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2020/07/13

原一男監督による珠玉のドキュメンタリーたち

定額制映画配信サービス「シネマディスカバリーズ」原一男監督の『極私的エロス・恋歌1974』のレビューを書かせて頂きました。

原監督といえば言わずと知れたドキュメンタリーの巨匠。とりわけ昭和の時代に生み出された怪作『ゆきゆきて、神軍』や『全身小説家』はあまりに有名です。僕がこの監督のことを知ったのは学生時代。近所のレンタルビデオ店の棚に『ゆきゆきて』が並んでいるのに気付き、パッケージを裏返して解説を読むと、とにかくすごい衝撃作であることが書かれてある。うーん、見たい!でも、正直言って勇気がない!映画館での集団的体験とは違って、自宅内でのレンタル視聴は一対一でその世界観を受け止めなければならないので、果たしてそれに耐えられるかな、と。そんな揺れ動く感情の狭間で、結局、いったんは借りかけたビデオテープをそのまま棚に戻してしまったのを、その感触を、未だに覚えています。

あれから20数年を経て、やはりサボってきた宿題はいつかツケが回ってくるといいますか、まさか数ヶ月間のうちにこれほど原監督の作品とガッツリと向き合う機会が巡ってこようとは。一つはこのコロナ禍の影響もあるかと思います。ずっと見続けているヒッチコックや、先日初めて観た『ピンク・フラミンゴ』もそうなんですが、この機会にやり残してきたものにガツンと触れておかなければ、次の一周はないな、と考えるわけです。自分の年齢から言っても、もう宿題は残せない。

今回はネットの動画配信サービスに寄せてのレビュー執筆ですから、おのずと学生時代のレンタル屋で最初に原作品を手にした時の「感触」が全く異なる形で蘇ってくるのを感じました。「ゆきゆきて」がネットで見られるなんて、時代はずいぶん変わったな、と。で、映画そのものも面白さは、時代が昭和から平成、令和と移り変わっても一向に色あせてないんですよね。そこがすごい。むしろ時代の経過とともに、そこへ加わる裏話や後日談なども加わって、何度も見ることでどんどん味わいが増していっている。あと、すっかり忘れかけていた昭和の匂いや風景が強烈に思い出されて、例えば「ゆきゆきて」のとあるワンシーンにファンタオレンジの細長い250ml缶が映し出されるんですが、これが懐かしくて「わっ!」と声を上げてしまうほどでした。

Orange

おっと、私が書かせていただいたのは、あくまで「極私的エロス・恋歌1974」だったのでした。こちらも極めて刺激的で面白い作品でした。そんなわけで有料会員向けではございますが、是非作品のご鑑賞に併せてレビューもご覧いただけると嬉しいです。

ちなみに、シネマディスカバリーズでは先週末、原一男監督によるライブコメンタリー配信(本編を流しつつ、原監督が生で解説を加えていく)や、その他シネマスコーレの坪井さんと映画監督の城定さんのアフタートーク付き上映などの数々の企画が展開されていて、個人的に学ぶことが非常に多かったです。おそらくサイトにとっては初めての試みだったかと思いますが、これを試金石としてずっと続けていってほしい。単なるコンテンツの提供にとどまることなく、これを体験にまで引き上げる試行錯誤はこの先もっともっと重要になってくるはず。今後、毎週末、怒涛のタイムテーブルで濃密な企画が開催されているような状況が出来上がってくれば面白いだろうなと、これまた一人のユーザーとして密かに期待しています。

 

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