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2020/03/07

ヒッチコック「見知らぬ乗客」

このところ、真夜中にヒッチコック作品を一本ずつ紐解いている。本作は50年代初頭、ヒッチコックがワーナーブラザーズと契約を結んでいた時期に撮られた白黒作品。この面白さは、名だたるヒッチコック作品群の中でも先頭集団に入るレベルだ。列車内でとある男からテニス選手へ持ちかけられた交換殺人。てっきり悪質な冗談かと思っていたら、これが現実となり「さあ、俺は約束を果たした。今度はお前の番だ!」と迫られる。が、秀逸なのはここから主人公が袋小路へ追い詰められるのではなく、むしろ物語が様々な登場人物や舞台を織り交ぜながらワイドに展開していくところだろう。そしてほのかにユーモアが香るところも魅力。犯人役のロバート・ウォーカーが親への複雑な思いを抱えながら屋敷に同居しているところは、のちの『サイコ』などにもつながる部分がありそうだ。ただ、情報をチェックしていて驚いたのが、このウォーカー、本作の制作から間もなくして32歳の若さで亡くなったそうだ(それを知ると、彼の飄々とした演技を笑うに笑えなくなる)。ともあれ、クライマックスのテニスマッチ、それから一団がなだれ込む遊園地での目を疑うほどの大スペクタクルといい、想像を超えた別次元へといざなってくれるエンタテインメント快作である。

 

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