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2012/02/28

Warrior

成田発のフライトにて観た映画の中でいちばん強烈だったのは"Warrior"という2時間半の格闘技ドラマだった。出演者はトム・ハーディ、ジョエル・エジャートン、ニック・ノルティ。かねてより批評家筋の高評価を得ながらも、アメリカ公開時にはそれほど期待通りの興収を得られたわけではなかった。しかしながらやはり良いものは良い。それゆえ劇場公開を終えても、機内上映の「今月のイチオシ」となり、なおかつ英国滞在中に立ち寄ったHMVではどの店舗でも「イチオシDVD&ブルーレイ」として映画担当店員たちの庇護下に置かれていた。

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それはどことなく『ファイター』に似ているかもしれない。しかしあの映画が「強烈な母親と息子たち」の物語だったのに対し、本作は世知辛いまでに「父と息子たち」の物語だ。アルコール中毒だった父、それが原因で崩壊した家族、疎遠になった兄弟。しかしすべては海兵隊員だった弟が自宅に舞い戻ったことで変化を帯びてくる。戦場で地獄を経験した彼はふたたび総合格闘技への道を歩むことを決意する。ちょうど同じ頃、高校の教員の職に収まっていた兄もまた、家庭の事情により格闘技MMAトーナメントの賞金獲得を目指して、昔取った杵柄に触れることを決意していた。ふたりの男たちは全く別の運命の岐路で奇しくも同じ決断を下し、おびただしい参加者が猛々しく争うトーナメントを勝ち上がるに従って、まるでルーツを噛みしめるかのように家族はふたたび顔を近くすることとなる-。

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『ブロンソン』や今夏公開の『ダークナイト・ライジング』でもプロレスラー級の肉体を見せつけるトム・ハーディと、オーストラリア出身俳優として今ハリウッドで大きな注目を集めるジョエル・エジャートンがガチでリング上の死闘を繰り広げる様は、たとえ機内エンタテインメントの極小画面であったとしても迫力満点。彼らは兄弟であっても戦い方はまるで違う。瞬殺という言葉にふさわしいほどの先手必勝で相手を粉砕するハーディ。そしてエジャートンはというと、最初は防戦一方かと思いきや、ギリギリまで相手と競り続け、殴り、殴られ、最後の一歩で大きく踏み出して関節技で勝負を賭ける。

いつしかその激闘は彼らだけの問題ではなくなっていく。兵士たちが会場へ駆けつける。教え子や教師たちも駆けつける。多くの観客や彼らを取り巻く人々がその戦いに感化され、次第に熱い思いを胸にたぎらせていく。そんな姿をダイナミックに散りばめる描写にも大きな感動を覚える。

そして失った人生の一部を取り戻そうと力強くもがく兄弟たちの一方で、どこまでも脆弱で情けなく彷徨いつづける父親像をニック・ノルティが印象深く演じている。彼は若き息子たちのように肉体で勝負を勝ち上がっていくことはできないが、アカデミー賞においてはハーディやエジャートンに成り代わり、彼だけが助演男優賞へのノミネート入り。なるほど、彼らは三者三様、それぞれのフィールド、やり方で戦っていたのだ。

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