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2015/10/12

海賊じいちゃんの贈りもの

原題は"What We did on our Holiday"。離婚寸前の夫婦とその幼いこどもたちからなる家族が、おじいちゃんの誕生日を祝うために車でスコットランドへ向かう。ところが現地で過ごす日々の中で思いがけない事態が巻き起こりーーー。

開始早々、パパとママは口を開けば喧嘩ばかり。長女のお姉ちゃんは離婚の危機を薄々と感じ取って顔を曇らせているのだけれど、下の子たちはいつもと変わらず元気いっぱいだ。これが本作のひとつのリズムとなり、子供らの一挙手一投足、放たれる奇想天外な一言一言がほんとうに楽しくて可笑しくてたまらない。

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かくも開始5分で観客を完全なる味方につけてしまうほど、この子供達は史上最強。彼らに比べればパパとママ役のデヴィッド・テナントとロザムンド・パイクなどほんのサポート役に思えてしまう。

一方、スコットランドにもユニークで自分のペースを決して崩さない自由人が待っている。それが個性派俳優ビリー・コノリーの演じる、おじいちゃんだ。遺伝子というものは時に隔世で色濃く出ることがあるが、親戚一同クセモノ揃いの中でもやはり、このおじいちゃんと孫たちの繋がりは格別のようだ。両者の交流が続く。とりわけおじいちゃんの書斎で互いにいろんな想いを口にし合う姿は本当に微笑ましい。

だが、この映画は中盤の“浜辺”で思わぬ事態が待っていた。この部分だけ切り取るとかなりシュールでビックリする展開なのだけれど、ここで大人たちがどのように判断し、動いていくのかがひとつのポイントとなる。つまり、ここからは子供たちが投げたボールをいかに打ち返すかといった具合に大人たちが試される側に回るのだ。きちんと子供を見つめているか。その気持ちを理解しようとしているか。子供の創造性を信じてあげられているか。彼らが徐々に視線を下ろしていく過程にデヴィッド・テナントとロザムンド・パイクの巧さが光る。

子供らは子供にしか思い描けないストーリーを存分に切り開き、大人たちはそれを成しうる限りの包容力で受け止める。こうなると家族は強い。ビクともしない。本作はそんな最強の家族が生まれゆく物語と言えるのかも。そして事の成り行きをすべて見通したようなおじいちゃんの存在が、本当にイキに思えてならない。

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