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2019/09/15

マクガフィンなるもの

マクガフィンという専門用語がある。別に知らなくても映画を楽しむのになんら支障をきたすものではないが、でも知っておくとストーリーを構造的に見つめることができる。例えば、金塊探しをめぐって大冒険が巻き起こる物語ではその金塊がマクガフィンとなり、また謎の人物を探し求める映画では人物そのものがマクガフィンとなる。かくも物語や登場人物たちに行動の動機付けを与える要素をそう呼ぶのである。

この言葉を大々的に広めたのはヒッチコックだが、彼は「マクガフィンは無意味なものに限る」との考え方で、彼の映画ではいつも、書類だとか暗号だとか、別のものでも代用可能なシンプルさが重視された。そこに意味を与え過ぎると物語の道筋がかえって見えにくくなるからだ。

ここで、昨日取り上げたジャン=ピエール・メルヴィル監督作『サムライ』を引き合いに出してみよう。主人公が追う「謎の依頼人」とはいったい何者だったのか。その正体についてメルヴィルは当初「秘密機関の長」を想定していたらしいが、結果的に「私は彼が何者なのか知らないし、知りたくもない」というほど全く特徴のない人物となった。そして書籍「サムライ ジャン=ピエール・メルヴィルの映画人生」の中ではっきりこう述べている。「彼はヒッチコックが(「映画術」という本の中で)トリュフォーに語っている”マクガフィン”なんだよ」。

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