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2013/06/24

【興行】北米週末TOP10 Jun 21-23

先週までの復習は各自こちらにて行ってください。

【Jun.21-23 weekend 推計

01 Monsters University  $82.0M
02 World War Z  $66.0M
03 Man of Steel  $41.2M
 
04 This is the End  $13.0M
05 Now You See Me  $7.8M
06 Fast & Furious 6  $4.7M
07 The Internship  $3.41M
08 The Purge  $3.4M
09 Star Trek Into Darkness  $3.0M
10 Iron Man 3  $2.2M

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2013/06/23

【レビュー】3人のアンヌ

 ホン・サンスと言うと韓国のウディ・アレンと呼ぶ人もいるようだが、僕の感覚からすると韓国のつげ義春といった感じだ。あの一連の泥臭さ、飄々とした抜け具合、そしてしんみりとした寂寥感はつげ義春の漫画を読んだ後に押し寄せてくる余韻と似ている。それはホン・サンスの映画がたとえその舞台をフランス・パリに移動させた(『アバンチュールはパリで』)としても一向に変わらなかった。つまるところ、場所が異なってもそこに巻き起こるストーリーは変わらない。そこが世界のどこであってもホン・サンスはいつも同じ歩調のまま、独自の鼓動、独自の間合いでワールドを刻むのだ。

 それはフランスの大女優イザベル・ユペールを、よりにもよって何もない韓国の海辺へ招聘してしまった本作でも、やっぱり同じ結果だった。

Annne

 しかもこの設定の妙は何なのだろう。冒頭にひとりの韓国人女性がツラい現実から逃げるかのように「私は脚本を書くことにした。主人公はフランス人。以前、映画祭で逢った女性監督をモデルにした・・・」とほんの1シーンで(それこそコントの冒頭の状況説明のように)但し書きを描写し、次のシーンで本当にその空想の世界を実写化して現前させるという、ある意味で強引な、でもそれがホン・サンスだからこそ許される、観客と監督との間での特殊な交渉術でもあるかのような語りの導入手法がそこにはあった。

 そしてタイトルが「3人の」と示すように、このシチュエーションは3度繰り返される。つまり冒頭の韓国人女性は3つの短編脚本を書き、そのいずれにも「ひとりの外国人」を登場させているというわけ。本編ではもちろんユペールがその3者をすべて演じている。だからこそ「3人」なのだ。

 けれどこの時、設定をよく理解できない観客はこう思うだろう。「この3人は同一人物?それとも別人?そして3つのエピソードは全く別のお話?それとも連続モノなの?」

 この混濁こそ、本作の醍醐味と言える。そもそもホン・サンスの映画には明確な決めごとなどなく、海面を漂うクラゲのように飄々としたところがある。

 3つのエピソードはいずれも、外国からやってきた女性が海辺を歩くうちにライフセイバー(海で溺れている人を助ける人)と出逢い、言葉もあまり通じない中で甘いやりとりを繰り返す、という点で一致している。けれどこれらが折り重なるうちに、3つのエピソードがまるで3度の輪廻転生、およびパラレルワールドの創出を果たしていくのを感じるのだ。

 繰り返しに思われたそれらは一瞬たりともおなじ展開をはらんでいない。それどころか時おり、ほぼ同じ同心円上をまわる物語どうしがお裾わけをもらうみたいに、少しずつ繋がっている。それに気づいた瞬間、胸には多幸感が押し寄せ、顔にはニヤリとした笑みが浮かんだまま消えなくなっていた。「ホン・サンス、やりおるな」と感じた。

 この構成は裏を返すとちょっとした俳優論としても成立する。イザベル・ユペールに限らずあらゆる俳優は作品ごとに違うキャラクターを演じなければならない。この映画が終われば次の役柄、そしてまた次の役柄へと変化を遂げる。しかし同じ俳優が演じている限り、そこには本人が意図せずに生み出したひとつの連続性が刻まれている。『ピアニスト』で壮絶な役を演じたユペールも、本作で自然体のヒロインを演じたユペールもどこかで繋がっている。同じ一人の人物。俳優にとってすべての出演作はパラレルワールドに等しく、俳優とは常に輪廻を余儀なくされた職業ということもできるだろう。

 その「どこかで繋がっている感覚」を仄かに臭わせるホン・サンスの匙加減が微妙に優しくて、海風や潮の香りが肌をなでていくかのように心の潤いを感じさせる。

 海の向こう、世界は果てしなく広いが、しかしこの小さな海辺で、世界はひとつの完結を迎えているような気さえ芽生えてくる。

 このとことんまでにミニマムな物語。誰かの創作で始まったはずの世界感は、いつしか語り手の手元を離れて飄々と浮遊していった。これは華麗なる「空想逃避のすすめ」なのだろうか。否、嫌なことがあったとき、人は誰でも楽しい事を考えて気を紛らそうとするもの。

 『3人のアンヌ』はそうした創造力の基本原理に抗わず、身を委ねた末にある風景を思わせる。この脚本を書き終えた女性の表情は映らない。が、自分の手のひらの上でひとつの物語性を完結させた彼女の表情は、それが世界最小のミニマルさであるとはいえ、きっと晴れやかであったに違いない。物語には、創作という行為には、そういった隠された力がある。。

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2013/06/17

【興行】北米週末TOP10 June 14-16

先週までの復習は各自こちらにて行ってください。

【June.14-16 weekend 推計

01 Man of Steel  $113.0M
02 This is the End  $20.5M
03 Now You See Me  $10.3M
 
04 Fast & Furious 6  $9.4M
05 The Purge  $8.2M
06 The Internship  $7.0M
07 Epic  $6.0M
08 Star Trek Into Darkness  $5.6M
09 After Earth  $3.7M
10 Iron Man 3  $2.9M

■ヒーロー物といえば何かとマーベル陣営がフィーチャーされ続ける昨今、DCコミックとワーナーブラザーズがバットマンと共に二枚看板として掲げるヒーロー物の真打ちが遂に登場。『ダークナイト』のクリストファー・ノーランが製作を務め、『300』の映像表現で観客を圧倒したザック・スナイダーが監督を担ったリブート版“スーパーマン”こと"Man of Steel"は週末3日間で1億1300万ドルものチケットセールスを記録して首位デビューを果たした(これに木曜日の深夜興行を加えると累計興収は1億2510万ドルとなる)。

これは6月公開作品としては『トイストーリー3』の1億1000万ドルを越えて史上最も高い数字となる。また同じスーパーヒーロー物のオープニング成績としては2002年の『スパイダーマン』と横並びの数字となる(ただし今回の"Man of Steel"は3D上映もあるので特別料金による売り上げも加味されていることをお忘れなく)。

なお、初日の出口調査ではその56%が男性客、3Dで観た人は全体の41%を占めている。制作費は2億2500万ドルなり。

■2位にはセス・ローゲンとエヴァン・ゴールドバーグによるコメディ"This is the End"が登場。この時期に"Man of Steel"が劇場席巻するのを読み込んだかのように、水曜日からの封切りという選択肢を選び、5日間の累計興収は3280万ドルに達している(この数字はほぼ制作費と同じ)。オープニング3日間で換算したところで『パイナップル・エクスプレス』の4130万ドルにはほど遠い出来だが、この時期のオルターナティブとしてはまずまずの出来と言えそうだ。観客層は6割が男性客。年齢層を見ると25歳以上が52%を占めている。

■手品師達の銀行強盗を描いた"Now You See Me"は堅実に上位をキープしている。制作費7500万ドルのところ、現在までの累計興収は8000万ドルに到達。1億ドル突破をキメられるか?

■4位には"Fast & Furious 6"が留まった。累計興収は2億1960万ドル。すでに前作の興収2億980万ドルを越えている。

■制作費300万ドルの低予算スリラー"The Purge"は、このジャンルの掟と言うべきか、先週末に比べて76%も下落。それでも累計興収は5200万ドルほどとなり、既にこの時点で利益を算出できている点でビジネス的には成功と言える。

■さて、ランキング圏外ではリチャード・リンクレイター監督作の"Before Midnight"が公開4週目にして900館レベルの拡大上映を実施。13位にまで順位を上げてきている。

■また、ソフィア・コッポラの最新作"The Bling Ring"が全米5館にて限定公開を迎えて、やはりファン層の厚さゆえか、1館あたりのアベレージ4万2千ドルを越える健闘ぶりを見せつけている。

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2013/06/13

【レビュー】華麗なるギャツビー

古典作品は一概にクラシックと類別されがちだが、実はこの「クラシック」という言葉を紐解くと「傑作」や「最高級品」、そして「歴史に残るもの」という意味が飛び出してくる。つまりこの言葉を付与されたなら、時空を貫き永遠の魂を持つことが約束されるというわけだ。となると、クラシックはもはや堅苦しさの代表格などではなくなる。また我々にとってクラシックは、オリジナルの味わいを堪能できるのと同時に、それらを現代の感覚で翻案、あるいはリミックスして楽しめる、まさにひと粒で二度美味しい食材とも言えるだろう。

リミックスの魔術師といえば、今回の『華麗なるギャツビー』のバズ・ラーマン監督をおいて他に右に出るものはいない。ある人は「ジョー・ライトがいるじゃないか!」と訝るかもしれない。確かに『プライドと偏見』や『つぐない』の彼ならこのフィツジェラルドの物語にまた別の光を照射できたろう。しかし『ギャツビー』にはある種の映像としてのスケール感が不可欠だ。特に1920年代におけるあのジャズ・エイジとも言われた狂騒のアメリカ。そこには戦争から帰還した人たちによる無軌道なまでの生の謳歌があり、なおかつ玉石混合のいかがわしさも漂っていた。誰もが力つきて倒れこむまで踊る。踊り狂う。そして間もなく大恐慌がやってくる。その直前の一瞬の光。

この踊りの熱狂と、息切れ感をアイコンとして刻むにあたっては、『ダンシング・ヒーロー』でその才能を世に知らしめて以来、『ロミオ&ジュリエット』や『ムーラン・ルージュ』などで独自の演出術を構築してきたバズ・ラーマンに一日の長がある。本作では特にジャジーなサウンドが時に横乗りのスウィングからタテ乗りのジャンプステップへと変わるあたり、それに超満員のダンスホールで相変わらずカメラが頭上を滑空し、俯瞰し、豪速球で人の波を掻き分けて目線を紡いでいくあたりに、ラーマンのお家芸(それが大嫌いと主張する人も多数いるが)が見て取れる。これらが実際にはNYではなくシドニーでセットを組んで撮られているのを差し引いても、充分お釣りがくるくらいだ。

原作に触れたことの無い人のために『ギャツビー』を一言で表すならば、それはディカプリオ演じる“謎の富豪=ジェイ・ギャツビー”の時代遅れともおぼしきイノセントかつピュアな恋心を描いた作品ということになる。そして“語り手”も重要だ。ひょんなことからギャツビーの隣家に越してきて、彼との友情を育むこととなるニック・キャラウェイ役を『スパイダーマン』のトビー・マグワイアが演じている。

実はレオとトビーは昔からの親友でもある。レオが『タイタニック』で来日した折にまだ無名のトビーが同行したこともある(僕が大学生の頃に購入した雑誌「ロードショー」にはそのときのトビーの姿が活写されていた)。ちなみにラーマンは自身のプロジェクトを始動するにあたってまず最初にワークショップを開催することでも知られる。今回もレオとトビーはもちろん、キャリー・マリガンらを含む有名俳優らが招かれ、時おり役をスイッチしながら様々な化学変化が試されたようだ。その甲斐あってか、さすが親友どうしなだけあってふたりのコンビネーションはその阿吽の呼吸が魅せる。

カメラワークの豪速球ぶりはこの時代の象徴とも言える自動車の走行シーンでも応用されていく。そして作品の煌びやかさと共に浮かび上がるのは、ニューヨークとウェストエッグのちょうど中間地点にある「死の谷」。文明の世紀が排便した負の遺産をすべて抱え込んだかのようなこの地で、「エクルバーグ博士の目」の巨大看板だけが、すべてを見通した神の視点のように、はたまた主観と客観の光を反転させる地獄のふたのようにそこに無下に立ち尽くしている。

原作でも不気味な余韻を遺すこのモニュメント的存在。ラーマン作には過去にもリオのキリスト像などの「俯瞰する目」が登場してきたが、今回の看板はかなり意味深かつダイレクトな象徴だ。外見的には単に風化してボロボロになって誰も気にしなくなった遺物。しかしその実、その場でいつも変わらず、時代や文明や人の業を見つめることを宿命とした、ひとつの大きな目線でもある。何が起ころうともそれは揺らがない。しかしこの不動性こそ、すべてが慌ただしく狂騒していく時代においてはより不気味なのだ。そして案の定、世界の墓場のようなこの場所で、目の前で、事件は起こる―。

そこで私たちは改めて気づく。『華麗なるギャツビー』は狂騒の物語でもあり、イノセントやピュアといった絶滅危惧種的な感情を懐かしむノスタルジーであり、またそこに介在する慎ましい目線の物語でもあったのだ、と。

「エクルバーグ博士」と語り手のキャラウェイ、そして我々観客といった3つの神の目線がその像をひとつに結ぶ時、この煌びやかなれど哀しみの物語はしめやかに完結し、ひとつの運命、ひとつの時代を全うしたかのように、ひっそりと幕を閉じるのである。

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2013/06/10

【興行】北米週末TOP10 June 07-09

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【June.07-09 weekend 推計

01 The Purge  $36.4M
02 Fast & Furious 6  $19.8M
03 Now You See Me  $19.5M
 
04 The Internship  $18.1M
05 Epic  $12.1M
06 Star Trek Into Darkness  $11.7M
07 After Earth  $11.2M
08 The Hangover3  $7.4M
09 Iron Man 3  $5.8M
10 The Great Gatzby  $4.2M

■ホリデーシーズンが終わるとその翌週にはビッグバジェット映画の隙間を縫うように超低予算の野心作などが投入される傾向にある。これはお口直しのデザート的な意味合いと、新たな才能や企画をお試しする市場実験の様相を呈しているわけだが、同じ流れで今回もR指定ホラー"The Purge"が首位をさらった。制作費は300万ドル程度だが、オープニング3日間だけでその10倍となる3600万ドルを稼ぎ出している。出口調査によると、客層は56パーセントが女性客で、同じく56パーセントが25歳以下とのこと。

■1週目、2週目と単独首位で快走を続けてきた"Fast & Furious 6"は2位へ転落。それでも3週目にして米興収2億ドルを突破し、すでに前作「5」の興収2億900万ドルも今週中には突破する勢いだ。制作費は1億6000万ドルほど。世界ではすでに5億8500万ドルくらい稼ぎ出している。

■スピード狂たちのクライムアクションに続く第3位には、マジシャン達の銀行強盗劇"Now You See Me"が落ち着いた。公開2週目となる本作は先週に比べての下落率も33パーセントに留まる粘りを見せている。制作費7500万ドルのところ、現在までの米興収は6100万ドルに達している。

■4位にはヴィンス・ヴォーンンとオーウェン・ウィルソン主演のコメディ"The Internship"が初登場。『リアル・スティール』のショーン・レヴィ監督にしてはイマイチ乗り切れないスタートとなった。ちなみに本作はミドル層にそこはかとない人気を持つヴィンス・ヴォーンが主演のみならず脚本も担当している。客層は男女半々に分かれており、年代的には25歳以上が61パーセントを占めた。

■ウィル&ジェイデン・スミス父子主演、『シックス・センス』のM.ナイト・シャマラン監督で贈るAF超大作"After Earth"は初登場の先週末から60パーセント近くダウン。新作は2週目末で平均5割ダウンするので、本作の場合はやや落ちすぎといったところか。むしろ米国内よりも海外興行の方が数字を伸ばしており、今やロシアやメキシコあたりの方が数字が取れているようだ。

■なお、トップ10圏外に視野を拡げると、『アベンジャーズ』で高い評価を得たジョス・ウェドン監督が手がけた低予算映画"Much Ado About Nothing"が全米5館で限定公開スタート。1館あたりのアベレージが3万7千ドルという混雑ぶりを呈している。

■以上、ちょっと緩急の強弱が際立った週末ボックスオフィスだが、今週半ばにはセス・ローゲンが共同監督を務めるコメディ"This Is the End"が封ぎられ、そしていよいよ週末には新スーパーマンこと"Man of Steel"が発進。なおかつ6月21日にはピクサーの大ヒット作の第2弾"Monsters University"が公開され、本格的な夏を前にして映画同士の殴り合いバトルロワイヤルが本格化しそうだ。

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2013/06/03

【興行】北米週末TOP10 May31-June02

先週までの復習は各自こちらにて行ってください。

【May.31-June.02 weekend 推計

01 Fast & Furious 6  $34.5M
02 Now You See Me  $28.0M
03 After Earth  $27.0M
 
04 Star Trek Into Darkness  $16.4M
05 Epic  $16.4M
06 The Hangover Part3  $15.9M
07 Iron Man 3  $8.0M
08 The Great Gatzby  $6.2M
09 Yei Jawaani Hai Deeewani  $1.6M
10 Mud  $1.2M

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