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2019/08/27

ロケットマン

エルトン・ジョンの半生を描いた『ロケットマン』が公開中だ。もちろんこれ一本だけで十分に面白いことは間違いない。が、さらに深掘りしたいなら、ぜひ映画『リトル・ダンサー』やその舞台版「ビリー・エリオット ザ・ミュージカル」と併せて楽しみたいところ。それはなぜか?「ザ・ミュージカル」のDVD収録の特典映像によると、エルトン・ジョンは『リトル・ダンサー』が初披露されたカンヌでたまたまこれを鑑賞し、自身の幼少期(特に父親との関係性など)と重なる部分が多かったこともあり、号泣してしまったのだとか。この幸運な出会いをきっかけに製作陣との交流が始まり、本作は5年後、エルトン・ジョン作曲の珠玉のナンバーに満ちた「ザ・ミュージカル」へと進化を遂げることに————。で、『ロケットマン』は監督こそ違うものの、脚本を担うのは『リトル・ダンサー』を手がけ、エルトンと「ザ・ミュージカル」で密にコラボしたリー・ホール。かくも気心知れた間柄だけに、エルトンが大感動した「重なる部分」も、極めて丁寧に描かれていて観客の涙を誘う。そして、映画版でビリー・エリオットを演じたジェイミー・ベルも重要な役で好演。これらの背景を知っておくと、ちょっとした鑑賞の助けになるかも。

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2019/08/26

恐怖を克服するのに有効な方法

私は有名監督の「まだ何者でもなかった頃の話」が大好きなのだが、こと「アクターズ・スタジオ・インタビュー」で聞かれたスピルバーグの少年時代にまつわる話に惹きつけられた。一人の学生が「あなたが誰もが知る“スティーヴン・スピルバーグ”になる前、ご自身の中に表現者としての潜在的な可能性を感じてましたか?」と尋ねて、スピルバーグはすかさずこう返す。

「そんなものあるわけない。ゼロだよ、ゼロ!」。

まだ何者でもなかった頃、彼は「怖いと感じるもの」をたくさん抱えた子供だったという。と同時に、その恐怖をどうにかして克服したかった。ではどうすれば? 導き出した答えは「心の内側の恐怖を取り出して具現化すること」。そうやって真正面から正体を見極めることで恐怖は克服できる。だが彼の場合、それがちょっと行き過ぎてしまったようだ。次第に「僕の中のモンスター(スピルバーグ談)」な部分が顔を出し、怖いと感じたものを他人に突きつけて怖がらせようと色々やりだすーーーーつまり、その延長線上に『激突!』や『JAWS』のような傑作群があることは明らかだ。「僕にとってそれは一種のセラピーのようなもの」。自分の体験を記憶の中に閉じ込めることなく、皆で共有する。ここにもスピルバーグ作品を紐解く上での重要なポイントが隠されている。

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2019/08/25

スピルバーグ、もう一つの第一歩

偉大なキャリアにはその道を踏み出した第一歩がつきものだ。ちょうど先日、『アラビアのロレンス』に関する原稿の中で、スピルバーグが監督になろうと本気で決意したきっかけについて書いたばかりだが、それ以前にも彼が“動くイメージ”そのものに興味を持った瞬間があったそうだ。

名物番組「アクターズ・スタジオ・インタビュー」でその“きっかけ”として挙がったのは、チャールズ・ディケンズの名著「二都物語」。どうやら学校で読書感想文か何かの課題が出されたようなのだが、彼は当時、この本にちっとも興味が持てず、どうしていいものかと悩みながら時間を持て余すうちに、気がつくと「読む」のではなくページの隅っこに一生懸命パラパラ漫画を描いて遊んでいたそう。で、いま改めて振り返るとこれが1フレーム、1フレームを意識しながら“動くイメージ”を作り出した最初の一歩だった・・・というわけ。

誰もが敬意を捧げる威厳ある古典作品と、その片隅にひっそりと描かれた簡易なイラスト。キャリアの第一歩には現在に通じる何かしらの共通点が見つかる場合が多いが、この組み合わせにも、まさに今日の彼へと通じる「スピルバーグらしさ」がほとばしっているかのようだ。

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2019/08/24

名優アレック・ギネスの役づくり

名優話をひとつ。『スター・ウォーズ』のオビ=ワン・ケノビ役で知られるアレック・ギネス(1914~2000)の偉大さを示すエピソードは数多くある。1962年の『アラビアのロレンス』では最初、ロレンス役を演じたいと望んだものの、製作者は「君はもう若くないんだから」とやんわり拒否。代わりに彼の年齢に相応しい、アラビアの砂漠で存在感を持つファイサル王子役を演じることになる。さて、英国人がアラビア人役。一体どうやって役作りすればいいのだろう。だがさすが名優のギネスは抜かりなかった。

Alecguiness

この時、ギネスは初共演となるオマー・シャリフをティータイムに招待し、2時間ほど他愛もない世間話を交わしたという。そして後日、いよいよ彼の出演場面の撮影が始まって、まずはピーター・オトゥールがいち早くギネスの役作りの秘密に気づいた。彼はすかさずシャリフに駆け寄ってこう囁いたという。「アレックは君の喋り方を完璧に真似してるぞ!」。

そう、ギネスはいちばん身近なところに最高のお手本がいるのを見逃さなかった。ティータイムの間、何げなくシャリフのアラビア訛りのある英語の発音を見て学び、それを完璧に体得してみせたのだ。計算高いといえば確かにそうだし、彼の代表作TV版「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」のスマイリーのように”したたか”とも言える。その甲斐もあり『ロレンス』のギネスは、一見しただけでは彼とは気づかないほどの、これまでとはまるで別格の存在感を発揮。彼の名優伝説を語る上で欠かせないの役のひとつとなった。

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2019/08/23

『アバウト・タイム』削除シーンのこと

リチャード・カーティスによる2013年の作品『アバウト・タイム』には、ファンの間でも大きな話題となった削除シーンがある。それが「アビー・ロードの渋滞」という場面。自宅で産気づいた妻を車に乗せて病院へ向かう最中、ビートルズのジャケット写真で名高いあの観光名所でいつもの大渋滞が発生している。少しでも早く車を進めるには、記念撮影するファン達をできるだけ迅速に捌かねば。さあ、健気なティムはどうやってこの場を切る抜ける? 

キャストの間でも好評だったシーンなのだが、最終的な判断でカットされることになったようだ。カットの理由については自ら推測するしかないが、いくらこのシーンが際立っていたとしても、ラストへ向かう中でここだけ際立ちすぎてしまうと本末転倒だ。カーティス自身が、勢いのあるノリではなく、もっとしっとりとした流れで全体がまとまっていくことを望んだのだろう。

もう一点、音声解説に耳をすませていると、脚本の段階ではこの場面で「スペシャルゲストが登場する予定だった」そうで、それが叶わなかったことにより、当初の構想からやや離れたものになってしまったことも考えられる。

ともあれ、ビートルズがかの有名なジャケット撮影を行ってから8月8日でめでたく50周年を迎えた(この日はファンが大集結して大盛り上がりだったようだ)。そしてカーティスは自身が脚本を務めた『イエスタデイ』にて、これまで以上にビートルズという存在に真正面から向き合っている。惜しくも幻となってしまったが、この削除シーン、いまにつながる大きな布石となっているようにも思えるのだった。

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2019/08/22

アラビアのロレンス(1962)

毎日、相変わらずの暑さが続いてますが、こんな映画はいかがでしょう。

映画史に燦然と輝く傑作『アラビアのロレンス』について書きました。

Lawrence

『アラビアのロレンス』スピルバーグに監督になることを決意させた圧倒的な映像世界/CINEMORE

私が『アラビアのロレンス』と出会ったのはもう随分と大人になってから。学生時代も、社会人になってからも、200分越えという長大する壁を前にただただビビり続けて、この映画にかじりつくことを避けてきたように思います。

でもこじらせ続けてきたものって、いざ必要に迫られて取っ組み合うと意外と怖くないし、これまで意識し続けてきた分だけ逆にすっと相手の懐へ入れる。あらゆるものに通底する当たり前のことに気付かされたような気がしたものです。

こんなにも贅沢な200分の過ごし方。しかも部屋の窓を開けると、そこから砂漠さながらの熱風と灼熱の陽光が射しこんでくるわけです。もはや暑さは幸運。臨場感あふれる4DX体験。夏にこの映画を見ずしていつ見るというのか。

そんなわけでこれまでご覧になったことのない方はこの機会に是非。

そして今日一日、ラクダに乗って砂漠を横断するような気持ちで、頑張ってまいりましょう。

 

過去のCINEMORE執筆記事はこちらから。

映画.comの執筆記事はこちらから。

 

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2019/08/14

アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜

2013年に製作されたロマンティック・コメディ作品『アバウト・タイム』について書きました

『アバウト・タイム』シンプルなタイムトラベルが気づかせてくれる宝物のような日常の輝き/CINEMORE

「家族っていいな」という映画であり、なおかつ「ありふれた日常にこそ幸福がある」という映画でもあります。当たり前のことなんだけれど、名匠リチャード・カーティスが描くとこんなにも温もりと優しさに満ちた映画になるという。。。これもまた一つの魔法のような気がします。

気になった方は是非お読みいただけますと嬉しいです。

過去のCINEMORE執筆記事はこちらから。

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2019/08/03

スパイ・ゲーム(2001)

トニー・スコット監督が2001年に手がけたサスペンス・アクション『スパイ・ゲーム』について書きました。

Spy_game

ヘリ撮影シーンから垣間見えるトニー・スコットの意匠/CINEMORE

CINEMOREでは先々週にロバート・レッドフォードの俳優引退作『さらば愛しきアウトロー』について取り上げ、先週はブラッド・ピット主演の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』について書き、その流れで私の中で二人に関する興味関心が高まっていたこともあり、あまたあるトニー・スコット作品の中から本作をチョイスさせて頂くことに。他の作品について読みたかったと思われる方もいらっしゃるかもしれません。またの機会がありましたら書いてみたいと思います。

その他、CINEMORE執筆記事はこちらから。

映画.comの執筆記事はこちらから。

 

 

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2019/08/01

ワイルド・スピード スーパーコンボ

いよいよ明日から公開となる『ワイルド・スピード スーパーコンボ』について書きました。

ソリが合わないという点では全くぶれない二人の最強バディ・ムービー/映画.com

暑い夏にあえて激辛メニューを食べるかのような限界越えムービー。小難しいこと一切なく、頭を空っぽにして楽しめる作品です。

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