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2020/03/11

ヒッチコック『舞台恐怖症』('50)

ヒッチコック作品の中でさほど知名度は高くない。私の中でもなぜかメロドラマ的なイメージがはびこっていて、これまできちんと観たことがなかった。が・・・喰わず嫌いってものは本当に良くない。これ、ものすごく面白い娯楽作で、キャラクターや展開、そして「演じること」を活用した物語構成が実に巧みな点に胸を鷲掴みにされた。

メインとなるのは、愛する人の殺人容疑を晴らそうと「役になりきる」才能を活かして渦中に潜り込む見習い女優。そこで対するは大物女優。舞台では共演することの叶わぬ二人が、舞台外にて虚構性の刃を突きつけ合う。この二重構造がスリリング。また終幕に向けて劇場構造を活かした動線が周到に構築されていくのも面白い。

特筆すべきは、やはり冒頭の回想シーンだろう。公開当時、この使い方が納得いくものかどうか、ヒッチコック自身も思い悩み、世間の評価も割れたそうだ。しかし70年の時を経て初鑑賞した私の目から見ても、思わず「あっ!」と声を上げてしまうほど鮮やかなトリックだった。主演のジェーン・ワイマンが『アメリ』のオドレイ・トトウのようで可愛らしい。この時すでにオスカー女優だったそうだが、その風格を微塵も感じさせないところがまたいい。

Stagefright04

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