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2015/05/28

マッドマックス/怒りのデス・ロード

どえらいシロモノを観た。これほど映像から圧を感じて、身体に汗がにじみ、あらゆる瞬間にドキドキしっぱなしだった経験は過去に遡ってもちょっと思い出せない。全編にみなぎるボルテージが破格で、それはもう完全にイカレていると言っていいほど。普通なら世界観やストーリーの説明にじっくり時間を使ってからひと波、ふた波と乗せてきそうなものなのだが、この新生マッドマックスときたら、最初っから素っ頓狂かつド濃厚な「状況」に蹴落とされ、砂漠の中でスピード飛ばしまくり。いつか中だるみするだろうと意地悪な態度で待ち構えていても、これがぜんっぜん落ちない。 ずっと観客に「振り落とされまい」と車体に片手でしがみつかせながら、その身体はもはや加速度で宙に浮いている感じ。

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一台のタンクローリーを、漫画のような猛々しい大軍団が追いかけてくるという設定なのだが、遊び心満載で、スタントマンやレーサー、元シルク・ド・ソレイユのメンバーなども配しながら、右へ左へ、前に後ろにと、あらゆる角度でアクションが巻き起こる。よくぞスクリーンというキャンバスを使ってこれほど描き出したものだと感動するほど。たとえるなら、ヘビメタのライブ、いやジェットコースターに2時間乗りっぱなし。つまり頭で考えず、ただただ体感する映画というわけだ。

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そもそも『マッドマックス』シリーズといえば、砂漠に延びる一本道という設定をフィーチャーした近未来バイオレンス・ポリス・アクション(一作目)が産声を上げたのが79年、二作目でガラリと作風がポスト黙示録ウェスタンみたいに変わったのが81年、そして歌姫ティナ・ターナーを擁してなんだかよく分からないアドベンチャー路線に(肝心のチェイス・バトルは控えめになった)切り変わったのが85年。とにかくシリーズ一貫して「作風に一貫性がない」のがこのシリーズの特徴なのだが、でもだからこそ、「なんでもあり!」の開拓精神で30年後のいまになってもなお復活できたのかもしれない。 

本作でトム・ハーディ演じる主人公マックスは、英ガーディアンのレビューが「マッチョなMR.ビーン」と評するほど飄々と危機を乗り切っていくのだが、中盤までは逆さ吊りになったり暴走車輌に括り付けられたり、顔面も拘束具を装着したままでの演技を余儀なくされたりと、とにかく身体の自由を奪われっぱなし。『ダークナイト・ライジング』で悪役ベインを演じた時など何かと拘束具に馴染みが深い彼なのだが、彼のあふれ出るフィジカルな存在感は、そうやって拘束具で抑制してこそ、より深い味わいが生まれてくるのだろう。

また、彼とは対照的に二枚看板を背負って立つ女優シャーリーズ・セロンの存在感が、まっすぐな目線で作品を貫く。「これはシャーリーズの映画だ」と讃える人も多いと聞くが、むしろ二人の歯車がしっかりと噛み合っていたからこそ、どちらの役柄も映えたのだ。そして、もうここまでくると、男性映画とか、女性映画とか、関係ない。要は魂だ。あふれでる魂!!

おそらく「2015年ナンバーワン」に挙げる人も続出すること間違いなし。旧シリーズを体験した方も、マッドマックスなんて見たことねえよ!という若い世代にも、御歳70になったイカれオヤジ、ジョージ・ミラーが作り出した最高にクレイジーな打ち上げ花火、灼熱のカーニバルを体験してもらいたい。

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