、ノアの方舟を題材にした大作映画"Noah"を準備中なのは周知の通りだ。製作費1億3000万ドルを超えると言われる本作は、アロノフスキーとアリ・ハンデルが手掛けた初稿を『ラスト・サムライ』『グラディエーター』『ヒューゴの不思議な発明』で知られる名脚本家ジョン・ローガンが改稿を施しており、次なる注目の矛先はキャスティング作業と言われている。

これに関しては先日、拙ブログでもお伝えしたとおり、このところラッセル・クロウが最有力と言われてきた。そしてこの情報を裏付けるかのように、本日ヴァラエティが「ラッセル・クロウ、“ノア”役で交渉入り」のニュースを伝えている。しかし同記事は、一方で報じられていた「アロノフスキーはリーアム・ニーソンにも何らかの役で出演を希望している」との内容には触れておらず、こちらは未確定、つまり交渉入りしていない状態であることが伺える。

もしもラッセル・クロウの交渉が順調にいった暁には、アロノフスキー組はこの7月にも撮影入りしたい構えだとか。そうすると2013年の劇場公開を視野に入れてポスト・プロダクションが進められていくことになりそうだ。

ハリウッドでは「聖書」を題材にした映画が秘かな潮流となりつつある。同時期にワーナーでもスティーヴン・スピルバーグがモーゼを主人公とした映画を企画中で、こちらの動向にも注目が集まっている。

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【NEWS】「カウボーイ、ニンジャ、バイキング」監督にマーク・フォスター

Deadlineによると、グラフィック・ノベル「カウボーイ、ニンジャ、バイキング」の映画化に際し、『チョコレート』『ネバーランド』『君のためなら千回でも』『007/慰めの報酬』で知られるマーク・フォースターが監督に就任すべく動き出しているようだ。

Cowboy
A.J.リーバーマンとライリー・ロスモによる原作の流れはこんな感じ。政府の極秘プロジェクトによって分裂病患者から暗殺者へと変貌させられてしまった男がいた。それにより彼はカウボーイ、ニンジャ、そしてバイキングのスキルを習得。しかしながらこのプロジェクトはイラクにて機能不全状態に陥ってしまい、ほとんどの施術者は精神病院送りになってしまう。そんな中、主人公だけは脱出に成功し、自分をこのような目にあわせた者たちへの復讐を誓う。どうやら首謀者はとある億万長者らしい。彼は徐々にその中枢へと接近していくのだが・・・。

何の冗談だか、まるで“ジェイソン・ボーン”シリーズの焼き直しのようにしか聴こえないが、当初この映画を温めていたディズニーはこれがファミリー向けには適さない奇抜な内容であることを理由にこの企画を手放し、今では“ボーン”と同じくユニバーサル・ピクチャーズが製作にあたっているという。まあ、すべては落ち着くところに落ち着いたというべきか。脚本を手掛けたのは『ゾンビランド』のポール・ワーニックとレット・リース。

日本でも『マシンガン・プリーチャー』が公開中のマーク・フォースター監督だが、彼は目下、パラマウントにてゾンビ映画"World War Z"をポスト・プロダクション中(公開は2012年の12月21日)。フォースターはこちらが完成した後、すぐさま「カウボーイ、ニンジャ、バイキング」の製作に取り掛かるものとみられ、ユニバーサル側は今年の後半の撮影入りを視野に入れ準備をはじめたい意向のようだ。

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【NEWS】米ドラマ版ホームズの相棒役、決定

全米の各テレビ局では新作ドラマのパイロット版(お試し版)製作が進んでいる。この中で注目を集めているひとつが、CBSによるアメリカ版「シャーロック・ホームズ」こと"Elementary"という作品だ。

舞台を現代のニューヨークへ置き換えた本作は、すでに『トレインスポッティング』のシックボーイや「デクスター」の出演で知られるジョニー・リー・ミラーがホームズ役に就任済み。当然、次なる注目は“ワトソン”役なわけだが、ここで製作者側は驚きのキャスティングに打って出た。なんと『キル・ビル』や『チャーリーズ・エンジェル』でお馴染みのルーシー・リューを持ち出したのだ。

Elementary
彼女が演じる役の名前はジョアン・ワトソン。医療事故にて患者を死なせ、医師免許をはく奪された過去を持つ元外科医という設定だそうだ(Deadlineによる情報。BBCではそれ以上の詳細には触れていない)。

またDeadlineの同記事によると、ロバート・ドハーティが執筆する今回のホームズはもともとスコットランドヤード(ロンドン市警)の捜査コンサルタントとして従事していたものの、とある中毒症状の悪化によりリハビリ施設に入所していた過去を持つ。今ではそこから出所し、NYPD(ニューヨーク市警)のコンサルタントとして事件に向き合う傍ら、奇しくもルーシー・リュウ演じるジョアン・ワトソン君との同居することになり・・・という流れになる模様。

各紙を幾つか読み比べてみたところ、タイトルの"Elementary"の意味に触れているものは皆無だが、筆者の推測ではホームズがワトソンに対してよく口にする「初歩的なことだよ、ワトソン君(Elementary, my dear Watson)」に由来するものと思われる。ちなみにこのセリフが原作内に登場したことはなく(一度だけ似たようなセリフが登場する)、これらはその後の舞台版やドラマ版で役者が口にしたことにより定着したものとのこと。

現在、イギリスではベネディクト・カンバーバッチ演じる現代版ホームズが大人気を博しているが、果たしてアメリカ版それに対抗し得る存在となるのかどうか。まずはパイロット版の成功を祈りたいところだ。

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2012/02/28

【NEWS】メリー・ポピンズ作者映画の進捗

Poppins 「メリー・ポピンズ」の筆者として知られる女流作家P.L.トラヴァースがこの代表作に込めた想いとは―?

現在、ディズニーが取得交渉中とみられる脚本"Saving Mr. Banks"は、ウォルト・ディズニーが長年にわたって自らトラヴァースに映画化の許諾を求め続ける中で、彼女が幼くして亡くした父に対する想いを徐々に浮き彫りにしていく物語だ。詳しくは拙ブログの過去記事をご覧ください。

ブラックリスト(各スタジオ重鎮が選ぶ未製作の優れた映画脚本)入りを果たしたこの脚本の行方に注目が集まる中、Deadlineによるとディズニー側は早くも『しあわせの隠れ場所』のジョン・リー・ハンコック監督に白羽の矢を立てて、初期の話し合いに入っているという。

ハンコックはつい先日、ニュー・レジェンシーが製作するジョン・グリシャム原作のベストセラー"The Partner"の映画版に監督&脚本として参加することを決めたばかり。同記事によるとディズニーはこの"Saving Mr. Banks"を今年中にも製作入りさせることを視野に入れているという。

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【NEWS】3.11を偲ぶ"life in a day"

2011年のサンダンス映画祭でお披露目された映画の新しい試み"Life In A Day"。これは、世界中のおびただしい人々が「とある一日」について映像を綴りYouTubeに投稿。それをパッチワークのように彩るカタチで一編の映画を綴るというプロジェクトだった。

これが更なる進化を遂げようとしている。このたびリドリー&トニー・スコット率いる製作会社スコット・フリーとフジテレビは共同で"Japan In A Day"を設立。東日本を襲った大震災から1年が経つ今年の3.11に焦点をあて、一般からのフッテージ投稿を募集することを発表した。

フジテレビは震災で最も被害の大きかった地域に200台のカメラを提供する。そして今回もまた、集まった素材をもとに1本の長編映画を織りなし、世界各地の劇場で公開することを予定している。スコットフリーはこの企画の製作総指揮を担当。なお、映画の収益はすべて被災者に贈られる。

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Warrior

成田発のフライトにて観た映画の中でいちばん強烈だったのは"Warrior"という2時間半の格闘技ドラマだった。出演者はトム・ハーディ、ジョエル・エジャートン、ニック・ノルティ。かねてより批評家筋の高評価を得ながらも、アメリカ公開時にはそれほど期待通りの興収を得られたわけではなかった。しかしながらやはり良いものは良い。それゆえ劇場公開を終えても、機内上映の「今月のイチオシ」となり、なおかつ英国滞在中に立ち寄ったHMVではどの店舗でも「イチオシDVD&ブルーレイ」として映画担当店員たちの庇護下に置かれていた。

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それはどことなく『ファイター』に似ているかもしれない。しかしあの映画が「強烈な母親と息子たち」の物語だったのに対し、本作は世知辛いまでに「父と息子たち」の物語だ。アルコール中毒だった父、それが原因で崩壊した家族、疎遠になった兄弟。しかしすべては海兵隊員だった弟が自宅に舞い戻ったことで変化を帯びてくる。戦場で地獄を経験した彼はふたたび総合格闘技への道を歩むことを決意する。ちょうど同じ頃、高校の教員の職に収まっていた兄もまた、家庭の事情により格闘技MMAトーナメントの賞金獲得を目指して、昔取った杵柄に触れることを決意していた。ふたりの男たちは全く別の運命の岐路で奇しくも同じ決断を下し、おびただしい参加者が猛々しく争うトーナメントを勝ち上がるに従って、まるでルーツを噛みしめるかのように家族はふたたび顔を近くすることとなる-。

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『ブロンソン』や今夏公開の『ダークナイト・ライジング』でもプロレスラー級の肉体を見せつけるトム・ハーディと、オーストラリア出身俳優として今ハリウッドで大きな注目を集めるジョエル・エジャートンがガチでリング上の死闘を繰り広げる様は、たとえ機内エンタテインメントの極小画面であったとしても迫力満点。彼らは兄弟であっても戦い方はまるで違う。瞬殺という言葉にふさわしいほどの先手必勝で相手を粉砕するハーディ。そしてエジャートンはというと、最初は防戦一方かと思いきや、ギリギリまで相手と競り続け、殴り、殴られ、最後の一歩で大きく踏み出して関節技で勝負を賭ける。

いつしかその激闘は彼らだけの問題ではなくなっていく。兵士たちが会場へ駆けつける。教え子や教師たちも駆けつける。多くの観客や彼らを取り巻く人々がその戦いに感化され、次第に熱い思いを胸にたぎらせていく。そんな姿をダイナミックに散りばめる描写にも大きな感動を覚える。

そして失った人生の一部を取り戻そうと力強くもがく兄弟たちの一方で、どこまでも脆弱で情けなく彷徨いつづける父親像をニック・ノルティが印象深く演じている。彼は若き息子たちのように肉体で勝負を勝ち上がっていくことはできないが、アカデミー賞においてはハーディやエジャートンに成り代わり、彼だけが助演男優賞へのノミネート入り。なるほど、彼らは三者三様、それぞれのフィールド、やり方で戦っていたのだ。

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2012/02/27

【興行】北米週末Ranking Feb.24-26

先.週までの復習は各自こちらにて行ってください。

【Feb.24 - 26 weekend 推計

01 Act of Volor  $24.7M
02 Tyler Perry's Good Deeds $16.0M
03 Journey 2: The Mysterious Island $13.5M
 
04 Safe House
$11.4M
05 The Vow $10.0M
06 Ghost Eider: Spirit of Vengeance $8.8M
07 This Means War $8.5M
08 Wanderlust $6.6M
09 Gone  $5.0M
10 The Sectet World of Arrietty 
$4.5M

■イギリスから帰って参りました。まずは恒例の週末ボックスオフィス考察を手始めに少しずつ調子を戻して行きたいと思います。

Actofvalor ■多くの映画好きたちがオスカー授賞式の生放送に釘づけになるこの週末。その分、劇場興収も激減するものと思われていたが、昨年に比べると25パーセント以上もアップしているとのこと。その順調ぶりを力強く牽引したのが、初登場にしてボックスオフィスNO.1にかがやいた"Act of Valor"だ。

■本作は拉致されたCIAエージェントを救出すべく危険なミッションに身を投じるネイビーシールズの姿をこれまでにないリアルな筆致で描いたアクション。オバマ大統領もホワイトハウスでの上映会で観賞し、賞賛したという。とりわけアメリカの南東部、南西部、西部における米軍基地が腰を下ろした地域での客足が好調のようだ。観客層別にみると71パーセントが男性客、60パーセントが25歳以上。

■2位にはアフリカン・アメリカン層の間で絶大な人気を誇るタイラー・ペリー監督作"Tyler Perry's Good Deeds"。観客の76パーセントが女性で、85パーセントが25歳以上とのこと。

■3位の座をめぐっては公開3週目の『センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島』が気を吐いた。同作は"Safe House"や"The Vow"といった同時期公開作の中で唯一NO.1の座を獲得できなかった作品なのだが、ここにきて他の2作との順位が逆転する結果に。3Dというフォーマットに対して慎重な人々が、世間の評価を確認したうえで、ようやく重い腰を上げ始めたとの見方もできる。累計興収は製作費とほぼ同額の7670万ドル。

■先週1位の"Safe House"は4位へ後退。累計興収は1億ドルまで後僅かの9800万ドル。製作費は8500万ドル。ラブストーリー"The Vow"は5位に落ち着いた。こちらの累計は1億300万ドル。製作費が安めの3000万ドルということを考えるとその利益率も大きい。

■ニコラス・ケイジ主演の"Ghost Rider 2"は2週目の下落率が6割を越えている。2週目作品の平均的下落率が50パーセントであることを考えると、人気の陰り方が少々速いと言えるかも。累計興収は3700万ドル。製作費の5700万ドルの回収までにはもう少し時間がかかりそうだ。同じく公開2週目の"This means War"は先週末に比べて51パーセントほど興収の値を下げた。この下落率はほぼ平均的な範疇といえる。

■初登場"Wanderlust""Gone"は興収1000万ドルにも満たない不調に終わった。まずジェニファー・アニストンとポール・ラッドが主演するR指定コメディ"Wanderlust"は8位発進。観客の61パーセントは30歳以上、57パーセントが女性客で占められた。

■同じく初登場びスリラー"Gone"は9位。主演はアマンダ・セイフライド。64パーセントが女性客で、年齢層では18歳以上が61パーセントを占めた。

■『借りぐらしのアリエッティ』こと"The Secret World of Arrietty"は先週より1ランクダウンの10位。先週比の下落率は3割台に留まっており、これはかなりの下げ止まりが効いているといえる。アメリカではヒットした試しのないジブリ作品だが、今回もメジャーな位置は確保できないまでも、それなりのニッチなファン層には映画の訴求力がきちんと届いている気配が伺える。現在までの累計興収は1500万ドルほど。

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2012/02/26

The Best Exotic Marigold Hotel

英国滞在中に『恋におちたシェイクスピア』のジョン・マッデン監督による最新作"The Best Exotic Marigold Hotel"が封切られた。出演者にはジュディ・デンチにマギー・スミス、ビル・ナイ、トム・ウィルキンソン、それに『スラムドッグ・ミリオネア』のデヴ・パテルなどがそろい踏み。いわゆるオールキャスト映画というやつだ。

Thebestexoticmarigoldhotel

原作は代表作「チューリップ熱」などの映画化企画も進んでいるデボラ・モガーによる同名小説。母国イギリスでの生活に見切りをつけ、老後の第二の人生をインドに託して飛行機に乗り込んだ7人の男女。それぞれに人生の酸いも甘いも経験し、それぞれの理由からこの地を踏みしめた彼らは、その居住先「マリーゴールドホテル」が想像していたものよりに遙かに未開発の代物であることに愕然とする。しかし絶望などしていられない。彼らは支配人のインド人に協力し、またそれぞれにインドでの暮らしを謳歌しながら、少しずつ自分たちの居住空間を魅力的なものに変えていこうとするのだが-。

さすがデンチとスミスの“デイム(女性版の“ナイト”みたくクイーンから授かる爵位)”が顔をそろえるだけあり、初日には50~60代の中高年が大挙しており、彼女たちの名前がこの国に及ぼす波及効果といったものを見せつけられる絶好の機会となった。もう序盤からラストまでキャストの一言一言に爆笑の連続。緩急のメリハリも巧くはまり、しんみりと引き締まるシーンでは頬を伝う涙をしきりに拭う光景も見受けられた。

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そしてタイトルどおりのエキゾチックネスを受け持つのが本作の舞台となるインドという国だ。『スラムドッグ・ミリオネア』に続けとばかりに、この映画でもかの国の破格の勢い、極彩色、文化的な深淵に寄り添って、名優たちの化学変化により濃厚なエキスを付与することに成功している。

しかしながら各紙のレビューでは評価が割れている。オールド・ブリティッシュ・ミーツ・インディアという設定となればある程度は避けては通れないステロタイプ型の展開が受け手の感性にはまるかはまらないかで、ずいぶんと印象も変わってくるようだ。

個人的には『ラブ・アクチュアリー』や『パイレーツ・ロック』などと同系譜のブリティッシュ・オールスター・ムービーとして、ここに年配の方も楽しめる選択肢が生まれたことは祝福すべきことではないかと思う。そしてもちろん、本作はこれらのおじさん&おばさん俳優が大好きな若者たちをも大いに歓迎してくれることだろう。

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2012/02/25

The Woman in Black ~英国滞在中Vol.4~

これまでにも何度となくすばらしい作品群を授けてくれた映画館”ピクチャーハウス”で、ダニエル・ラドクリフ主演のゴシック・ホラー"The Woman in Black"を鑑賞。映画の中身もさることながら、客席には僕ただ一人という、ホラーを味わうにはあまりに条件の揃いすぎた環境で上映がスタートした。

せっかくなので記念写真を一枚。

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ハリー・ポッター卒業後のラドクリフが亡き妻の幻影を感じながら幼い息子を育てる父親役を好演している。そんな父子にしばしの別れ。法律事務所の仕事でとある遺産問題に決着をつけるべく、人里離れた田舎町へ向かうことになる。しかし到着するや、村人たちはなぜか彼によそよそしい態度をとる。やがて明らかとなっていくその理由。この村では子供たちが次々と死へ誘われた過去があった。

そんな迷信など信じぬと、向かう先は曰く付きの屋敷。

彼がそこに足を踏み入れたとき、あたりには誰もいないはずなのに、物陰から黒衣の女性がこちらをじっと伺っている様子が目に映る。ある時には室内。それも彼のすぐそば、そして耳元にも・・・。

Black
スーザン・ヒル原作、いまや舞台作品としても世界的に有名になった本作を、あの伝統と鮮血の雄“ハマー・フィルム”が映像化(最近では「モールス」などを手がけている)。「キックアス」や「X-MENファースト・ジェネレーション」などで知られるジェーン・ゴールドマンが脚本を担当している。監督は"Eden Lake"で注目を集めたジェームズ・ワトキンス。村に漂う重苦しい空気や屋敷内の調度品、剥製、玩具の数々。そして徐々に本格的に高まっていく黒衣の女の脅威。どこか「リング」やタイのパン兄弟のホラー映画のような趣向なども彷彿とさせながら、暗闇に浮かび上がる呪いの表現も手を代え品を代え、実に巧みに織りなされている。

ホラー映画は交響曲と同じで、そのボルテージの醸成が上手ければ上手いほど、表向きの怖さとは別にある種の恍惚さが高まっていく。よく知られた物語をその世界観を完璧に把握、制御しながら繊細に味付けしている。そんなこだわりが十分に伝わってくる作品だった。

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イギリス滞在中Vol.3

ストラットフォードを離れ、地下鉄でピムリコ駅へ。ここで階段を駆け上がる途中で蒲田行進曲ばりに転倒してしまい、周りにいた男性に「なんてこった!大丈夫ですか!?」と抱え起こされるというハプニングもあり。幸い大事には至りませんでしたが、まだ左足が腫れています。

英国に滞在する折にはよくここへやってきます。テートギャラリー。

Dscn2775

現在はピカソ展のまっただ中ということで盛り上がりを見せているこの美術館ですが、常設展の鑑賞はすべて無料です。ここで必ずお目にかかることにしているのがこの絵

Dscn2773 ジョン・エベレット・ミレーによる「オフィーリア」です。ごぞんじシェイクスピアの「ハムレット」に登場する悲劇のヒロインをモチーフにした作品です。エベレット・ミレーをめぐっては現在このような映画企画も持ち上がっており、これがどうなるのかも気になるところ。

工事中の部分にはこんな幕が掛けられていました。

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工事が完成した暁にはここに描かれているような大行列が茶飯事の光景となるのでしょうか。またテートと通りを隔てた公園ではこんなモニュメントを見つけました。

Dscn2800

角度を変えて見ると、

Dscn2797_2 
彼らが見上げるものは何なのか分かりませんが、それが例え辛く悲しいものだったとしても決して俯かない、そんな平凡だけれども力強い精神状態を喚起させてくれます。

すぐそばにはテムズ河。その対岸にも不可思議な建築物がたたずんでいます。

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橋の向こうの建物を、僕は密かに「バルタン星人」と呼んでいます。

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イギリス滞在中Vol.2

ロンドン中心部から地下鉄で東に25分ほど行くと、ストラットフォードという街があります。今年の7月27日より開催されるロンドン・オリンピックのメインスタジアムを擁する街です。

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駅の改札を出ると、ピンクの作業服のような衣装に身を包んだスタッフが「オリンピック・パークはこちら!」と叫んでいました。

ちゃんとしたスタッフもいるのですが、場所によっては無愛想なスタッフもいて、だいたい目の輝きを見ればその人の意識の差が分かります。携帯で喋り込みながら誘導する人、日本の感覚で写真を撮ろうとすると「ダメダメ!」と拒否されたりも。彼らはサービス業として、あるいはボランティアとしてこの場に立ってるわけではないようです。オリンピック特需というものが失業対策として利用されていることをまざまざと見せつけられた気がしました。それでもこれから大量の観光客が押しかけてくることによって、彼らは少しずつ“もてなすこと”の意識に目覚めていくのでしょうか。

その誘導スタッフらが指差すのは階段の上の方。巨大商業複合施設Westfieldの敷地内を通り抜けると、徐々に見えてきました。ちなみにwestfield内の某レコード店舗では店員が店内で追いかけっこをしており、棚にぶつかった拍子に大量のDVDディスプレイを床にぶちまけていました。

Dscn2734
本来ならば青空の下に輝くオリンピックパークを拝みたいところでしたが、この日はあいにくの雨、そして強風。傘はラッパになり、レンズは拭いても拭いてもすぐに雨粒にさらされ、しかもこのあたりは雨風を遮るものがないので、モロに我が身が影響をこうむります。まるで苦行のようでした。それでも負けじと近づいてみます。

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この左側(スタジアムの外側)にそびえるモニュメントはインド出身の英国在住アーティスト、アーニッシュ・カプーア氏の設計によるもの。彼の作品は「ミッション:8ミニッツ」のラストにも象徴的な意味合いを帯びて登場したりもします。

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はたしてオリンピックではどんな役目を担うのでしょうか。楽しみでなりません。

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イギリス滞在中vol.1

ただいま筆者は英国に滞在しております。
1年半ぶりに訪れたロンドンは、オリンピック直前の突貫工事の影響か、列車で降り立った瞬間からノドに違和感を持ち何度も咳き込んでしまいました。本当に、今はとにかく空気が悪い。

でも、その代わりと言っては何ですが、地下鉄をはじめ街の至る所が綺麗に生まれ変わっています。ほら、あんなにジメジメと薄暗かった地下鉄の構内がこんなに明るく。

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そして、ロンドン市内の移動を手助けしてくれるのが、日本のSuicaやPasmoに相当する「オイスターカード」です。改札の黄色い部分にピッとかざすだけでOK。通常の切符よりもお得な運賃設定になっています。ただし発行するにはデポジット3ポンドが必要。

このカードに入金して残高を増やすことを、こちらでは“チャージする”ではなく"top up"という言葉を使います(水かさのトップが上がっていく感覚ですね)。

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さて、ここからどこへ行ったかというと・・・vol.2に続く。

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2012/02/21

【レビュー】アーティスト

流行と技術の相関関係は面白いもので、それは映画についても言えること。ちょっと前に3Dがもてはやされたかと思えば、今度はその揺り戻しでサイレント、しかもブラック&ホワイトときたもんだ。これはアンチ・テクノロジー組による由々しき逆襲だろうか?いやいや、人間とはそもそも生まれながらに発見し感動する生き物なのであり、その定義の難しい“感動”とやらは、経験則的に見て、どうやら自分の使い慣れない感覚が覚醒したときに最高値を迎えるらしい。現在、世界中の人々を魅了している『アーティスト』もその効用を見事に用いた作品といえる。

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まず座席に腰を落ち着かせた観客は、予告編が終わりいざ本編が始まろうかという時、目の前のスクリーン・サイズが(予告編よりも)グッと縮小されていく光景に驚くだろう。これは初期ハリウッドで用いられていた1.33:1という比率。これじゃダイナミックな映像が味わえないじゃないかと訝るのはやめよう。作り手は1920年代のハリウッド映画にリスペクトを捧げ、サイレント&白黒の趣向を最大限に堪能できる規格としてこのスクリーンサイズを選択している。

サイレントを誤解する人がいるが、上映中はシーンとしているわけではなく、常にサウンドトラックが高鳴っている。ただ登場人物たちが喋らないだけだ。彼らが“喋る”映画は“トーキー”と呼ばれ、この技術を用いた初の長編映画は1927年に公開された『ジャズ・シンガー』と言われている。ディカプリオ主演の『アビエイター』ではこの技術革命に主役のハワード・ヒューズが衝撃を受ける場面が盛り込まれている。そしてこの『アーティスト』もまさにその過渡期を描いた物語。

かつてサイレント映画の大スターがいた。彼に憧れる女優の卵がいた。女優にとって大スターは夜空に輝く星のような存在。手を伸ばしてもとても届かない。しかし時代が轟音を立てて激変する。トーキー技術の到来である。大スターは「そんなものは映画とはいわない」とばかりに否定した。そして没落していった。世界に不況がやってくる。人々は映画に夢を求めた。新しさを求めた。女優の卵はこのチャンスを機に大きく羽ばたいた。彼女は一躍、大女優に。いつしかふたりの立場は大きく逆転していた。しかし彼女はひとときたりとも彼のことを忘れてはいなかったー。

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本編を中盤ごろまで観ていると、なぜミシェル・アザナヴィシウス監督がこの映画をサイレントかつ白黒にしたのかその理由が分かってくる。おそらく彼の頭の中には技術の引き算としての『アーティスト』は全くなかったのだろう。よくある意図的に制限を設けてそこから飛び抜ける、といったものではなく、少なくとも僕の理解ではアザナヴィシウスは3Dを超えるエンタテインメントとして“足し算”としてこの手法を選びとっている。それが如実に分かるのが、大スターが時代に取り残されてしまった過酷な状況を楽屋のほんのワンシーンで巧みに描ききってしまう場面だ。誰もが「なるほど!」と手をポンと打ちたくなってしまう趣向が詰まっている。

サイレント時代の裏側を覗き見る上でも興味深く、スターと卵の純愛ムービーとしても胸熱くなり、方々で大絶賛されている名犬アギー君(彼はカンヌでパルムドッグを受賞)の演技と、またそれに匹敵するほどの名お抱え運転手ぶりを披露するジェームズ・クロムウェルの控えめな存在感を見逃してはならない(犬のように愛らしい表情のクロムウェルにもパルムドッグを与えるべきだ)。

そして何より、時代が一回転して至極新しい感覚をもたらしてくれる表現手法の数々をとくと味わうべし。ムルナウやフリッツ・ラング、ヒッチコック、ルビッチ、フォード、ワイルダーといった作品のクラシックの域に留まらない“永遠の新しさ”を知っている人はもちろん、それらを未体験の人にとっても新たな感覚を刺激されての映画観賞にドキドキ胸を弾ませ、いつしか二人と一緒に身体をスウィングさせながら華麗なステップを踏み出してしまうことだろう。

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2012/02/20

今から

今からイギリスへ行って参ります。
あちらで面白い映画にであった際にはこのブログ上でも御報告させていただきたいと思います。

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【興行】北米週末Ranking Feb.17-19

先.週までの復習は各自こちらにて行ってください。

【Feb.17 - 19 weekend 推計

01 Safe House $24.0M
02 The Vow $23.6M
03 Ghost Rider: Spirit of Vengeance $22.0M
 
04 Journey 2:The Mysterious Island 
$20.0M
05 This Means War $17.5M
06 Star Wars :Episode1The Phamtom Menace 3D $7.8M
07 Chronicle $7.5M
08 The Woman in Back $6.6M
09 The Secret World of Arrietty  $6.4M
10 The Grey 
$3.0M

Safe_house ■アメリカは月曜日がプレジデント・デイ(エイブラハム・リンカーンとジョージ・ワシントンが2月生まれなのを祝う日)にあたりお休み。先週に引き続き、俄然好調な映画興行が展開している。

■そんなジョージ・ワシントンを崇めたてまつるかのように、ボックスオフィスでは彼と同じ姓を持つ黒人俳優デンゼル・ワシントンが一気にスパークを遂げた。先週2位発進の"Safe House"は1ランクUPして王座を奪還。週末3日間の興収は2400万ドル。先週末比の下落率は40パーセントとなかなかの下げ止まりが働いている。公開10日間の累計興収は7830万ドル。製作費は8500万ドルとのことなので、来週の今頃までには越えているだろう。

Ghostrider■2位には先週爆発的なデビューを果たしたチャニング・テイタム&レイチェル・マクアダムス主演のラブ・ロマンス"The Vow"がワンランク・ダウン。下落率は先週末比43パーセント。こちらも下げ止まりが働いており、先週の大量動員が単なる一時的なものでないことが伺える。10日間の累計興収は8550万ドルを越えており、1億ドル突破も確実。製作費は3000万ドルというから、利益率もかなりのものだ。

■そして初登場組の切り込み番長を買って出たのは、ニコラス・ケイジ主演の"Ghost Rider 2"。当初はNO.1スタートが予想されていたが、デンゼル・ワシントンの思わぬ強さにひれ伏すこととなった。監督を務めるのは『アドレナリン』シリーズでコアな人気を持つマーク・ネヴェルディン&ブライアン・テイラー。観客層別に見ると、男性客が61パーセント、25歳以下は48パーセント。

■2週目の『センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島』はこの連休を見越してファミリー層を大量動員。先週末比の下落率は27パーセントと破格の強さを見せつけている(通常の映画であれば平均50パーセントほど落ちる)。しかしながらこの週末はファミリー層をも上回る大人層が勝敗を左右するという珍しい現象が巻き起こっており、健闘した本作でも4位という順位に留まった。累計興収は5320万ドル。製作費は7900万ドルほど。

■5位にはフォックスの新作アクション・コメディ"This means War"が初登場。興収1755万ドル。主演にはクリス・パイン、トム・ハーディ、リース・ウィザースプーンが揃い踏み。65パーセントが女性客で、25歳以上が6割を占めている。

■6位、7位にもフォックス作品が続く。『スター・ウォーズepisode1ファントム・メナス』は先週末比の下落率65パーセント。累計興収は3380万ドル。低予算SFの"Chronicle"は累計5000万ドルを超えた。

■さて、今週9位にはディズニー配給によりジブリ・アニメ『借りぐらしのアリエッティ』こと"The Secret World of Arrietty"が1500館規模にて初登場。興収640万ドルという数字は『ポニョ』の全米デビュー時の360万ドルを上回り、スタジオ・ジブリのアメリカにおける最高記録ということになる。

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2012/02/19

【NEWS】ベルリン映画祭最高賞はこの作品に

2月9日より開催されてきた第62回ベルリン映画祭が最終日を迎え、今年の金熊賞(最高賞)には18本のエントリーの中からイタリアが誇るヴィットリオ&パオロ・タヴィアーニ兄弟の"Ceasar Must Die"が輝いた。

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同作はローマにあるレビッビア刑務所で暮らす実際の受刑者たちにカメラを向けたドキュ・ドラマ。彼らが更生のためにシェイクスピアの戯曲「ジュリアス・シーザー」に取り組みリハーサルを重ねる様子を綴る。ほとんどのキャストが受刑者ということもあり、シェイクスピア悲劇を通じて彼らの人生が滲みでていたことが高評価に繋がった。

Berlinタヴィアーニ兄弟は兄ヴィットリオが82歳、パオロが80歳。1977年には『父/パードレ・パドローネ』でカンヌ映画祭パルムドール(最高賞)を受賞している。

ベルリン映画祭の賞の名称は独特で、金熊賞の次点にあたる審査員大賞から監督賞、女優賞、男優賞、芸術貢献賞、脚本賞に至るまで、主要賞のほぼ全てに“銀熊賞”という名前が付く。

この例にならうと今年の銀熊賞‐審査員グランプリには差別と暴力にさらされるロマの姿を描いたハンガリー映画"Just the Wind"が受賞。銀熊賞‐監督賞にはドイツ映画"Barbara"のクリスティアン・ペツォルド、銀熊賞‐女優賞には"War Witch"のレイチェル・ルワンザ、銀熊賞‐男優賞にはデンマーク映画"A Royal Affair"のミッケル・ボー・フォルスガードが輝いた。

なお、長編コンペ部門の審査にあたったのは、委員長マイク・リーを筆頭に、俳優のジェイク・ギレンホール、シャルロット・ゲンズブール、バーバラ・スコワ、映画監督フランソワ・オゾン、アスガー・ファルハディ、アントン・コービン、脚本家ボウアレム・サンザルといった面々。

そのほか、今年は短編コンペティション部門で和田淳監督のアニメーション作品『グレート・ラビット』が審査員賞‐銀熊賞、フォーラム部門に出品されたヤン・ヨンヒ監督による日本映画『かぞくのくに』がCICAE賞、青少年が審査にあたる部門では今泉かおり監督の『聴こえてる、ふりをしただけ』、平林勇監督の『663114』が受賞を果たすなど日本人の活躍も際立っていた。

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【NEWS】RED2の監督、最終交渉中

ハリウッド・リポーター誌によると、ブルース・ウィリスやモーガン・フリーマン、ジョン・マルコヴィッチ、ヘレン・ミレンなど華麗なる紳士淑女スパイを散りばめてヒットを飛ばしたアクションコメディ『RED』の続編監督として『ギャラクシー・クエスト』(99)や『ディック&ジェーン 復讐は最高!』(05)などで知られるディーン・パリソットが最終交渉に入っているという。

まだ契約済みのキャストはいないが、今のところウィリスをはじめ愉快で過激な仲間たちが再集結する可能性は高い。脚本家だけは何よりも先に決定済みで、前作に引き続きジョン&エリック・ホーバーがすでに執筆をはじめている。彼らは4月公開の超大作『バトルシップ』の脚本も手掛けている。

今やライオンズゲート傘下となったサミット・エンタテイメントは、今年の後半にも『RED2』を撮影入りさせたい構え。ブルース・ウィリスは今年、フォックスの『ダイハード5』の撮影も控えており、“世界一運の悪い男”を演じきった後に、満を持して本作に全力投球するものと思われる。

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2012/02/18

【レビュー】ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

『リトルダンサー』のスティーヴン・ダルドリー監督が、新たな最強の子役と共に奇想天外なヒューマンドラマを放つ。それはジョナサン・サフラン・フォア原作からして小説の枠を飛び越えて受け手に多種多様な想いを喚起させる作品だった。

舞台となるのは9・11から1年後のニューヨーク。父を失った少年があの日の無慈悲な記憶と、創造性の飛翔との狭間に身をさらし、父の遺品から見つかった「鍵」をめぐって多くの人たちと出逢い、そして対話を重ね、父のメッセージに耳を澄まそうとする物語だ。このプロットから「まるでポール・オースターの小説のような」との想いを抱く人も多いだろう。

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本作に関しては複層的な次元の読み解き方があると思う。ひとつはサフラン・フォアの過去作「エブリシング・イズ・イルミネイテッド」(本作は『僕の大事なコレクション』という邦題で映画化されている)と同じく、作者のユダヤ人としてのルーツを探訪するという見方。つまりは人生において唐突に巻き起こる“受難”についての物語として、9.11を捉える見方である。

もちろんここではユダヤ人としてのスタンスはそれほど前面には押し出されず、むしろ多種多様な民族が同居するこの街でそれぞれの“痛み”を共有しあうことによってユダヤ性は中和されていく。それがサフラン・フォアの目論見のように思える。前作ではウクライナで見つかった答えが、今回はまさに“ありえないほど近い”ニューヨークに埋まっているというわけだ。

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もうひとつは、9.11により父を失った、もっと言えば、遺体も見つからず空の棺桶を埋葬するという儀式性のうちに父の消失を受け入れねばならなかった少年が、宙ぶらりんの虚無感を抱えつつ、どこかにあるはずと信じる“意味”を求めて手探りの冒険を繰り広げるという物語的次元だ。

彼は自身のどうしようもない想いをこう口にする。

「太陽が爆発しても僕らは数分間気づかない。まるでそのタイムリミットが過ぎ去るかのように、僕はもうじき、パパの不在を受けいれ、その思い出や温もりを忘れてしまいそうだ」

ある者はこの少年についてPTSDのようなものだと指摘するかもしれない。初年は「アスペルガーのテストを受けたこともある」と打ち明ける。「結果は否だった」とも。

このような症状に対処する心理学的アプローチとして、「あらかじめ予定されたストーリーに主人公として参加させる」というセラピーがある。付与されたストーリー(ミッション)に対処しそれを全うすることによって何かを発見し、何かを受け入れる道が開かれていく。これはM・ナイト・シャマラン監督作『レディ・イン・ザ・ウォーター』にも用いられていた手法だ。少年がニューヨーク中の無数の“ブラックさん”と身を寄せ合い、痛みを語りあう様は、ある種のセラピーのようでもある。トム・ハンクス演じる父親がかつて少年に課していた数々の冒険も、これに似たものと言える。

しかしながら少年は時にパニック障害のように感情を爆発させ、手がつけられなくなる。冒頭に「最強の子役」と述べた理由はここにある。彼は映画の主人公だからといって他人に媚びることをしない。生来溜めこんできた子どもとしての怪物性を存分にまき散らしながら突き進んでいく。ときに観客は彼のことを嫌いになるかもしれない。また嫌いになった自身に対してもひどく嫌悪感をいだくかもしれない。少なくとも僕自身がそうだった。

しかしその嫌悪感が絶頂に達しようというとき、この映画にはまるで観客と少年を救済する天使のごとく、ひとりの老人が顔をのぞかせる。セリフは一言もない。文字通り、恐る恐ると顔をのぞかせるのだ。

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その尊い存在こそマックス・フォン・シドーである。『エクソシスト』の最強の悪魔払いであり、『ハイジ』では世界名作劇場アニメで育った人にとってもイメージぴったりのおじいさん役を演じたその人。今年のアカデミー賞では助演男優賞にノミネートを果たしている。

彼の演じる人物はかつて経験した恐ろしい出来事により声を失ったと語る。伝えたいことはメモ帳に走り書きし、その両手には人間が成しうる最も容易なコミュニケーションの答え"YES"と"NO"が刻まれている。

これまで少年のモノローグによって言葉の飽和状態に達し傾き始めていた映画の軸が、微妙に修正される。この瞬間から本作は、言葉を超えた精神性の物語へと移行し始める。少年は旅の仲間を得た。不協和音はコードを見出した。それはすべてのあるべきパズルが見事にハマったかのような本当に心地の良い時間だった。

ひとつの経験は波及していく。「鍵」がどこへ行きあたるのかは秘密にするとして、少年にとってのセラピーとも思えるこの冒険譚は、やがて、彼にとっていちばん身近な存在との距離を縮めていく道を切り開く。

本当に大切なことは目には見えないし、いちいち言葉では表現されない。または簡単に手に入る答えなど存在しない。重要なのは答えではなく、その過程。そこで出会った人々と互いに何を感じ、何を共有できたか―

そんなメッセージを受け取れたような気がした。

って、こんな想いを文字に託している時点で’(私が)ダメなんですけれどね。

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2012/02/17

【NEWS】新ゾロ役にガエル・ガルシア・ベルナル

怪傑ゾロといえばアラン・ドロンの当たり役や、最近ではバンデラス主演の『マスク・オブ・ゾロ』や『レジェンド・オブ・ゾロ』などが記憶に新しいが、Varietyによるとこのたび20世紀フォックスにて企画中の新たな「ゾロ」映画の主演に『モーターサイクル・ダイアリーズ』などで知られるガエル・ガルシア・ベルナールが内定したそうだ。

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このフォックス版「ゾロ」はこれまでとはかなり勝手が違っている。というのも、まずその舞台となるのが地球が荒廃した後の未来世界なのだとか。そしてゾロ自身もお馴染みの“義賊”としての要素は薄く、復讐を胸に秘めた自警団的(つまりはバットマンなどに似た存在ってことだろうか)な設定になるのだとか。

またソニー・ピクチャーズも同じ「ゾロ」の企画を温めているさなか。こちらは2005年に出版された小説をもとにした「エピソード1」的な内容になる予定。 

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【取材】『ヒューゴの不思議な発明』スコセッシ来日会見

3月1日に迫った『ヒューゴの不思議な発明』の日本公開、そして最多11部門にノミネートされているアカデミー賞の発表を前に、あの巨匠マーティン・スコセッシ監督が来日。六本木のリッツカールトン・ホテルにて記者会見が行われた。

『タクシー・ドライバー』や『レイジング・ブル』でアメリカン・ニューシネマを牽引し、『ディパーテッド』で念願のアカデミー賞作品賞を受賞した彼だが、『ヒューゴ』ではこれまでとは打って変わって子どもたちの心の中に入り込み、たゆたうように自由で開放的なファンタジー映像を紡いでいく。しかも今作は彼の長いキャリアにおける初の3D映画となる。

Scorsese
「これは私にとってパーソナルな作品であり、これまでとは違った思い入れがあります」

そう口にするスコセッシは、その“パーソナル”な理由として、自分が歳を取ってから授かった、現在12歳になる愛娘の存在を挙げて表情をほころばせた。

これまでギャング映画などを手掛けてきた巨匠が、家に帰ると幼子と対峙して彼女の心理に寄り添わねばならないのだ。彼は娘やその友人たちの思考や感受性といったものに大きな影響を受けたという。それはまさに世界観が一変するような素晴らしい経験で、「かつて若かった自分が様々なものから創造性の刺激を受けていた時代に回帰することができた」のだそうだ。これらの経験を踏まえて彼はこう言う。

「大人の感覚を持つということは仕事をする上でとても大事なこと。しかしどれだけ歳を経ようとも、創造性だけは決して阻害されてはならない」

また今回の映画化を決心するにあたっては、奥様がふと漏らした言葉も彼の心を後押ししたようだ。彼女はそのときちょうど原作を読み終えたころで、彼にこう言った。

「あなたも時には、自分の娘のために映画を作ってみたら?」

スコセッシは今年70歳。この言葉が彼の心の中でどれだけ重く響いたかは、まるでスノードームを見つめるかのように彩られたこの映画を観ればすぐに伝わってくるはずだ。

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2012/02/16

【NEWS】ベルリン映画祭で話題沸騰中のSF映画

ベルリン映画祭のパノラマ部門で上映されたフィンランド産SFコメディ"Iron Sky"が脚光を浴びている。その内容たるや・・・第2次大戦末期、ナチスドイツの残党は秘かに月へと逃れ、再び地球を征服する機会を虎視眈々と伺っていた。そして2018年、時は満ちた。われわれ人類は空より飛来せし彼ら「第4帝国」との壮絶な戦いを余儀なくされる!

映画祭でのチケット争奪戦も過酷を極めたようだが、その甲斐もあって上映は大盛り上がりだった模様。もちろん開催地が開催地なだけに、ナチスを題材にしたデリケートな内容に眉をひそめる人もいるようだが。

もちろんネタにされるのはナチス・ドイツだけでなく、防戦する地球側も同様。とりわけ未来世界のアメリカではこんな人物が国家を率いているときたもんだ。

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本作はイギリスとフィンランドで4月4日より公開。その翌日にはドイツでも公開される。アメリカでの配給は現在交渉中とのこと。

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【NEWS】米TVドラマのホームズ役、決定

Miller コナン・ドイル原作の「シャーロック・ホームズの冒険」を現代版にアレンジしたBBC製作のTVドラマ「シャーロックが」が世界で大絶賛を博しているのは周知の通りだが、これを受けてアメリカはアメリカで、現代のニューヨーク・シティを舞台にホームズの活躍を描く新ドラマを開発中だ。その主演に『トレインスポッティング』のシックボーイ役やTVシリーズ「デクスター」でも知られるジョニー・リー・ミラーが決定した。

CBSが製作するこのドラマのタイトルは"Elementary"。なぜ「シャーロック」とか「ホームズ」ってタイトルじゃないの?という声も聴こえてきそうだが、世界中のシャーロッキアンにとってこのワードは「初歩的なことだよ、ワトソン君(Elementary, my dear Watson.)」というセリフの響きを伴った馴染み深いものかもしれない。ちなみにこのセリフはドイルの原作にはほとんど用いられておらず、その後の幾度にもわたる舞台化、映画化、ドラマ化などで使用され、徐々に定着していったものだ。

アメリカでテレビシリーズを始動するにあたってはまず“パイロット版”と呼ばれる試作品を製作する伝統があり、この完成度によってシリーズ本稼働か、あるいはお蔵入りかが決定される。ジョニー・リー・ミラー主演の"Elementary"もまずこのパイロット版が作られ今後の審判を仰ぐこととなる。

Franken ジョニー・リー・ミラーは昨年、ロンドンで上演されたダニー・ボイル演出の舞台「フランケンシュタイン」にも出演。このとき彼はBBCドラマ「シャーロック」でタイトルロールを演じるベネディクト・カンバーバッチと共演を果たしている。

いま思えば彼の米版シャーロックへの就任はすでにあの頃から運命づけられたものだったのかもしれない。

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2012/02/15

【NEWS】パラノーマル創始者による新作ホラー

『パラノーマル・アクティビティ』でホラー映画に革命を巻き起こしたオーレン・ペリ。その後も『パラノーマル』シリーズにプロデューサーとして関わり、テレビシリーズ"The River"を手掛け、『パラノーマル』以来となる監督作"Area 51"の公開も待たれる彼が、また新たなホラー映画を世に送り出そうとしている。

本作のタイトルは"Chernobyl Diaries(チェルノブイリ・ダイアリーズ)"。ペリはプロデュース、原案、そして脚本を担当。監督にはこれがデビュー作となるブラッド・パーカー。彼は『モールス』などでVFXスーパーバイザーを担った人物でもある。

舞台となるのはウクライナの都市プリピャチ。かつてチェルノブイリ原発の作業員らの家族が数多く暮らしていたこの街は今やゴーストタウンと化していた。と、ここにヨーロッパを旅行中の仲間たちが迷い込んできてしまう。頼れる者も見つからず途方に暮れる彼ら。しかしそこには彼らだけでない何者かの気配が・・・。

本作はすでにアルコン・エンタテインメントが権利を取得。アメリカではワーナー・ブラザーズ経由で今年のメモリアル・デイ(5月の最終月曜)に公開される。原発事故を経験した日本人にとってはナーバスにならざるをえない内容のようだが、リリースによるとアルコンは北米の他にもドイツ、スペインそして日本での配給権も取得しているようで、同社がはたしてどのような方向性を模索しようとしてるのか気になるところだ。

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【NEWS】タンタン2はピーター・ジャクソンが監督予定

2011年はスピルバーグが初の3Dアニメーションを世に送り出した記念すべき年となった。アメリカではそれほど振るっていない『タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密』だが、ワールドワイドに視野を広げれば興収3億7000万ドル越えのヒット。製作陣も予定通り3部作構想の次回作に向けて動き出しているようだ。

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Total Filmが直接スピルバーグから聞き出したコメントによると、この企画の立役者であるスピルバーグ&ピーター・ジャクソンの間には当初より「おれが1作目を監督するから、きみは2作目をよろしく!」と言う約束があるらしく、スピルバーグ自身は2作目も続投したいが「ピーターがやらなきゃならん」とのこと。現在、『ホビット』2部作を製作中のピーター・ジャクソンはこれを終え次第、すぐにエルジェの世界へ“監督”として帰還することになりそうだ。もちろんスピルバーグもプロデューサーとして本作にかかわる。

ちなみに『ユニコーン号の謎』はエルジェの原作3冊分(「なぞのユニコーン号」「金のはさみのカニ」「レッド・ラッカムの宝」)の要素を合わせた内容だったが、それでは続編はどうなるのだろうか。スピルバーグは「どの原作をベースにするかはまだ言えないよ」とコメント。以前、プロデューサーのキャスリーン・ケネディが"The Calculus Affair"(「ビーカー教授事件」)というタイトルを示唆したことについても「まだ決定には至っていないんだ。(ケネディは)きみの書く記事を混乱させようとしているのかもね!あるいは本当にそうかもしれない。ぼくも『ビーカー教授事件』は好きだよ。ありえるかもね」。

実際の進捗状況としては、「ようやく物語のあらすじが固まったところだ。目下、脚本家がこの仕事にあたってくれている。どの原作になるかは公言しないけれど、(前作は3冊分だったに対し)今回は一冊以上、2冊以下ってところかな」。

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2012/02/14

【NEWS】デル・トロが「美女と野獣」を監督

Imagescao3wh0w 昨夏よりウワサされていた企画がようやく実現に向けて動き出した。

『ハリー・ポッター』シリーズのエマ・ワトソンが主演する映画版「美女と野獣」にギレルモ・デル・トロが監督&製作として携わることとなった。本作は民話「美女と野獣」のストーリーラインをアレンジしたロビン・マッキンリー著"Beauty:A Retelling of the Story of the Beauty and the Beast"を原作としたものだが、映画化にあたってはこれに更なる脚色が加えられるとのこと。製作スタジオのワーナー・ブラザーズはさっそく『ブリジット・ジョーンズの日記』や『三銃士』で知られるアンドリュー・デイヴィーズに白羽の矢を立て、この脚本執筆にあたらせる模様だ。

デル・トロは現在、カナダはトロントにて最新作"Pacific Rim"を監督中。地球外モンスターの襲来に対し地球人が巨大ロボットを駆使して応戦するというプロットには日本伝統のロボ・アニメ臭がプンプンと漂ってくるが、これ以降にもデル・トロの周辺には大量の映画企画が堆積している。ドリームワークスのアニメーション「トロールハンターズ」やら、「ホーンテッド・マンション」を題材にしたディズニー映画やら、ユニバーサルとの間にはジキル&ハイドや、フランケンシュタインをモチーフにした映画の企画も浮上中。

いまのところ"Beauty~"はデル・トロの次回作として起動する可能性が高そうだが、すべてはデイヴィーズの手掛ける脚本の仕上がり具合にかかっていると言えそうだ。

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【MEWS】ベイ監督、トランスフォーマー4も続投

本日は『トランスフォーマー』をめぐってニュースの飛び交う一日のようだ。まずはシリーズの製作者のひとりであるロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラが現在開催中のトイ・フェアにてMTVの取材カメラに向かってうっかりと『トランスフォーマー4』の構想を漏らしてしまった。そこで打ち明けられたことを要約すると以下の3点となる。

①4作目もまたマイケル・ベイが監督続投し、2014年夏の公開を予定していること
②前3部作とは一線を画した新機軸。しかし世界観は連続しており、新たなキャストを迎える一方、続投するキャストもあり。
③キャスティングに関しては白紙状態。まずはストーリーなくしては何も始まらない。以前報じられたジェイソン・ステイサム起用のウワサは全くバカげている。ただしオプティマスとバンブルビーは出ると思うよ。

Transformers
さて、この唐突なリークに不意をつかれたのはマイケル・ベイと&製作スタジオのパラマウントだった。同社はすぐさま正式なリリースにて以下の2点を確定している。

①パラマウントとマイケル・ベイは正式に2本の映画について契約を交わした。ひとつはマーク・ウォルバーグ&ドウェイン・ジョンソン主演の"Pain and Gain"。こちらは春頃の撮影入りを予定。そしてもうひとつはもちろん『トランスフォーマー』の最新作。

②『トランスフォーマー4』の公開日は2014年6月29日に決定。

これにより、一部でウワサされていた4作目と5作目を一度に撮り上げてしまうという可能性は否定されたことになる。

ちなみに今回のニュースで気になるのは映画そのものよりも今後のスタッフの人間関係だ。Deadlineによるとパラマウント首脳陣やマイケル・ベイはボナヴェンチュラのリークに対し激怒しているそうで、彼にはお灸がたんと据えられることになりそうだ。

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【予告編】Abraham Lincoln Vampire Hunter

古典とゾンビのハイブリッド小説「高慢と偏見とゾンビ」で旋風を吹き起こした気鋭の作家セス・グレアム=スミスによる話題作「ヴァンパイアハンター・リンカーン」が遂に“映画版”としてその予告編がベールを脱いだ。

『ダーク・シャドウズ』の公開を控えるティム・バートンと『ウォンテッド』のティムール・ベクマンベトフが揃って製作を担い、ベクマンベトフが監督を務める。出演はベンジャミン・ウォーカー、ルーファス・シーウェル、ドミニク・クーパー。すでにタイトルだけで9割近くの世界観を物語っているが、歴史上もっとも名高い合衆国大統領が特製の斧を振り回して闇にうごめくヴァンパイアたちと死闘を繰り広げるという内容。

アメリカでの公開は6月22日。

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2012/02/13

【賞レース】英国アカデミー賞は『アーティスト』が7部門制覇

Bafta 英国アカデミー賞の授賞式がロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスにて開催され、今年は12部門で最多ノミネートのフランス資本の『アーティスト』が、作品賞をはじめ監督、主演男優、脚本、撮影、作曲、衣装の7部門を制覇。

そのほか主演女優賞には米女優ながらも英国史上初の女性首相を果敢に演じてみせたメリル・ストリープ、助演男優賞には『人生はビギナーズ』のクリストファー・プラマー、助演女優賞には『ヘルプ』のオクタヴィア・スペンサーが輝いた。

Bafta_hazanavicius 2月末に控える米アカデミー賞でも最有力と見られる『アーティスト』は、すでにこれまでの賞レースにて数多くの受賞スピーチを経験しているだけあり、ミシェル・アザナヴィシウス監督のマイクパフォーマンス技術もすでに余裕が感じられるほどこなれてきている。

以前にもロバート・デ・ニーロから「発音しやすい名前に改名したほうがいい」ジョークのネタにされたアザナヴィシウスだが、今回はプレゼンターのブラッド・ピットに対して「私の名前をとても上手に発音してくれ、光栄です。ありがとう」と敬意を表して観客の笑いを誘いつつ、「私は監督という仕事柄、最悪の気分に陥る日も多々あるけれど、それでも今日という素晴らしい日のことを生涯忘れないでしょう」。

彼は脚本賞を受賞する際には「この映画はサイレント映画ゆえに脚本なんて存在しないものと誤解されがちなのですが・・・さすがは英国の皆さん、見るところが一味違いますね」。これまた多くの笑いを獲得していた。

Bafta1 またメリル・ストリープは自分の名前が発表された瞬間、大きく天を見上げ「オーマイゴッド!」と口にし、壇上に昇る際には階段につまづき靴が脱げてしまうというハプニングも。そこにプレゼンターのコリン・ファース(彼は昨年の主演男優賞の受賞者)がすかさずフォローに回り、ステージ上ではまるで「シンデレラ」のワンシーンのように片方の靴が持ち主の足へと帰還を遂げる光景が恭しく演じられた。

さて、英国アカデミー賞には英国映画のみに限定された部門も存在する。その「最優秀英国映画賞」に輝いたのはゲイリー・オールドマンが老スパイ“スマイリー”を演じる『裏切りのサーカス』(原題Tinker, Tailor,Soldier,Spy)だった。

本作の監督を手掛けたのは『ぼくのエリ 200歳の少女』で注目を集めたスウェーデン出身の映画監督トーマス・アルフレッドソン。ちなみに本作の製作会社にはフランス系のスタジオ・キャナルも名を連ねている。かくも多国籍な才能に加え英国の芸達者な俳優らが入り乱れた本作についてアルフレッドソン監督は「才能ある人さえ集まったなら、あとは傑作が生まれるのなんて至極容易いことです」とスピーチ。

さらには本作は最優秀脚色賞をも獲得した。壇上に立った脚本家ピーター・ストローガンは「『アーティスト』が原作モノでなかったことに感謝します」と切り出しながらも、共にこの作品の執筆にあたり完成版を観ることなく昨年他界した妻ブリジット・オコーナーの存在に触れた。

「素晴らしいシーンはすべて彼女が手掛け、僕がやったのはもっぱらコーヒーを淹れることくらい。ブリジット、愛してるよ。君のことがとても恋しい。心からこの賞を捧げます」

また、英国における新人監督作品の中から最も優れたものを選出するデビュー賞ではパディ・コンシダイン監督作"Tyrannosaur(ティラノサウルス)"が受賞している。

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【興行】北米週末Ranking Feb10-12

先.週までの復習は各自こちらにて行ってください。

【Feb.10 - 12 weekend 推計

01 The Vow $41.7M
02 Safe House $39.3M
03 Journey2: The Mysterious Island   $27.5M

04 Star Wars :Episode1The Phamtom Menace 3D
$23.0M
05 Chronicle $12.3M
06 The Woman in Black  $10.3M
07 The Grey $5.0M
08 Big Miracle $3.9M
09 The Descendants  $3.5M
10 Underworld Awakening 
$2.5M

■ボックスオフィスに異変が起きている。2012年に入ってからというもの、軒並み好セールスが続いているのだ。先週のスーパーボウルにおける映画興行の好調ぶりもさることながら、なんら休日にかかっていない今ターム(金~日)でもその勢いは持続どころか、ますます輝きを増してきた。

その理由としては初登場の1~4位までの棲み分けがかなり明確に行われていることが挙げられる。つまり恋愛ムービーから家族向けアドベンチャー、大人向けアクション・スリラー、そしてファンボーイ向けの伝説的SF大作の3Dリバイバルと、あまりにドキドキするラインナップが並んでいるゆえに、その横並びの劇場番組編成が功を奏したわけである。つくづく映画興行は際立った1本だけの面白さでは巨石は動かせず、それらが束になったときにはじめて真価が導き出せるものなのだ。

■まずは1位の"The Vow"はチャニング・テイタムとレイチェル・マクアダムス主演のヴァレンタイン向けラブストーリー。これが興収4170万ドルを記録。製作費は3000万ドルと見られており、たった3日間で軽くカバーしたことになる。観客層別にみると実に全体の72パーセントが女性客、それに25歳未満の観客が全体の55パーセントを占めた。

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Safehouse_2 ■デンゼル・ワシントン&ライアン・レイノルズ主演の"Safe House"は予想に反して女性客の入りも良かったようだ。その比率は50パーセント。年齢別では30歳以上が6割を占める。また人種的にもアフリカン・アメリカンの4割を筆頭に、ヒスパニック系3割、白人層2割と多岐にわたっている模様。つまりはこれがデンゼル・ワシントンの力なのだろう。なお製作費は8500万ドル。回収にはやや時間がかかりそうだ。

■3位には3Dブームの先駆けとなった『センター・オブ・ジ・アース』の続編『センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島』がランクイン。前作を率いたブレンダン・フレイザーに代わり、今回の主演を担うのは『ワイルド・スピード MEGA MAX』も好調だったドウェイン・ジョンソンだ。前作のオープニング興収2100万ドルを上回る成果にまずはホッと一安心といったところか。本作は封切日の金曜にはかなりの苦戦を強いられていたようだが、そこから口コミ効果が火を付けたのかグンと数字が伸ばしてきた。やはり3D仕様やIMAX劇場にて追加料金を支払うにあたって、観客側はまずそれが料金にふさわしいクオリティなのかどうか人々の反応を見極めてから実際の行動に出るようだ。製作費は7900万ドル。

■さて4位には、あの『スター・ウォーズepisode1ファントム・メナス』が3Dへのバージョンアップを遂げて帰ってきた。この3D化構想が発表されたときの反響からいって当初は初登場NO.1に輝くくらいの勢いなのかと予想していたが、なんと蓋を開けてみると4位始動。観客の6割が男性で、その49パーセントが25歳以下とのこと。ルーカスフィルムはこのシリーズを1年に1本ずつ3D化していく予定で、これから息の長いフォースがボックスオフィスをどう席巻していくのか見極めたいところだ。

■先週の覇者"Chronicle"は5位へダウン。その下落率は44パーセントとやや下げ止まりが効いた格好となっている。累計興収は4000万ドルを超えたあたり。製作費は格安の1200万ドルゆえ、大きな利益率となりそうだ。

■2位には『ハリー・ポッター』シリーズのダニエル・ラドクリフ主演のゴシック・ホラー"Woman in Black"は先週に比べて約51パーセント減。累計興収は3550万ドルほど。本作は母国イギリスでも劇場公開され、ボックスオフィスNO.1の座を獲得している。

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2012/02/10

【NEWS】Paradise Lost製作中止か?

Deadlineによると、製作費を抑えるべく大幅な企画見直しが図られていた"Paradise Lost"が事実上の製作中止に見舞われたようだ。

Paradise_lost
本作はジョン・ミルトン著「失楽園」を大胆に脚色し、堕天使ルシファーによる反乱をVFXを駆使した壮大なスケールで描くというもの。監督には『ノウイング』や『ダーク・シティ』のアレックス・プロヤス、出演にはブラッドリー・クーパーを筆頭にベンジャミン・ウォーカー、ディエゴ・ボネタ、カミラ・ベレ、ケイシー・アフレック、ジャイモン・フンスーといった面々が決定済みだった。

これまでにもワーナーブラザーズと組んで様々な名作を生んできたレジェンダリー・ピクチャーズだが、製作チームが求めていたビジョンはパフォーマンス・キャプチャー技術をVFXと融合させて天使たちのバトルを描くという極めて斬新かつ大がかりなもので、これを実現するとなると現在のバジェットではとても賄えない。この難関に対処すべくまずは12月ごろにいったん製作を中断し必死の規模修正に取りかかってはみたものの、技術と予算の溝はなかなか埋まらず、ついに苦渋の“中止”という結論に達したようだ。

今後ふたたび本企画が陽の目を見る可能性はあるのだろうか。Deadlineの同記事によると「可能性はあるだろう。しかし少なくとも技術が絡んだことなので、(現行と同じ予算で臨むならば)ある程度の期間が必要かもしれない」とのこと。

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【NEWS】ダイアナ役にナオミ・ワッツ

1997年、不慮の事故により36歳の若さで命を落としたダイアナ元皇太子妃の最期の2年間を描いた映画"Caught in Flight"にナオミ・ワッツが主演することが発表された。『ヒトラー 最期の7日間』のオリヴァー・ヒルシュビーゲルがメガホンを取る本作をめぐっては、当初『ツリー・オブ・ライフ』のジェシカ・チャステインの主演を見据えて調整が進められてきたが、こちらはスケジュールの都合により叶わなかったようだ。

Caught
本作はダイアナとパキスタン人の心臓外科医ハスナト・カーンとの恋愛関係を描くものと見られている。ふたりは1995年ころから、ダイアナの死の数ヶ月前まで交際を続けていた。

ナオミ・ワッツは現在43歳。『キング・コング』やハリウッド版『ザ・リング』、『21グラム』、そしてクリント・イーストウッド監督作『J.エドガー』ではディカプリオ演じるフーバー元FBI長官を支える有能な女性秘書として数十年に渡るクロニクルを演じきったことも記憶に新しい。今回の主演についてワッツは「彼女のような時代のアイコン的存在を演じられるなんて光栄です。ダイアナ妃は世界中の人々から愛された人。そのような役に挑戦できることがとても楽しみでなりません」と語っている。

またヒルシュビーゲル監督はワッツについて「ダイアナという世界的アイコンの醸しだす温かさや人間性を体現できる極めて稀な才能」と賞賛している。

本作は今年の後半に撮影入りする予定。

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2012/02/09

【NEWS】映画メリー・ポピンズの誕生秘話に迫る

DEADLINEによると、名作映画『メリー・ポピンズ』の誕生にまつわる裏話を綴った脚本の権利を他ならぬディズニーが取得しようとしているようだ。これはケリー・マーセルという脚本家が執筆した"Saving Mr. Banks"というタイトルの作品で、2011年にはブラックリスト(スタジオ重鎮が選ぶ未製作の優秀脚本)入りも果たしている。

この脚本はウォルト・ディズニーが「メアリー・ポピンズ」の映画化をめぐって、なかなか首を縦に振らないオーストラリア生まれの女性小説家P.L.トラヴァースを地道に説得していく過程を描くと同時に、彼女がこの有名小説にどのような想いを詰め込んだのかという内なる秘密にも触れている。とくに脚本のタイトルにもある厳格なお父さん"Mr.Bank"のモデルはトラヴァースのお父上と言われており、原作中でも実際の父娘の関係性が少なからず反映されているという。その父もトラヴァースが7歳の時に他界している。

これらの大切な想いもあってか、『メリー・ポピンズ』の映画製作は難航を極めた。そして大絶賛を浴びた完成版を目にしたトラヴァースは自分の意志にまるでそぐわないその作りにショックのあまり涙すら流したと言われる。彼女はシャーマン兄弟による楽曲群に嫌悪感をあらわにし、それにポピンズらが絵の中に飛びこみ実写とアニメーションが融合するシークエンスが大嫌いだったとのこと。加えて原作では少々ドギツイところのあるポピンズが映画版では誰からも好かれる明るく朗らかなキャラで描かれていたことも不満だったようだ。これらのことも相俟って、これ以降、数ある「ポピンズ」シリーズ続編の映画化にはついぞお許しが出なかった。

『英国王のスピーチ』といい『マリリン 7日間の恋』といい、現在企画中のグレース・ケリーについての映画など、なにかと実在した人物の秘話に注目が集まっている映画界。我々の伺い知らなかったこれらの内幕がどのように明かされていくのか、映画の着工、そして完成が楽しみでならない。あ、その前にまずは脚本売買が無事に成就することを祈るばかりだ。

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【予告編】The Bourne Legacy

『ボーン・アルティメイタム』から5年。あの“ボーン”シリーズがフランチャイズ化されて戻ってくる。今回の主人公はジェイソン・ボーンとは違うまた別の男。新たにジェレミー・レナーが登板にあたるこの役もまた、ボーンと同じく“プログラム”に参加することでアイデンティティを消失した凄腕のエージェントの模様だ。監督を務めるのは前シリーズの脚本担当で、自らも『フィクサー』『デュプリシティ』を監督したトニー・ギルロイ。

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2012/02/08

【NEWS】シーモア・ホフマンがコービン監督作に出演

Seymore 高名な写真家でもあり、そのアーティスティックな感性を『コントロール』や『ラスト・ターゲット』といった映画作品でもいかんなく発揮してきたオランダ出身のアントン・コービン監督が、次回作としてジョン・ル・カレ(『裏切りのサーカス』『ナイロビの蜂』の原作)の"A Most Wanted Man"を準備中なのは既報の通り。

その作品のキャストとしてアカデミー賞受賞俳優フィリップ・シーモア・ホフマンの参加が決定した。

本作はハンブルグのイスラム地区に潜伏するチェチェン/ロシアのハーフの青年にテロリスト容疑がかかり、彼がこの国にやってきた真意をめぐって人権派の女性弁護士やドイツの諜報機関などを巻き込んだミステリーが展開していくストーリー。シーモア・ホフマンはこの諜報機関のチーフを演じる。

ちなみに原作者ル・カレは、とあるトルコ系ドイツ人の男性がパキスタンで拘束、グアンタナモ収容所へ送還され、その後2006年に釈放された事件に注目し、そこから本作の着想を得たと言われている。

"A Most Waned Man"はベルリン映画祭におけるフィルム・マーケットでワールド・セールスが開始され、実際の撮影は今年の9月ごろに行われる予定。

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【NEWS】ゴードン=レヴィットが監督デビュー

Imagesca8cn6eq かねてより俳優仕事に留まらないクリエイティヴな活動で知られるジョゼフ・ゴードン=レヴィット(500日のサマー、50/50、インセプション)が劇場長編映画で監督&脚本デビューを果たすことが明らかとなった。

タイトルはまだ決まっていないが、現代のドン・ファン(プレイボーイってことですね)とも言うべき主人公が真実の愛を見つけるまでを描いたコメディになるようだ。ヒロイン役のひとりにはスカーレット・ヨハンソンが決まっている。撮影は4月16日よりLAで開始予定。

ゴードン=レヴィットといえば2012年にも待機作が目白押し状態だ。『インセプション』で組んだクリストファー・ノーラン監督によるバットマン最終章『ダークナイト・ライジング』をはじめ、『Brick』のライアン・ジョンソン監督の最新作"Looper"、名脚本家デヴィッド・コープが監督を務める自転車アクション"Premium Rush"、それにスピルバーグ監督作"Lincoln"の公開も年末に控える。古くは子役時代からこれらの匠たちの仕事ぶりを間近で見つめてきたゴードン・レヴィットだけに、その培った才能をどのようにスクリーンへと昇華させるのか楽しみだ。

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2012/02/07

【予告編】アメイジング・スパイダーマン

インターネット上に『アメイジング・スパイダーマン3D』の新予告編がドロップされた。『(500)日のサマー』のマーク・ウェブが監督を務める本作は、そのメインキャストも前シリーズのトビー・マグワイアから『ソーシャル・ネットワーク』のアンドリュー・ガーフィールドにバトンタッチ。ヒロイン役を『ヘルプ』のエマ・ストーン、悪役リザードを『ノッティングヒルの恋人』や『パイレーツ・ロック』でおなじみのリス・エヴァンスが演じる。

日本では世界に先駆けて6月30日に封切られ、アメリカでは7月3日に公開。

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【NEWS】オスカー候補者の昼食会

明日のライバルは今日の友。今月の26日に行われる第84回アカデミー賞授賞式を前に、その候補者たちが一堂に会する恒例の昼食会が開かれた。参加者は188候補のうち150人。ざっと見たところ、テレンス・マリックやクリストファー・プラマー、ジェシカ・チャステイン、ウディ・アレンらの姿は見当たらないようだ。

Oscarnomineesluncheon2012_4  
いったいどこに誰がいるのか。まるで「ウォーリーを探せ」のようだが、よーく見ると、最後列にブラピやメリル・ストリープ、ルーニー・マーラ、ミシェル・ウィリアムズ、スコセッシ&スピルバーグといった名高い面々が集中しているのが分かる。

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2012/02/06

【興行】北米週末Ranking Feb.03-05

先.週までの復習は各自こちらにて行ってください。

【Feb.03 - 05 weekend 推計

01 Chronicle $22.0M
02 The Woman in Black  $21.0M
03 The Grey  $9.5M

04 Big Miracle
$8.5M
05 Underworld Awakening $5.6M
06 One For the Money  $5.25M
07 Red Tails $5.8M
08 The Descendants $4.6M
09 Man on a Ledge  $4.5M
10 Extremely Loud & Incredbly Close 
$3.92M

Chronicle ■毎年、2月の第1日曜日はアメフトの優勝決定戦“スーパーボウル”の開催日。人々はみな家族でテレビを囲み、映画館は閑古鳥が鳴くことで知られている。例年ならば劇場側もスポーツに興味のない女性客の好むラブストーリーなどをブッキングすることが多いのだが、今年はどうも様子が違うようだ。ボックスオフィス全体の収益は前年度よりも35パーセントも上昇。それもそのはず、上位2作品が多くの若者客に支持されながらデッドヒートを繰り広げているのだ。

■上の数字はあくまで推計段階のものなので、劇場動員が正確には予測できないこのスーパーボウルの時期に至っては1位と2位の100万ドルの差など簡単に覆る可能性がある。よってこの順位は暫定的なものとして受けとめておきたい。

そんな中で1位を獲得したのは、思わぬスーパーパワーを手にした高校生グループが他愛もないイタズラを徐々にエスカレートさせ、予想もつかない混乱を巻き起こしていく"Chronicle"だった。

まだ20代のジョシュ・タンクによる初長編監督作。キャストにもデーン・デハーン、マイケル・B・ジョーダン、マイケル・ケリーとフレッシュな面々が名を連ねる。客層をみると61パーセントの観客が25歳以下、男性客が55パーセント。製作費は20世紀フォックス作品としては格安の1200万ドル言われており、オープニング3日間でその2倍近くを売り上げたことになる。

Woman_2■2位には『ハリー・ポッター』シリーズの大役を終えたダニエル・ラドクリフが新たな役柄に挑むゴシック・ホラー"Woman in Black"がランクインした。予想通りラドクリフのファンの動員が顕著で、57パーセントが25歳以下、59パーセントが女性客。

■3位には先週の覇者"The Grey"。先週末比51パーセント減の興収950万ドルを計上して、累計興収を3470万ドルとした。製作費は2500万ドル。

■4位にはドリュー・バリモア主演のクジラ救出ムービー"Big Miracle"が初登場。女性客が68パーセントを占め、また67パーセントが25歳以下とのこと。どうやら母娘という組み合わせで劇場を訪れる観客パターンが多いようだ。こちらは製作費4000万ドル。

アカデミー賞にノミネートされた各作品も、TOP10の下方、あるいは11~20位くらいの範囲で凌ぎを削っている。12週目の『ファミリー・ツリー』は2038館にて公開中で累計興収6520万ドルに達している。11週目の『ヒューゴの不思議な発明』は興収6200万ドル、スピルバーグ監督作『戦火の馬』は7700万ドル。ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』は2680万ドル、アーティスト』は2060万ドル、『マーガレット・サッチャー/鉄の女の涙』も2060万ドル、『裏切りのサーカス』は2120万ドル、『ドラゴン・タトゥーの女』は9990万ドルと1億ドル突破目前。

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【NEWS】チュニジアで大問題となったアニメ映画

215pxpersepolis_film 中東、アフリカに民主化の波が巻き起こる中、その先駆けとなったのがチュニジア革命だった。が、それによって独裁政権が崩壊し、市民に自由がもたらされたかと思えば、一方でこんな事態も巻き起こっていた。

ガーディアン紙によると、昨年10月にテレビ放映されたアニメーション映画『ペルセポリス』をめぐって一部のイスラム教徒が激怒し、デモが行われ、一部の過激派はテレビ局を襲撃、さらには局長宅に火炎瓶が投げ込まれるなどの騒ぎにまで発展したという。

その後、「聖なるもの価値を貶め、モラルに反し、人々の不安を煽った」かどでテレビ局が訴えられ、11月には裁判が始まったものの、法廷は怒号の応酬で手のつけられないものとなり、すぐさま休廷。1月末になって再開されたが、またもや収拾のつかない事態となり、審議はあえなく4月頃まで再延期されることとなった。

マルジャン・サトラピとヴァンサン・パロノーが共同で監督を務めた『ペルセポリス』は、1979年のイラン革命を背景にしたサトラピの自伝漫画が原作。イスラムの国に生まれ、多感な幼少期を送り、そしていつしか愛する家族を残し母国イランを去ることになる少女の姿を独創的なアニメーション手法で描いている。

本作では神様がアニメ・キャラとして顔を出すなどのコミカルな場面も盛り込まれており、これは偶像崇拝を禁じるイスラム教ではタブーにあたる。同じような行為をめぐり大問題に発展した例ではデンマークで起こったムハンマドの風刺画論争が記憶に新しい。

それでも『ペルセポリス』への国際的な評価は高く、カンヌ映画祭では審査員賞を受賞、アカデミー賞の長編アニメーション部門にもノミネートされている。

民主化と表現の自由はセットで捉えられることが多いが、そこに宗教的な問題まで絡んでくると混乱は必至。おそらくテレビ局側も民主化の試金石としてこの映画の放送に踏み切ったものと思われるが、果たしてこの問題にどのような決着がもたらされるのか、チュニジア革命を“点”でなく“線”として捉える意味でも注目していきたいところだ。

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2012/02/05

【NEWS】オスカー候補に思わぬ災難?

Lesinfidelesr映画『アーティスト』に主演するフランス人俳優ジャン・デュジャルダンに思わぬ災難が降りかかっている

アメリカで日に日に賞レースの熱気が高まるこの時期、一方のフランスでは先週、デュジャルダンの出演する最新作"Les Infideles"(The Players)のポスターに対して市民から「不快だ」「女性に対する侮辱だ」などとするクレームがあったとして広告規制を司る独立機構ARPP(日本で言うところのJAROみたいなものだろうか)が配給会社にそれらの撤去を促す事態となった。

このニュースを伝えるメディアの中には、今回の一件が現在アカデミー賞10部門ノミネートの『アーティスト』、とりわけ主演男優賞候補のトップランナーと思しきデュジャルダンの得票数に影響を与えるのではと指摘するものもあるようだが・・・。

まあ、それだけ今、『アーティスト』に注目が集まっている証拠なのだろう。

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【NEWS】舞台版「英国王のスピーチ」開演

昨年オスカー受賞作『英国王のスピーチ』が舞台になって戻ってきた。本作は木曜の夜、英国のギルドフォードにあるイヴォンヌ・アルノー・シアターでプレミアを迎え、会場に詰めかけた観客からの大きな賞賛に包まれた。

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映画版でコリン・ファースが演じたジョージ6世にはチャールズ・エドワーズが抜擢、その妻エリザベス役にはエマ・フィールディング、そして国王のスピーチ矯正の役目を担うローグ役にはオーストラリア出身の俳優ジョナサン・ハイド。エイドリアン・ノーブルが演出を務める。舞台版では映画で十分に時間が割けられなかったジョージ6世とエリザベスとの関係性や、当時の政治的側面も多分に盛り込まれ、あとユーモアもたっぷりに描かれる。

ところで、映画版『英国王のスピーチ』でアカデミー賞脚本賞を受賞したデヴィッド・サイドラー(彼が本作を生み出すまでの逸話はこちらのブログ記事をご覧ください)が、もともと本作を戯曲として執筆していたのは有名なお話。

彼は70~80年代にこの題材に着手しはじめたのだが、当時エリザベス皇太后に作品執筆のお許しを得ようとお伺いを立てたところ、彼女が出した答えは「辛い思い出なので、どうか私が死んだあとにしてほしい」。それからサイドラーは律義にその約束を守り続け、2002年にエリザベスが101歳で亡くなった後、ようやくその作品を発表する機会に恵まれたという。

また、これが映画化されるまでにも面白い逸話がある。とある女性がこの戯曲の朗読会に参加し、とても心を動かされ、すぐさま息子に「こんなに素晴らしい作品があるのよ!絶対に映画化すべき!」とプレゼントしたのだとか。その女性こそ、他でもない『英国王のスピーチ』を手掛けたトム・フーパー監督の母上だったそう。

そんなわけで本作は数多くの母なる存在、そして父なる存在の手を経て、今ここに舞台版として進化を遂げた。イヴォンヌ・アルノー劇場での上演は2月11日まで。その後、ノッティンガム、バース、ブライトン、リッチモンド、ニューキャッスルとツアーを展開していく。

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2012/02/03

【NEWS】ポン・ジュノ新作にオスカー候補女優が参加

Spencer たった一本の映画が人の一生を左右する、とよく言われるが、時にその言葉は観客よりも俳優そのものに大きく当てはまる。

そして今現在も、『ヘルプ 心がつなぐストーリー』でアカデミー賞助演女優賞の最有力に躍り出たオクタヴィア・スペンサーがその人生の激変ぶりを享受しているさなか。

そのパワフルな存在感と個性もあって今後も多くの話題作に魅入られそうな彼女だが、ハリウッド・リポーター誌によると新たな出演作としてポン・ジュノ監督(『グエムル/漢江の怪物』『殺人の追憶』)のハリウッド・デビュー作"Snow Piercer"が決定したそうだ。

彼女は本作でクリス・エヴァンス、ジョン・ハート、ティルダ・スウィントン、そしてジュノ作品の常連ソン・ガンホらと共演することになる。

本作の舞台は近未来。温暖化を抑制するために試みられた壮大な実験が失敗し、地球環境は氷河期に見舞われていた。人類を含めほとんどの生物は死に絶え、僅かに生き残った者たちは"Snow Piercer"と呼ばれる連結列車に乗り込み、生きながら世界中を旅している。しかし車内では厳格な階級制度が敷かれており、いつしか下層に追いやられた人々のあいだで革命の火種がくすぶりだす―。数々の一筋縄ではいかないキャラクターが横並びでひしめく本作にて、スペンサーは息子の命を守るために暴動に参加する母親役を演じる。

70年代に描かれたフランスのグラフィック・ノベルを原作とするこの作品は、『オールド・ボーイ』などで知られるパク・チャヌクが製作を担い、ジュノ監督と共に脚本執筆をも手掛けている。撮影開始は4月の終わりごろになる模様。

なお、オクタヴィア・スペンサーは『JUNO』や『ヤング・アダルト』の脚本家ディアブロ・コディの初監督作への出演も予定されており、こちらは3月の撮影入りに向けて準備が進められている。

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【NEWS】男女それぞれの視点で紡ぐ2本のラブストーリー

ハリウッドにあまたひしめく俳優たちの中で、今もっとも注目度を増している実力派の新星、ジョエル・エドガートンとジェシカ・チャステインがまったく同一の夫婦役で2本の映画に出演することとなった。

Hishers
その舞台はニューヨーク。この街でレストランのオーナーを務める夫と、新たな人生の目的を求めて大学へ通う妻、ふたりの間に結婚生活の試練が訪れる―というもの。これらは"The Disappearance of Eleanor Rigby:His"と"The Disappearance of Eleanor Rigby:Hers"と銘打たれ、つまりは夫の視点、妻の視点で描かれた“対を成す”作品となる。一方が一方の“続編”といった形ではなく、共に独立した作品として、同時期に劇場公開される予定。脚本を手掛けたネッド・ベンソン自身が両作の監督を務める。

同2作には他にウィリアム・ハートも出演交渉に入っているとのこと。製作を手掛けるミリアッドピクチャーズはベルリン映画祭のフィルムマーケットにてセールスを開始したい構え。

ジョエル・エドガートンはオーストラリア映画『アニマル・キングダム』で知名度を増し、肉体派格闘ドラマ"Warrior"やバズ・ラーマンによる3D映画『グレート・ギャッツビー』にも出演。ジェシカ・チャステインは2011年に『ツリー・オブ・ライフ』『テイク・シェルター』『ヘルプ』で一気にブレイクを果たし、今年のアカデミー賞にもノミネート入り。なお、ふたりは揃って『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロウが手掛けるビンラディン追跡映画にも出演することがウワサされている。

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2012/02/02

【NEWS】オールドマン、新作で再び悪役に

Gary ハリウッド・リポーター誌によると、『裏切りのサーカス』(Tinker,Tailor,Soldier,Spy)で老スパイ役を味わい深く演じアカデミー賞主演男優賞ノミネート入りを果たしたゲイリー・オールドマンが、新作"Motor City"への出演にむけて最終交渉に入っているという。

本作は罠にはめられ刑務所暮らしを余儀なくされた主人公(ドミニク・クーパー)が出所後に壮絶な復讐に手を染めつつ、愛する女性(アンバー・ハード)を取り戻そうと奔走する物語。出演交渉が順調にいけばオールドマンはすべてを裏で操る悪のボス役に就任する予定だ。

監督のアルバート・ヒューズは『ザ・ウォーカー』(Book of Eli)でもオールドマンを悪役に起用している。現在のところ撮影入りは4月ごろになる予定。チャド・セント・ジョンが執筆したオリジナル脚本は「ブラック・リスト」(大手スタジオ首脳陣が注目する優れた未製作脚本)入りを果たしたことでも話題となった。ジョエル・シルバー率いるダーク・キャッスルが製作を手掛ける。

ゲイリー・オールドマンはこのほかにもクリストファー・ノーラン監督による「バットマン」3部作の最終章『ダークナイト・ライジング』や有名俳優が多数出演するジョン・ヒルコート監督作"Wettest Country"が待機中。他にも『ニル・バイ・マウス』以来となる自らの監督作を温めているという情報もある。

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【NEWS】アロノフスキー監督、「ノアの箱舟」映画の主演にあの俳優を希望?

Deadlineのマイク・フレミング記者が、『ブラック・スワン』のダーレン・アロノフスキー監督の次回作「ノアの箱舟」にラッセル・クロウが主演する可能性を指摘している。

まだ交渉など何も始まっていないのだが、アロノフスキー監督は現段階においてクロウが主人公ノア役を演じることを強く望んでいるという。また同監督は他の役にリーアム・ニーソンの起用も望んでいるとか。はたしてこのウィッシュ・リストの実現見込みのほどはいかに?

同作はニュー・レジェンシーとパラマウントが製作。アロノフスキーとアリ・ハンデルが手掛けた初稿を『グラディエーター』『ラスト・サムライ』『ヒューゴの不思議な発明』『007 Skyfall』で知られるジョン・ローガンがリライト。低予算の映画作りで知られるアロノフスキーだが、今回は聖書の中でも最もスケールの大きい場面の一つを描くこともあり、1億3000万ドル級の予算が予定されていると伝えられる。スタジオ側は2013年の公開を見込んで今年の夏ごろにも撮影入りさせたい構えの模様。

ワーナーではスピルバーグがモーゼを主人公にした映画へのコミットメントを熟考中ということもあり、現在ハリウッドでは「聖書」ブームが起こりつつある。その先駆けとなる「ノア」は格好の試金石となるだけに、一筋縄ではいかないアロノフスキーがこれをどう仕掛けてくるのかに注目したいところだ。

ちなみに、これは個人的な稚拙な推測でしかないのだが、以前アロノフスキーは日本を舞台にした「ウルヴァリン2」の監督を東日本大震災の直後に降板している。このときは「養育権をめぐる家庭の事情」とされていたが、その後に彼が選びとった作品は他でもない歴史的な(あるいは宗教的な)洪水の映画。もしかすると意識的or無意識的に、かの大震災とその後の大津波が彼の心象に与えた影響は少なからずあるのかもしれない。

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【レビュー】NINIFUNI

昨年、一本の中編映画がレイトショー公開された。それを目撃した人々の中には配給関係者もいて、この映画が放つどうしようもなく不可解な魅力に突き動かされるように配給を決めたという。

NINIFUNIと書いてニニフニと読む。それは何か?マントラか?それとも呪いの言葉か?どれも違った。それは仏教用語なのだと言う。「二つであって二つではない」という意味だそうだ。が、そんなことはどうでもいいのだ。恐らくこの42分足らずの中編を受けとめたその後に、我々の体内では言葉にならない奇妙な想いがゾワゾワと侵食をはじめる。それは人をして「毒」と言わしめるかもしれない。はたまた「感動」とか「衝撃」と呼ぶ人もいるだろう。だが、筆者は思うのだ。その十人十色のリアルな感触こそ、それぞれの「ニニフニ」ではなかったかと。

Ninifuni
本作は絶望的なまでの自然光に満ちている。ふたりの男が歩みを進める。そこに一台の車が過ぎる。瞬発的に走り出すふたり。そして事務所の裏口で、彼らは運転手の男を襲う。ここまで書けばハードボイルドな映画かと思われるかもしれない。

だがカメラはいつしかひとりの男の放浪に密着し、先ほど犯行に及んだこの若者に眩い光が降り注ぐ様を延々と追い続ける。

彼が何をしようとしているのか。目的地はどこなのか。なにも分からない。

が、どことなく死の予感が満ちていることだけは自ずと伺える。一瞬、アッバス・キアロスタミの『桜桃の味』のワンシーンが頭をよぎった。死を待つ男のロードムービー。もしやこの若者も同じ末路を望もうとする儚い存在なのか―。

と、そこで我々は信じられないワンシーンを目の当たりにする。音楽用語で言えば「転調」と呼ぶのだろか。あるいはこれまで日本の土壌に照準を向けていたカメラが、一瞬のうちに地球の真反対のブラジルにまで到達したかのような時空の超越。それくらいの衝撃が全身を貫き、思考回路をショートさせ、そのヒリヒリした傷跡に海の潮風を惜しみなく塗りたくり、ギェー!と悲鳴を上げたくなるほどのクライマックスが静かに待ち構えていた。

それは我々が運命的に避けては通れない“ひとつの固定ショット”だった。まるで火と水、生と死、戦争と平和、天国と地獄、絶望と希望、貧困と富裕。かくもこの世に存在するあらゆる究極の相対する観念が荘厳なまでに同時降臨する光景だった。

映画なんて儚いものだ。この文章も、この映画のストーリーだっていつの日か容易く忘却されてしまうだろう。しかしこの鮮烈なワン・ショットだけは、きっと生涯、胸のどこかに引っかかり続けるはずだ。「2011年」というあまりに忘れがたい年の記憶と共に。

監督を務めるのは劇場デビュー作『イエロー・キッド』が「『タクシー・ドライバー』の再来」とまで絶賛された真利子哲也。絶望的なまでに美しい映像の中に痛々しいほどのリアルな空気を活写する撮影監督には『パビリオン山椒魚』や『キツツキと雨』で知られる月永雄太。主演は宮崎将、山中崇、そして、アイドルグループ“ももいろクローバー”がとてつもない役目を背負って出演しているのも注目だ。

いまふと、宮崎将が今から10年前、その妹と共に『EUREKA(ユリイカ)』なる作品に主演して脚光を浴びたことを思い出した。そうだ、『NINIFUNI』はまさにその語感や感触が輪廻するかのように生まれ落ちた映画界の突然変異なのだ。この10年間、悟った(=ユリイカ)ことなど何もなかった。あるのはただ日常の並置だけだった。これから10年もきっとそのまま変わらないだろう。それは絶望か、それとも夜明け前の混沌たる暗闇か。相変わらず答えなど出ない。でもその状況こそを、私はニニフニと呼びたい。

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【画像】007公式スチール登場

『アメリカン・ビューティー』のサム・メンデスが監督を務め、ダニエル・クレイグが3度目のジェームズ・ボンド役を演じる「007」シリーズ第23弾、その名も"SKYFALL"の公式スチールがお目見えした。以前、プールサイドでくつろぐボンドのスチールが出回ったことがあったが、あれは非公式ということらしい。これが正真正銘の初ショット。ボンドからファンへの正式なる再会の誘い。それにしてはボンドの表情がどうも無精ひげに覆われている気がするのだが…。

今回はハビエル・バルデムを悪役に、そのほかレイフ・ファインズ、ベレニス・マーロウ、ナオミ・ハリス、ベン・ウィショー、アルバート・フィニー、ジュディ・デンチらが揃い踏み。女王のお膝元、英国での公開は10月26日。その後、11月9日にアメリカで封切られる。

Skyfall

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2012/02/01

【NEWS】C.マッカーシーのオリジナル脚本をリドリー・スコットが映画化か?

現代最高の作家のひとりとして賞賛を集めるコーマック・マッカーシー(『ノーカントリー』『すべての美しい馬』『ザ・ロード』の原作者)が新作小説ではなくひそかに初となるオリジナル映画脚本を執筆していたことが明らかになったのはつい2週間ほど前。

この作品に早くもリドリー・スコットが強い興味を示していると言う。新作『プロメテウス』の仕上げ作業で大忙しのはずのスコット卿だが、Deadlineによるとすでに本作を次なる監督作にすることを視野に入れ、交渉を始めているとか。

Counsellor
"The Counsellor"と銘打たれたその脚本は、市民の信頼を集めるひとりの弁護士がふとしたはずみでドラッグ・ビジネスに片足を突っ込み、徐々に身動きが取れなくなっていく物語。彼はなんとかこの最悪の状況から脱しようと、生き残りを賭けた戦いを開始するのだが―。

『プロメテウス』の劇場公開を6月1日に控えたリドリー・スコットは他にも様々な企画を抱えている。アンジェリーナ・ジョリーを主演に迎える予定の女性冒険家ガートルード・ベル(彼女は考古学者であり、諜報員でもあった)にまつわる伝記映画や、サミットエンタテインメントと組む"Child 44"などはその筆頭と見られていたが、ここにきて突然の"The Counseller"の浮上。マッカーシーとスコットの世紀の大御所タッグが実現するとなればちょっとした事件なだけに、交渉の行方に注目が集まっている。

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【NEWS】英国映画界の2011年実績

英国映画産業の舵取り役ともいうべきブリティッシュ・フィルム・インスティテュート(BFI)が2011年の映画興収の内訳を発表した。

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それによると、トータルでは1億7160万枚のチケットセールスを記録。これは2010年に比べて1.4パーセント増の数字で、過去10年でみると3番目の記録にあたる。興行収入は2010年よりも5パーセント増の10億4000万ポンドに達し、史上初めて10億ポンドの大台に乗った。

とりわけ昨年は『英国王のスピーチ』や"The Inbetweeners Movie"に代表される英国インディペンデント映画(英国内に製作母体のある独立系映画)にとって活況の年だったようで、全体の売り上げの13.5パーセントがこれを占めたという。英国の独立系映画が地元でこれほどのシェアを獲得したのは史上初めてのこと。

Imagescae2f0oc さらに定義を広げ、英国映画を「インディペンデント+英国内で撮影された海外出資作/ハリー・ポッターやシャーロック・ホームズなども含む」という枠組みで捉えると、そのマーケット・シェアは36.2パーセントに昇る。これは2010年よりも12.2パーセント増の数字である。これらの作品に関しては投資額も2010年よりもアップしている。

だが、全てが良いニュースばかりではない。この不況下にあって英国映画の製作本数は2010年の262本に比べて2011年は169本と圧倒的に落ち込んでいる。また国産映画への支出額も2010年の2140万ポンドから1940万ポンドへと下落。ただしこれに関しては、むしろ海外の製作会社との共同出資するケースが増加しているとの指摘もある。

イギリスにおける年間興行収入BEST10は以下の通り。
cf.アメリカにおける年間興収ランキングはこちら

1、ハリー・ポッターと死の秘宝Part2/7310万ポンド
2、英国王のスピーチ/4570万ポンド
3、The Inbetweeners Movie/4500万ポンド
4、パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉/3290万ポンド
5、ハングオーバー2/3280万ポンド
6、トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーンPart1/3070万ポンド
7、トランスフォーマー ダークサイド・ムーン/2810万ポンド
8、シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム/2310万ポンド
9、Bridesmaids/2300万ポンド
10、アーサー・クリスマスの大冒険/2080万ポンド

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【NEWS】レ・ミゼラブルのエポニーヌ役決定

『英国王のスピーチ』のトム・フーパーが監督を務めるミュージカル映画版「レ・ミゼラブル」のエポニーヌ役に舞台出身俳優サマンサ・バークスが抜擢された。彼女は映画出演のキャリアこそ少ないものの、2010年にミュージカル舞台でエポニーヌ役を演じ、昨年O2アリーナで開催された同作の25周年記念コンサートでも同じ役を担っている。

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Imagesca04vlwv エポニーヌといえば、養女コゼットに辛くあたるテナルディエ夫妻の娘として悪事に手を染め陰険に育ちながらも、多感な時期に真の愛に目覚めることによって途中からガラリと性格を変えていく役柄だ。この役をめぐっては一時テイラー・スウィフトも候補に挙がっていると報じられたが、最終的には舞台版での実績が買われる結果となったようだ。

キャスティングは大詰めを迎えており、主役のジャン・ヴァルジャンにはヒュー・ジャックマン、ジャヴェール警部にはラッセル・クロウ、ファンティーヌにはアン・ハサウェイ、コゼットにはアマンダ・セイフライド、マリユスにはエディー・レッドメインらが決まっている。これに加えてテナルディエ夫妻役としてヘレナ・ボナム・カーターとサシャ・バロン・コーエンの名前がずっと浮上し続けているものの、いまだ正式発表には至っていない。

ミュージカル映画版「レ・ミゼラブル」の劇場公開は12月7日。

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【NEWS】イーストウッド主演作にティンバーレイクが参加

Timberlake 昨日にもお伝えしたクリント・イーストウッド主演作"Trouble with the Curve"の新たなキャストとして『ソーシャル・ネットワーク』『TIME』のジャスティン・ティンバーレイクが加わることとなった。

本作は老いた大リーグのスカウトマン(イーストウッド)が娘と共に最後の新人発掘の旅に繰り出すロードムービー。長年イーストウッド監督作でプロデューサーを務めてきたロバート・ロレンツが監督を務める。イーストウッドとエイミー・アダムスが父娘役として共演することも話題だが、一方ティンバーレイクの演じる役どころは、元投手で現在はニューヨーク・ヤンキースのスカウトマンというもの。どうやらアダムス演じる娘役と惹かれあう展開が待っているとかいないとか。全米公開は今年の9月28日。

なお、ティンバーレイクはコーエン兄弟による60年代のグリニッジ・ビレッジを舞台にした音楽ドラマ"Inside Llewyn Davis"にも出演することが決定している。

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