« フィルス | トップページ | 【レビュー】ゼロ・グラビティ »

2013/11/27

キャプテン・フィリップス

映画.comにて『キャプテン・フィリップス』のレビューを執筆しております。お時間ある方はぜひご覧ください。

“ジェイソン・ボーン”シリーズのポール・グリーングラス監督が手掛けた本作は、2009年にソマリア沖で実際に起こった事件をベースに描いたもの。グリーングラス印の手持ちカメラによる臨場感に満ちた構成は相変わらずで、ふたを開けてみれば緊迫感のつるべ打ち状態。そんな中でも彼の演出は、けっして表面的な状況描写にとどまることなく、元ジャーナリストらしく、事件の向こう側にあるものを透視図のごとく浮かび上がらせてくるものでした。

その意味では、上記のレビューには書いておりませんが、ひとつには海という舞台を通じて極めてアナログな形で“グローバル”の世の中を提示してみせたことに衝撃を受けました。我々はグローバルと言う言葉にネットかなにかの極めて電子的な繋がりをイメージしがちですが、この映画ではソマリア沖という舞台を通じて、決して出逢うはずのなかったソマリア海賊と米船舶クルーの両者が激しく魂を衝突させることになります。もはや世界はどんな細部においても繋がっていて、たとえばソマリアの漁村の貧困がやがて若者達の海賊化を引き起こし、それがいつしかフィリップス船長以下クルーの生命を脅かす事態にまでドミノ的に直結してくるのです。

Captainphillips01

もうひとつは、上記のレビューでも触れているのですが、冒頭でフィリップス船長が口にする「サバイバル」という言葉がやはりどうしても胸に突き刺さってくるのです。出航前の妻とのひととき、フィリップスは息子らがこれから放り出される激しい競争社会を憂い「サバイバルの時代」と表現します。この一言によって、その先展開していくフィリップス船長自身のサバイバルもまた大きく違った意味合いをの光を放つことになります。『キャスト・アウェイ』(2000)から13年が経過し、トム・ハンクス主演のサバイバル映画という意味では時代がちょうど一周しました。ちょうど同じ時期に同様のサバイバルを主題に掲げた無数の作品が公開ラッシュを迎えていることも、すでに多くの人たちによって指摘されています。

知恵と勇気を振り絞ってなんとか生き抜こうともがくフィリップス船長の姿は、単なるアメリカ的なヒーロー像とは全く異なる、むしろ現代に生きる我々の姿を如実にさらけ出したものなのかもしれません。それゆえ、観賞後もまるでバトンが手渡されたかのように、感動や爽快とはまた違う、深い余韻が身を支配するのではないでしょうか。

この記事が参考になりましたら、クリックのほどお願い致します。

TOP】【レビュー】【TWITTER

|

« フィルス | トップページ | 【レビュー】ゼロ・グラビティ »

【レビュー】」カテゴリの記事

【新感覚アクション】」カテゴリの記事

【紛争】」カテゴリの記事