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2018/12/20

長崎へ 七日目〜旅の終わり、西坂の丘へ〜

昨日訪れた大浦天主堂は正式には「日本二十六聖殉教者天主堂」といい、豊臣秀吉の命令によって西坂の丘で処刑された二十六聖人へ捧げられたものなのだとか。しかも教会自体が西坂の方角に向かって建てられているという。

ならば最後に、大浦天主堂が150年間も思いを捧げ続ける「二十六聖人」が殉教した地へと行ってみるしかあるまい。

JR長崎駅から程近く。NHK長崎放送局の真上。有名な公園の中央に建つ記念碑にはこれまでにも何度か立ち寄ったことがあった。様々な関連資料を展示する記念館にも入ったことがある。 でも、その真横に建つ聖フィリッポ西坂教会だけは、幼い頃から「あの尖塔、なんやろか?」と思いながら、ついぞ長崎時代の18年間、自分の中の謎が解けることはなかった。

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歴史をひもとくと、26聖人の聖列(聖人の列に加わること)100年を記念して記念碑と記念館、そしてこのフィリッポ教会はほぼ同時期に完成したそうだ。 記念館と教会の設計を手がけたのは、アントニ・ガウディの作品をいち早く日本へ紹介した今井兼次氏。この教会にも氏が影響を受けたガウディの精神が大いに盛り込まれているという。 なるほど直感的にサクラダ・ファミリアを彷彿したのは間違いじゃなかったわけだ。

それにしても改めて見つめると、異様とも言えるほどのすごい建築物だ。子供の頃はちょっと怖いほどだったが、角度によっては可愛らしく見えたりも。中へ入ってみる。これまで見てきたどの教会よりも洗練された聖堂が広がり、ハッと息をのんだ。どこか船の内部を思わせるような現代建築である。

マカオから返還された26聖人の内の3名の遺骨の一部も安置されている。その空間に時間を忘れて心をふるわせていると、お歳を召したスペイン人の聖職者の方が階段をゆっくりとのぼってお見えになり、「なにか質問があれば聞いてください」との優しいお言葉。いつしか話題は、イエス・キリストが馬小屋で生誕するまでの一連の流れへと及んでいた。旅の途中、殉教や死に関することばかり考えてきたが、最後の最後に誕生へと戻った。

気がつけば、もうすぐクリスマスである。

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旅の途中、友人から教会巡りをしている理由を問わる場面があった。

ひとつはせっかくの帰郷なのでテーマをひとつ定めたかった。僕自身は無宗教ながら、長崎出身者として映画『沈黙』の精神性や世界遺産になった文化ついて、つまり故郷が昔から持つストーリーを理解しておきたかった、ということがある。でもいつしかそんな義務感のようなものは綺麗さっぱりと霧消していた。

思えば、なにひとつ、うまく行かないことなんて無かった。いつでも道が開けて、常に誰かが助けてくれた。多くの方に出会えたこと、言葉を交わせたことが本当に楽しかった。すっかり長崎弁に戻ってしまったし、声もでかくなった。明日からどうしようかと思うが、そんなことは知ったことではない。

そんな旅もそろそろおしまいである。大村空港行きのバスが出る時刻となり、あわてて西坂の丘から県営バスターミナルまで急いで駆け下りた。ただ、目の前には現実があった。値上げにつき空港行きバスは片道1000円だという。こりゃ帰省客にとってはお財布の痛かハナシばいねー。神様、なんとかしてくれんやろうか、と思いつつーーー。

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