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2019/01/23

愛と銃弾

この作品は、いわゆる日本人好みのイタリア映画の鋳型には当てはまらないのかもしれない。だがこのノリ、このテンションを享受していると、何やらガイドブックには載っていないディープな名所へと連れてこられたかのような特別感がほとばしってやまなくなる。

Ammore

冒頭、ダイナミックなカメラワークがナポリの街を映し出す。今まさにマフィアの大物の葬儀が執り行われている大聖堂では、棺桶の中の死人が「なぜ俺は死んじまったのか?」と絶望の面持ちで歌い始める。こんな突拍子もない演出を日本人としてどう受け止めれば良いのか。笑っていいの?それとも手拍子して盛り上げればいいの?いやいや、結論から言えば、戸惑う必要など何もない。ああそうかこういう映画なのか、と楽しみ方を受け入れてしまえば、後はもうしめたもの。これは楽しんでナンボの映画なのだ、本当に。

本国ではイタリアのアカデミー賞と呼ばれる「ダビッド・ディ・ドナテッロ賞」の作品賞をはじめ5部門受賞を果たしたという。しかし筆者はどちらかというと本作を、親しみを込めて「闇鍋映画」と呼びたい。とにかく何が飛び出すのかわからない。アクション、サスペンス、ギャング、コメディ、メロドラマ、ミュージカル。握り締めた箸が次はどんな具材を口に運ぶのか、皆目見当もつかない。

時に訪れる強引な展開に「んん?これってアリなの?」と周囲の反応を確かめたくもなるが、今更そんなこと言い出すのは野暮ってものだ。本国の映画館ではきっと細かいことなど微塵も気にせず、みんな大いに盛り上がっていたに違いない。そんな状況を想像すると、おのずと笑みがこぼれ、なんだか幸福な気持ちがこみ上げてくる。一日のうちの2時間ちょっと、日本人であることを忘却して楽しみたい一作だ。

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