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2019/09/04

第11回福岡インディペンデント映画祭 1日目

■今年は行けない。行けるはずがないと思っていたが、徹夜で原稿を書き上げたら急に心の中の誘惑の力が強まり始め、気がつくと格安の朝一航空券をポチッとやってしまっていた。朝一の便となると自宅からでは間に合わない。そこでいい方法がないかと調べてみたところ、お台場の大江戸温泉物語で夜を過ごし、明けて3時半のバスで成田へ向かうルートがあるらしい。こうして金曜日の朝方、まだ世間が寝静まっている頃にごそごそ温泉を抜け出して、成田から福岡へ飛んだ。

■第11回福岡インディペンデント映画祭は、六本松にある福岡市科学館にて30日から9月1日までの3日間行われた。出品作の中からグランプリや各部門を決めるコンペティションは2年に一度とのことで、今年はお休み。そのためプログラムは昨年の受賞作や、各種特集作の上映によって構成されるものとなった。

 

 

* 1日目


●30日に『少年少女映画』の上映で幕を開けた映画祭は、最初のゲスト、『FIGHTING CAMERAMAN』の坂田敦哉監督と『直也の婚約前夜』の主演、渡部直也さんの登場で盛り上がりを見せる。この『FIGHTING〜』は私が昨年、同映画祭で観た中で、最も衝撃を受けた作品の一つ。たった10分間の作品ながら観る者すべてを「自分がまだ何者でもなかった頃」の初心に突き戻すとてつもないエネルギーに満ちた怪作だ。

●対する『婚約前夜』はモテ男の四角関係をめぐるクスクス笑いに満ちた上質なコメディ。渡部さんは一目見た瞬間からハッピーオーラに満ちていて、問答無用で周囲を惹きつける。観客は彼がなぜモテるのか、頭で理解できなくとも、感覚で深く納得できるのだから不思議なものである。

●そんなお二人は、昨年のこの映画祭で顔を合わせたのが縁になって、坂田監督の新作『宮田バスターズ(株)』に渡部さんがキャスティングされているとのこと。渡部さんは「宮田バスターズ」と刺繍の入った作業着を身にまとっての登壇だった。上映後、ご本人たちから手渡された『宮田バスターズ』のチラシには、『ゴーストバスターズ』を彷彿させるかのような和製ビル・マーレイこと渡部さんの姿が大写しになっていて、そのインパクトたるや、計り知れない。これもまた傑作の香りがひしひしと。なお、現在は長編化に向けたクラウド・ファンディングも展開中なのだそうだ。

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●この日のプログラム最後を飾ったのは、東海林毅監督の特集。国内外の映画祭で受賞を重ねる東海林監督は、昨年、『老ナルキソス』という作品で当映画祭に衝撃と陶酔をもたらした異才でもある。この日は『老ナルキソス』と共に『ホモソーシャルダンス』、『ピンぼけシティライツ』、『23:60(にじゅうさんじろくじゅっぷん)』の計4作が上映され、監督ご自身と、俳優の星能豊さん、平井夏貴さんがゲストとして登壇。どの作品も短編とは思えないほど濃密で、なおかつ変幻自在の物語性に満ち、人々が常識と思い込んでいるものを果敢に超越していく神話性を感じさせる。ある意味、4つの全く趣向の異なった(時にアブノーマルな)アミューズメントパークを体感しているようなひととき。頭の中を覗いてみたい衝動に駆られるほど飛び抜けた創造性で、会場全体を特殊な雰囲気で包み込んでいた。

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