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2016/08/09

ゴーストバスターズ

これまで幾度となく浮上しては立ち消えとなっていた「新生バスターズ」企画が、ついに女性だらけのメンバーに刷新されて戻ってきた。

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1984年公開の第1作目があまりに観客に愛されたため(続く2作目はそれほどでもなかったが)、世間では「あの思い出をそのままにしておいてほしい」との想いと「もう一度、別のストーリーを観てみたい」との想いがないまぜになり、新作の到来がもはや「怖いもの見たさ」となって淀み続けていたように思う。もっと言うと、大方の観客にとっては新作公開と同時に「やっぱり駄作!」と烙印を押す心の準備すらできていたに違いない。 多分、今回の新作も日本でいろいろ言われるだろうし、すでに世界中で様々な評価も出ている。そんな中、私自身、どうだったかというと・・・

これが意外と面白かった!自分の中のグッときた内訳を紐解くならば、その半分は、かつての「ゴーストバスターズ」を知っている者として、同様のストーリーをなぞるようでいて、でも少しずつスカしたり、ズラしたりしながら緩急を調節していく様がとても心地よかったことに尽きる。そしてもう半分は『ブライドメイズ』を皮切りとするポール・フェイグ監督とメリッサ・マッカーシー、それにクリステン・ウィグといったコラボレーターが贈るいつもながらの安定感あるコメディであるという点も大きかった。

彼、そして彼女たちが体現する女どうしの友情は相変わらず不可解で、時に熱く、時にほろ苦い。最初はなんだこりゃと思うが、徐々に引き込んでいく力がある。 ただ、もしもポール・フェイグとその一味についてあまり知らない(彼の作品は米英では大ヒットするが、日本では未公開となるケースも多い)人が見ると、その笑いのセンスに慣れるまでに多少時間がかかるかもしれないし、分かり合えないまま終幕の時を迎えることもあるかもしれない。ここら辺はもう”賭け”だ。

ちなみに作品の出来がどうであれ、クリス・ヘムズワースに関しては誰もが「『マイティ・ソー』よりもハマリ役!」と太鼓判を押している。私は「おバカな」という言葉が嫌いだし、「おバカ映画」という呼び方も大嫌いだが、しかし本作のヘムズワースは誰がどう言おうと、悲惨なほど、おバカだった!!そして気になるカメオ出演に関しては映画を見てのお楽しみと言っておきたいが、エンドクレジットで「ハロルド・ライミスに捧ぐ」という文字を見たときにはさすがに涙ぐみそうになった。

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そもそも『ゴーストバスターズ』(84)の製作時、当初は『ブルース・ブラザーズ』のダン・エイクロイドとジョン・ベルーシの主演でという構想があったそうで、アーニー・ハドソンの役もエディ・マーフィーが演じる流れだったとか。この映画自体がTVシリーズ「サタデー・ナイト・ライブ」の大ヒットなくしては成立し得なかったもの。彼ら全員にとって82年のジョン・ベルーシの死去は計り知れない喪失だったろうが、ここにやはり「サタデー・ナイト・ライブ」の出演者だったビル・マーレイが加わって、映画史に残る奇跡的なチームが成立することとなる。

そんな作品製作の経緯を思い返すと、今回の新生『ゴーストバスターズ』も現時点における気流に乗ったコメディ女優と監督らが手がけている面で、そもそもの立ち上がりを彷彿とさせる節がある。クリステン・ウィグやケイト・マッキノン、レスリー・ジョーンズもまた「サタデー・ナイト・ライブ」の出身者。そこにロビン・ウィリアムズ的な天才的スタンダップ・コメディアンでもあるメリッサ・マッカーシーを巻き込んだ黄金のカルテットでなければ、こんな無謀な企画、引き受けなかったろうし、成立し得なかったろう。10年来、長い長いトンネルをさまよい続けてきた製作者たちが希望を託したこの選択肢。それがベストかどうかはわからないが、ベターだとは思う。個人的には及第点に値するクオリティだった。

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