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2018/12/31

2018年マイ・ベスト10

今年も多くの映画と出会うことができました。20代、30代の頃はとにかく量を競いあうような感じでガツガツ観ていた気がしますが、40代になるとむしろ一作一作を丁寧に深く紐解いてくることが求められているようにも思う今日このごろです。

今年一年、自分がどのような作品に心を動かされたのかを、後になって振り返るのに有効なのがマイ・ベスト。この数年、思うところあってきちんと選んでこなかったのを、いまになって後悔している節もあるくらいです。なので、まだ『ボヘミアン・ラプソディ』も観にいけていない不届き者ではありますが、それはそれで置いておいて、今年も恥も外聞もなく無心になって10本を選んでみたいと考えます。

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2018/12/30

ダークシティ

SF映画界のダークホース的存在と言っても過言ではない『ダークシティ』(98)について書きました。

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『マトリックス』のようでいて『マトリックス』ではなく、またジョージ・オーウェルの「1984」にも似ているようでいて、これともやや色調の異なる異色作。この作品をご存知の方も、ご存知ない方も、お正月休みにぜひ一度、ご覧になってみてください。そして余裕があれば、こちらの原稿も紐解いて頂けると嬉しいです。ちょっとした小びっくりの世界を覗き見ることができるはず。

・R指定(米国)の理由は「奇妙だから」!? 公開20周年を迎えたSFノワール『ダークシティ』

・「AKIRA」「童夢」にドイツ表現主義まで!SF怪作『ダークシティ』の世界観に影響を与えしもの

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2018/12/29

ア・ゴースト・ストーリー

日々たくさんの映画に触れているつもりでも、一本たりとも似たような映画だと感じることはなくて、一つ一つが大切な個性を持って生まれていることをひしひしと実感します。しかし時々、こちらが「なんだこれは!?」とひっくり返りそうになる作品はあるもので、この仕事をしていて感じる楽しさは、そんな映画と真っ先に出会えることなのかもしれません。

その意味では『ア・ゴースト・ストーリー』は、こんな曖昧模糊としながら、特殊なニュアンスに満ちた作品が映画界で生まれ得ること自体が信じられなかった。ゴーストの物語でありながら、それを超える森羅万象の物語へと昇華していく感じがたまりません。観る人を選ぶタイプの作品かもしれませんが、機会があれば是非見ていただきたいです。

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そんなわけで、この映画について書いた記事をご紹介。

『ア・ゴースト・ストーリー』 可愛らしくて深遠な幻想譚が、極秘裏に製作された理由とは?*注!ネタバレを含みます

まだまだ今年の執筆記事を全然アップしきれていないので、年末年始に向けて時間を見つけて更新していきたいと思います。もしも気が向けば、2018年のベスト10も選んでみようかと思います。お時間に余裕のある方は引き続きお付き合いください。

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2018/12/25

ラブ・アクチュアリー!!

昨日、前に書いた『グレムリン』の記事を2本ご紹介したが、思いのほか読んでくださった方が多かったようなので、もう一本、クリスマスがらみの作品を。2003年公開のイギリス映画『ラブ・アクチュアリー』です。どうです、クリスマス映画のカップリングとして『グレムリン』と『ラブ・アクチュアリー』は最強だと思いませんか?

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・クリスマス群像劇の傑作の裏で下された、mr.ビーンをめぐる知られざる決断とは?

・『ラブ・アクチュアリー』にジョニ・ミッチェルの名曲"Both Sides Now"がもたらしたもの

そういえば、私個人の2018年最大の事件は、『パディントン2』の取材でヒュー・グラントに直接お会いしたことでした。その瞬間はもうバタバタしているうちにあっという間に過ぎ去っていきましたが、後から冷静になると、『ラブ・アクチュアリー』や『ノッティングヒルの恋人』などの彼の代表作が次から次に思い出され、まったく、俺はすごい人に会ったんだな、と汗が噴き出してくるほどでした。


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2018/12/24

聖夜はやっぱりこの映画!

幼少期に『グレムリン』を観たことは、自分の中のクリスマス観を決定づける大きな転機になったと思っています。

街が、食卓が華やげば華やぐほど、いやいやちょっと待てよ、ここには何か落とし穴があるんじゃないのか・・・・・・と警戒してしまうのです。とりわけこの映画のヒロインの告白は衝撃的でした。クリスマスと聞くだけであれほど胸が引き裂かれるほどの悲しみを感じる人がいるなんて。未だに年末年始に浮かれそうになるたび、心のどこかにあのエピソードが思い出されます。まるで、クリスマスだからこそ、自分とは全く境遇や立場の異なる誰かに思いを馳せよ、と言われているかのような。

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こういった大切な気持ちを教えてくれたジョー・ダンテとスピルバーグとギズモには感謝しています。本来クリスマスは、かくあるべきものだとも思うのです。

そんなわけで、過去に書いた『グレムリン』の原稿をご紹介。

・『グレムリン』 新鋭監督ジョー・ダンテが譲らなかった「ざわつくクリスマス」

・もっと残酷でグロかった!? 学生の脚本をヒット作に昇華させた、スピルバーグのプロデュース術

ヒロインが語る「人生最悪のクリスマス」エピソードを死守すべく、ジョー・ダンテがスタジオ側ととことん闘った舞台裏などについて書いています。ご鑑賞のお供としてぜひご覧くださいませ。メリー・クリスマス!

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2018/12/22

裏切りのサーカス

夏以降、随分と更新できずに放置してしまったこのブログ。年末年始のゆっくりしたひと時にご覧いただきたく、2018年の執筆記事を少しずつご紹介していきたいと思う。まずはスパイ小説の大家ジョン・ル・カレによる有名原作を映画化した『裏切りのサーカス』から2つの記事をどうぞ。

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実際に起こったスパイ事件が『裏切りのサーカス』に与えた影響とは?

緻密なスパイ・スリラーを際立たせた、夫婦脚本家の脚色術


最初から原作本に手をつけてしまうと、その難解さから挫折してしまう人が多いと聞く。その分、私はBBCドラマ、そしてこの映画版を経由し、満を持して原作を紐解き始めたので、なんとか完読することができた。そこに描かれていた原作のジョージ・スマイリーは、ドラマ版のアレック・ギネスや映画版のゲイリー・オールドマンとも違う、まさに活字の世界ならではの存在のようにも思えた。

ちなみに同作でソ連側のキーパーソンとして登場する「カーラ」という人物がいる。BBCドラマ版では、「X-MEN」シリーズでもおなじみのあの人が、異様な存在感にて怪演していることを併せてお伝えしておきたい。

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2018/12/20

長崎へ 七日目〜旅の終わり、西坂の丘へ〜

昨日訪れた大浦天主堂は正式には「日本二十六聖殉教者天主堂」といい、豊臣秀吉の命令によって西坂の丘で処刑された二十六聖人へ捧げられたものなのだとか。しかも教会自体が西坂の方角に向かって建てられているという。

ならば最後に、大浦天主堂が150年間も思いを捧げ続ける「二十六聖人」が殉教した地へと行ってみるしかあるまい。

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長崎へ 六日目〜国宝、世界遺産の大浦天主堂〜

結果的に私は、1865年3月17日に起こった「信徒発見」という出来事の流れを辿るかのように、浦上天主堂のある地域から大浦天主堂までの道のりを移動することとなった。

幕末のこの日、浦上の農民達十数名が神父の前に歩み出て、自分たちが禁教時代もキリシタンとしてずっと信仰を守り通してきたことを告白した。いわゆる潜伏期の終焉であり、この出来事は宗教上の奇跡としても語り継がれている。思えば、私が遠藤周作の「沈黙」を読んだとき、マーティン・スコセッシ監督による映画版を鑑賞した時に、ラストシーンの余韻に浸りながらふと胸をよぎったのも、200年の時を経てカトリック聖職者と日本の信者とが再会を果たすこの場面だった。言うなれば「信徒発見」は、あらゆる潜伏期の物語のエピローグと言えるのかもしれない。

当時の方々にとってみれば徒歩にて一日がかりの巡礼だったろうが、私は誠にもって恐縮ながら、路面電車でほんの20分程度の旅で事足りた。

大浦のあたりも幼少期から何度となく訪れたことのある場所だが、今の私の見てくれといえば地元の人とはかけ離れた観光客である。なにしろ首からカメラをかけ、背中には今時珍しいほどの大きなリュックを背負っている。あげくのはてに、時々、港のほうからボウッ!と聴こえてくる船の汽笛にビクッとしては、何かが起こったのではないかと付近をキョロキョロと見渡す始末である。

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2018/12/19

長崎へ 五日目〜長崎で迎えた朝。はじめてのミサ体験〜

朝5時半に起きれるかどうか。それが問題だったはずだが、何の事はない。夜中、パソコン広げて原稿書きの仕事をしていたら、いつの間にか5時半を知らせるアンジェラスの鐘が鳴った。その時間から浦上天主堂には各方面から信者さんたちが歩いてやってこられる。朝のミサの始まりでである。私は5時50分の集合時間よりも10分も早くとロビー到着するという優等生ぶりを発揮。結局、その時間までに降りてこられた方は僕を含めて3人だった。

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長崎へ 四日目〜真っ暗闇の平戸で大手を振って歩く〜

4日目の朝は平戸からスタート。宿泊先を朝6時半に出立すると、あたりは案の定、まだ真っ暗闇。例のごとく手をぶんぶん振りながら横ギリギリを走り抜けて行く自動車に轢き殺されないように必死のアピールを繰り返して平戸口桟橋のバス停を目指した。そこから僕の生まれた年に完成した平戸大橋を越えて、中心街の平戸桟橋まで15分。始発バスは朝早くから登校する高校生が複数名乗っていた。彼らは学校前のバス停でみんな降りていってしまったが、その際の降車のやり方が実に興味深い。みんなして後ろの方を振り返り、最後列から順々に降りていくのだ。きっとこの学校ではバスの乗り方としてこのように指導されているに違いない。

ただし、このとき、僕自身が最後尾に座っていたことが事を複雑にした。学生達はリュックを抱えた僕の方をじっと見つめ、降りるのか降りないのかを2、3秒見定め、「ああこの人、学校関係者ではないんだな」という暗黙の判断を下した上で、降車を開始したようだった。彼らにとってみれば、僕は担任教師と同じかそれより年上となるのだろうか。ほんの数秒の間ではあったものの、僕と彼らとの間で、バーチャルな先生と生徒の関係性が僅かばかり香ったのが非常に興味深く感じられたのだった。


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2018/12/18

長崎へ 三日目〜親愛なるウシたちとの出逢いと別れ〜

野崎島から無事帰ってきて、ホッとした心境で迎えた3日目。

小値賀島で宿泊した「島宿御縁」があまりに気持ちのいい空間だったので、ここは天国なのかというくらいにゆったりとくつろいでしまいました。部屋の窓からはすぐそこに海が見え、ふとんはフカフカで、食事は美味しいし、何よりも個室にトイレとお風呂が付いているのが嬉しいところ。通常の島宿ではあまり得られない充実した空間が広がっていました。

また、ご主人もとてもエネルギッシュかつ情熱に溢れた方。元々は外国人の旅行者をつれて日本国中を案内して回るツアー・コンダクターとして活躍されていたのだそう。その後、実家のある小値賀島へ戻り、これまでのように自らいろんな場所に出向くのではなく、この小値賀の地こそを「世界中から人の集まる場所」にすべく日々構想を巡らされているのだそうです。

生まれてからずっと小値賀でがんばっている方もおられる一方、UターンやIターンで小値賀で暮らし始めた若い世代も多いとのこと。外の世界で何らかのプロフェッショナルの腕を磨かれ、それを用いてこれまでになかった様々な新風が吹いている模様。「島宿御縁」さんが提供する居心地のよい空間もそうですが、ほかにも島のご自慢の特産物を洗練されたデザインのパッケージングと打ち出し方で全国へと届ける「しまうま商会」さん、そして今回、通りかかったときにはすでに完売御礼と張り出されていた「こじこじぱん」さん、家業の活版印刷を用いておもしろい取り組みを続ける「OJIKAPPAN」さんなど、気になるお店は数知れず。都会と比べてアイディアをどんどん具現化していくことのできる島という空間は、ある意味、ひとつの大きな可能性のかたまりなのかもしれません。

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2018/12/13

長崎へ 二日目〜五島の無人島に建つ教会〜

博多からのフェリー太古が五島列島の小値賀島に到着したのは午前4時40分頃。巨大な船体が走り去った後の周囲は、どこまでが陸でどこからが海なのか分からないほど暗い。ターミナルの仮眠室で朝まで過ごせるという。利用者は僕一人。ここでターミナル内にある「おぢかアイランドツーリズム」が開くのを待つ。

今回、小値賀島を訪れるきっかけとなったのは、ここからほど近い野崎島にある旧野首教会の存在だった。


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長崎へ 一日目〜思いっきり遠回りして故郷へ帰る〜

朝から大きなリュックを抱えて満員電車で羽田へ向かい、空路で福岡へ。単なる帰郷ならそのまま長崎入りすれば良かったわけだが、たちどまり、迂回し、大きく遠回りして寄り道ばかりしているのは何も今にはじまったことではない。そんな自分の性格と格闘するかのように、福岡では西鉄福岡駅から1時間ほどかけて大堰というローカル駅へ。あいにくの雨。列車を降りると横殴りの風雨に翻弄されて、慣れない一本道をトボトボと歩く。走り抜けるトラックに水をぶっかけられながらも一向に心が折れなかったのは、このだだっぴろい平野の向こうにずっと双塔の建物が見え続けていたから。まるで北極星に導かれるたびびとのように、歴史ある教会建築、今村天主堂を目指した。

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このあたりは禁教時代にもひそかにキリスト教が守り抜かれ、今から150年前に大浦天主堂のプティジャン神父とその信徒達によって「信徒発見」された地区だという。その後、明治の終わりにレンガ作りの天主堂が着工され、大正2年に完成した。設計は教会建築で名高い鉄川与助。

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近くから見ると本当に大きな教会であることがわかる。中に入れて頂くと、はじめはその仄暗さになれるまで時間がかかったものの、目が慣れると様々な細部が浮かび上がってきた。大天使ミカエル像。ぐるりと取り囲むキリストの受難を物語った絵画の連作。建設当時から変わらぬままという木造の床は時を経てますます黒光りしており、ふと触れた木の柱も一本一本が力強く構造を支えている。ステンドグラスからの光が、外が大雨であることをすっかり忘れさせる。ご案内いただいた方の、この教会を単に文化財として受け継ぐだけでなく、その中身の部分(信仰)も伝えていかなければという言葉が印象的だった。

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帰り道には、目指すべき星などなく、雨に打たれっぱなしで体力的にも疲労困憊。その後、天神に戻ってからはKBCシネマでチリー・ゴンザレスのドキュメンタリー「黙ってピアノを弾いてくれ」を鑑賞。そういえば今日、何も食べていなかったことに気づき、雨と寒さで思考停止に陥りながらも、なんとか9月に福岡インディペンデント映画祭で訪れた川端商店街にて、本日最初の食事にありつく。このエリアでの行動は慣れたものなので、途端に元気になり、3ヶ月ぶりの懐かしさをところどころ確認して回る。これからの2食分の食事や水分の調達なども。

博多港へ歩きで移動して、23時45分発の五島行きフェリー太古に乗り込む。「強風の影響でかなり揺れる」との情報。船員さんのアドバイス通り、船体の真ん中付近のエリアに横になり、出航前に酔い止めを服用。酔いは、視覚情報と身体の揺れとのズレから引き起こされることが多いらしく、出来るだけ目を閉じて過ごした。本当は熟睡したかったのだけれど、底から突き上げて引きずるような揺れで眠れなかった。そういえば、昨晩もギリギリまで仕事していて一睡もできなかったなと思い返す中、トイレからは船酔いされた方の苦しそうな声が絶え間なく響き続けていた。服用のおかげとはいえ、昔から身体の弱かった自分が、この船旅をなんとか乗り切ったことは大きい。

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