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2019/09/06

第四の壁で遊ぶ

第四の壁(fourth wall)という概念がある。演劇などで舞台と観客とを隔てる透明な壁のことで、これをあえて打ち破って積極的に観客へと語りかけてくる作品としてはシェイクスピアの「リチャード3世」などが有名だ。もちろん映画も例外ではない。近年だと『デッドプール2』が「第四の壁」という言葉もろとも持ち出して、観客を果敢に挑発していたのを思い出す。

先日鑑賞した『アモーレス・ペロス』でも、ガエル・ガルシア・ベルナルが一瞬だけ、カメラの向こう側へ視線を投げかける場面があった。これは照明の調整を行っている際に、ガエルが不意に視線を遊ばせたことで偶発的に起こったものとか。ちょうど主人公が暴挙に出ようとする転換点だったこともあり、作り手たちは彼の不敵な笑みを「観客への挑戦」と呼んで、そのまま使用することに決めたという。

観客に語りかけることが(名目上の)禁じ手なのは、もともと舞台芸術が観客ありきでなく、神への捧げ物、つまり儀式として発展してきたからだろうか。とすれば、最初にその壁を破り、観客に語りかけた人の勇気たるや計り知れない。今日の演劇や映画などは、そういった掟破りの連続によって発展してきたものなのだろうな。

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