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2019/09/16

マクガフィンの由来

ヒッチコックは「映画術」の中でマクガフィンという言葉の起源についてこう述べている————列車の中で二人の男が語り合っている。一方が「あの荷台の荷物はいったい何だね?」と尋ねると、もう一方は「あれはマクガフィンだよ。スコットランドのハイランド地方で、ライオンを獲るのに用いられる道具さ」。「でもあそこにはライオンなんていないぜ」「じゃあ、マクガフィンじゃないな」と続く。なんとも煙に巻かれたような気にさせる小話だが、「映画のマクガフィンは無意味なものに限る」というヒッチコックらしい主張が垣間見えるかのようだ。

翻って、メルヴィル監督作『サムライ』では「謎の依頼人」を探し求めるというマクガフィンが起動するものの、もう一段階、俯瞰すると、タイトルの「サムライ」もまた一つのマクガフィンであることに気づかされる。

我々は「サムライとは何ぞや?」との命題を浮かべつつ本作に真向かう。だが、確たる答えは用意されておらず、我々は想像力で補うしか術がない。こういった曖昧模糊なマクガフィンのあり方を貫いたからこそ、本来繋がるはずのない日本のサムライとフランスの殺し屋が繋がった。ある種のファンタジーが両者の切断面を綺麗に繋ぎ合わせてくれたのかもしれない。

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