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2012/07/11

【NEWS】バットマン最終章は「二都物語」の影響あり

こと映画に関していえばイギリス人監督が手掛けたものには間口は驚くほど狭いが、そこに古代から現代、そして未来に至るまで歴史の堆積をギュッと凝縮させたかのような密度の濃さを感じることが多い。時代に縛られず、容易に普遍へと手を触れられるこの世界観。それはこの島国が長きにわたって覇者として君臨し、その狭い望遠鏡の丸フレームから世界の隅々までを望んできた歴史、あるいはそのような物事の捉え方とも共通するものがあるのかもしれない。

そこで飛び込んできたComingSoon.netの記事。この中でのクリストファー・ノーランの発言を見て驚いた。今回最終章を迎える彼の監督作『ダークナイト・ライジング』は、なんとあのイギリスを代表する作家チャールズ・ディケンズによる作品「二都物語」(1859)に影響を受けているというのだ。公開前にネタばれにならないように詳細は差し控えておくが、同作はフランス革命時のパリ、そしてロンドンを結んだ物語として名高い。すでに予告編でお馴染みとなっている群衆の大乱闘も、もしかするとフランス革命のそれとダブらせつつ紡がれていったのだろうか。参考までに「二都物語」の冒頭を書き記しておきたい。

It was the best of times, it was the worst of times, it was the age of wisdom, it was the age of foolishness, it was the epoch of belief, it was the epoch of incredulity, it was the season of Light, it was the season of Darkness, it was the spring of hope, it was the winter of despair, we had everything before us, we had nothing before us, we were all going direct to Heaven, we were all going direct the other way -- in short, the period was so far like the present period, that some of its noisiest authorities insisted on its being received, for good or for evil, in the superlative degree of comparison only.

(それは善き時代であり、悪しき時代だった。知恵の時代であるとともに、愚かさの時代でもあった。信仰の時代であれば、不信の時代でもあった。光差す時代でもあれば、暗黒の時代でもあった。希望の春でもあれば、絶望の冬でもあった。人々は前途洋々たるようでいて、逆にいっさいが虚無のようにも思えた。一心に天を目指しているようで、それとは真逆へ突き進んでいるいるかにも見えた。つまりは、すべては現代ととてもよく似ていたのだった。最も口うるさい権威者の言を借りるならそれは、善かれ、悪かれ、とかく最大級の比較の尺度によってのみ受け止められるべき時代だったのだ)

ディケンズといえば、クリント・イーストウッド監督作『ヒアアフター』の中では霊界と繋がる能力に苦悩する男(マット・デイモン)が唯一、夜寝るときだけはデレク・ジャコビが朗読するディケンズの物語にうっとりと心落ち着かせる場面がある。終幕近くには彼がロンドンにあるディケンズの住居を訪れるというくだりも。

またイギリスではもう何度目になるのだろう、今一度、ディケンズ著「大いなる遺産」の新たな映画化も進んでいるという。

多くがイギリスといえばまずはシェイクスピア、次にディケンズを挙げる。

彼が時代を越えて国民からこれほどまでに愛される理由はいったい何なのか。『ダークナイト・ライジング』にはその理由の一端が刻まれているのだろうか。

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