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2019/09/12

荒野の誓い(2017)

クリスチャン・ベールは、たった一本の映画の中で、天と地ほどかけ離れたところへ向けた人間性の変移を体現できる数少ない俳優だ。これが並の俳優だと、一個の体の中で整合性が取れずバラバラに引き裂かれてしまうだろうし、観客の目にも演技が成立しているようには到底見えないはず。だが驚くべき表現性に魅入られたベールにはそれができる。たった一つの身体で破格のスケールの人生を物語ることができるのだ。

Hostiles

公開中の映画『荒野の誓い』で彼が演じるのは、過去にネイティブ・アメリカンと壮絶な戦いを繰り広げた男。多くの死を目にし、あの戦いの意味を今なお問い続けている人物だ。お互いに許し合うこと、憎しみを乗り越えることでしか、我々は失った人間性を回復することはできない。この地で平和に暮らし、愛する人たちを守りたいと願うのであれば、それはなおさらのこと。そんな彼が就いた新たな任務の中で、彼はさらなる試練と葛藤の時を迎える・・・。

何よりも見て欲しいのはラストである。現代を代表する俳優クリスチャン・ベールの一つの到達点というべき佇まいがそこには刻まれていて、思わず意表を突かれて涙してしまった。世界中で新たな時代の争いが絶えない中で、本作は人と人とが許し合いつながり合うための気づきを与えてくれる。まずはそこから始めるべきなのだと、彼らの歴史が教えてくれている。

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