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2019/10/01

ジョーカー

DCコミックスで最も高い知名度を誇る怪人ジョーカー。その誕生物語をリアルに描いた本作は、ヴェネツィア国際映画祭で最高賞を受賞するなど、世界同時公開を前に早くも高評価の渦が巻き起こっている。僕もつい先日、試写してきたばかりなのだが、その衝撃のほどは呆然とするほど凄まじかった。

福祉の切り詰め、格差の拡大、公共サービスの停止などによって息苦しさを増すゴッサム・シティ。その社会の底辺でピエロを生業として生きる主人公アーサーは、幾つもの安定剤を服用し、さらにふとした拍子で笑いが止まらなくなるという症状も抱えている。社会的に追い詰められ、絶望の淵に立った彼はやがて一線を越えてしまうのだが・・・。

まずもって、ホアキン・フェニックスの怪演には震撼するばかり。出演決定時にすでに高まっていたハードルを、やすやすと越えたのではないか。そして本作の不気味さに暗黒の輝きを添える要素がもう一つ。それは『キング・オブ・コメディ』や『タクシー・ドライバー』の影響が見え隠れするという点だ。しかも、コメディアン志望のアーサーが視聴するTVトークショーの司会者をデ・ニーロが演じるという凝りよう。時代は繰り返すというが、本作はあの頃のデ・ニーロがスクリーンで体現していた狂気、精神的傷跡が形を変えて蘇ったかのようでもある。

『ハングオーバー』シリーズのトッド・フィリップスが切り開いたまさかの境地。ジョーカーの映画化としては危険レベルの水域に達したと言えるほどの桁違いの完成度だ。ただ、本作は精神的にキリキリとくる。体調的に余裕がある時に見た方が無難だろうし、本能的に「嫌い」と答える人も出てくるはず。どう受け止めるかはひとえにあなた次第だし、他人の意見に振り回される必要は全くない。

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