『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』です。

このコメディを腹の底から笑える時代はやってくるのだろうか?

80年代の冷戦期、女好きのお気楽議員チャーリーが、たまたまTVでソ連のアフガニスタン侵攻のニュースを目撃。その荒廃した街並み、子供たちの表情に衝撃を受け、議会やCIAを通じてあの手この手でアフガン兵の支援に動き出す!…というハリウッドならではの豪華キャストによる王道コメディ。トムとCIAエージェント(!)役のシーモア・ホフマンの掛け合いなんて抜群に面白いが、でも笑ってばかりはいられない。だって彼らの大作戦が何の因果か20年後の現代に耐え難い痛みとして跳ね返ってきたのだから。こう言うとコメディの可能性を狭めることになるが、いまは過去の一点を祝福するよりも、この耐え難いジレンマと果敢に対決する映画が見たい。

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チャーリー・ウィルソンズ・ウォー
監督:マイク・ニコルズ
出演:トム・ハンクス、ジュリア・ロバーツ、フィリップ・シーモア・ホフマン
(2007年/アメリカ)東宝東和
5月17日より全国ロードショー

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『マンデラの名もなき看守』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『マンデラの名もなき看守』です。

南アフリカ現代史は、塀の中でもリアルタイムに動いていた。

アパルトヘイト政策下の南アフリカ。反政府活動家として逮捕されたネルソン・マンデラと彼の監視を命じられた看守が数十年に渡って少しずつ心を通わせていく。マンデラ本人によって伝記映画の製作が許可されたのはこれが初。その重圧をものともせず、地道な人間描写に定評のあるビレ・アウグストは知られざる塀の中の友情を丹念に描き込む。そして気になるマンデラ役には…デンゼル?モーガン?いやいや、なんとあのTVシリーズ「24」の黒人大統領役、デニス・ヘイバートが大抜擢!森のクマさんのような愛らしさもさることながら、言葉を交わした者すべてを感化させる『グリーンマイル』もビックリの特殊な人物像に史実としての十分なリアリティを付与している。

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マンデラの名もなき看守
監督:ビレ・アウグスト
出演:ジョセフ・ファインズ、デニス・ヘイバート、ダイアン・クルーガー
(2007年/仏=ベルギー=伊=南ア)ギャガ・コミュニケーションズ
5月17日よりシネカノン有楽町1丁目、シネマGAGA!ほか全国順次ロードショー

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『ハンティング・パーティ』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『ハンティング・パーティ』です。

怒らせるといちばん怖いのは、実はこいつらかもしれない

手にマイク、肩にカメラ。背には大きく「TV」の文字。世界の激戦地を飛び回り、彼らは命がけでレポートをモノにする…かつてそんな武勇伝を鳴らせた報道コンビがボスニアで再会。湧き上がるアドレナリンを抑えきれず、彼らは鉄壁の守りに囲まれた戦争犯罪人を追いかける旅に出る。『MASH』『フルメタル・ジャケット』のブラックな遺伝子に、『スリー・キングス』的な軽妙さも加味。次第に見えてくる戦争のリアリティ。立ちはだかる世界の不条理。そのジレンマに非武装で立ち向かっていく彼らの底力は物語としてなかなか斬新…と思ってたら、なんとこれらはほぼ実話なのだという。うーん、やっぱりカメラは史上最強の武器なんだな。

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ハンティング・パーティ
監督:リチャード・シェパード
出演:リチャード・ギア、テレンス・ハワード、ジェシー・アイゼンバーグ
(2007年/アメリカ)エイベックス・エンタテインメント
5月10日より、シャンテシネ、新宿武蔵野館ほかにて全国ロードショー

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『愛おしき隣人』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『愛おしき隣人』です。

トリアー、カウリスマキに並ぶ、北欧からの怪人が登場

個性派ぞろいの北欧から『散歩する惑星』で知られる鬼才ロイ・アンダーソンの新作が届いた。今回彼が仕掛けるのは、なんと「ストーリーが存在しない」物語。そこでは人々の見た悪夢がモザイク状に散りばめられ、ある女性は怒りに任せてラップ(?)を口ずさみ、ある男はマチャアキばりのテーブルクロス芸に大失敗。列車の音がうるさくて眠れない男がいれば、新婚夫婦の住居が突然車両となって発進し窓越しに大勢が「結婚おめでとう!」と祝福したりもする。すべては一時的。過ぎ去るともう二度と戻ってこない夢の嵐。最初は頭の中が「?」でいっぱいだが、ハマるとなんだか可愛らしくって愛おしくて、不思議ゾーンの魅力に火がついて止まらなくなる。

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愛おしき隣人
監督:ロイ・アンダーソン
出演:ジェシカ・ランバーグ、エリック・ベックマン、エリザベート・ヘランダー
(2007年/スウェーデン=フランス=デンマーク=ドイツ=ノルウェー=日本)
スタイル・ジャム、ビターズエンド
4月26日より、恵比寿ガーデンシネマほか全国順次ロードショー

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『アイム・ノット・ゼア』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『アイム・ノット・ゼア』です。

神様の人生を描くには、アヴァンギャルドな手法がよく似合う

ロックの神様、ボブ・ディランの人生が映画化!…といっても、そこでは名前も年齢も性別も違う6人の俳優たちがそれぞれ詩人、アウトロー、映画スター、革命家、放浪者、ロックスターとしてタスキを繋ぐ。まるで群像劇。でもこれらはすべて紛れもないディランの人生なのだ。一箇所に留まることを知らず、世界を変幻自在に渡り歩く存在。気がつくと彼はもう次なるステージへと昇っている。つまり、“He’s not there!”なのだ。彼のいちばんカリスマティックな部分を演じるケイトも印象的だが、急遽したヒースの体現する苦悩と孤独、それに黒人少年(彼もまたディラン)の神々しい屈託のなさが、ディランの知られざる側面に彩りを添える。

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アイム・ノット・ゼア
監督:トッド・ヘインズ
出演:クリスチャン・ベイル、ケイト・ブランシェット、マーカス・カール・フランクリン、
リチャード・ギア、ヒース・レジャー、ベン・ウィショー
(2007年/アメリカ)ハピネット/デスペラード
4月26日より、シネマライズ・シネカノン有楽町2丁目ほか全国ロードショー

ボブ・ディランに関しては、マーティン・スコセッシが渾身の力を込めて撮り上げた3時間半のドキュメンタリー『ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム』や、ディラン本人が主演・脚本・音楽などを手がけたコメディ映画『ボブ☆ディランの頭のなか』などがあります。また最近では、『アヒルと鴨のコインロッカー』や『ラッキー・ユー』など、ディランの精神性が物語の重要な位置を占める映画作品も誕生しています。

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『紀元前1万年』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。本日の執筆者は「ひまわり親方」さん。お題は『紀元前1万年』です。

さらばエメリッヒ、炎の向こうで悠久のダンスを踊れ。

ウホホホホ!俺、マンモス、追いかける!デッカイ鳥に突つかれる!サーベルタイガーにギロッと睨まれる!紀元前1万年は毎日が波乱万丈。でもやっぱ怖いのは人類だった。獰猛な民族の襲来で平和な村はあっという間に崩壊し、多くの村人は奴隷としてピラミッドのある大都市へ…って、これ、『アポカリプト』そのまんまじゃん!その上、使用言語はもちろん英語ってんだから、さすがエメリッヒ、ハリウッドのエンタメ文法もここまで極まれば逆にアッパレだ。そしてエメリッヒ映画のトレードマーク「演説シーン」の登場に座席から転がり落ちた。うはっ、こ、これは…凄すぎる。リアリズムの時代にこれほど我流を貫けるとは。ある意味、伝説だぜ、ウホホ。(ひ)

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紀元前1万年
監督:ローランド・エメリッヒ
出演:スティーブン・ストレート、カミーラ・ベル、クリフ・カーティス
(2008年/アメリカ)ワーナー・ブラザーズ映画
4月26日、全国ロードショー

これらのDVDが『紀元前1万年』を読み解く上で参考になるかどうかは保証いたしかねます!

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『大いなる陰謀』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『大いなる陰謀』です。

せめて2、3年早く出逢えたら、こんなに哀しくはならなかった

新たな軍事作戦を推し進める気鋭の共和党議員がジャーナリストに特ダネを優先提供する。その瞬間にも戦場では若き兵士たちの命が危険にさらされ、また大学の研究室では、教授が生徒に“ある教え子の話”を切り出していた…。主演作『大統領の陰謀』で国家に挑んだレッドフォードが、今度は現代社会のジレンマを3つのステージで切り崩す。原題は“Lions for Lambs”。獅子(勇敢な兵士たち)が羊(彼らを利用する政治家)のために犠牲となる皮肉を表している。ヒューマニズムは冴え渡るが、全てはタイミングが悪かった。大統領選が過熱する中、この手の主張は語り尽くされた感が強い。トムの不人気も相俟って、着想・製作から公開までのタイムラグが残念でならない。

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大いなる陰謀
監督:ロバート・レッドフォード
出演:ロバート・レッドフォード、メリル・ストリープ、トム・クルーズ、
マイケル・ペーニャ、デレク・ルーク
(2007年/アメリカ)20世紀フォックス
4月18日より日劇ほか全国ロードショー

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『王妃の紋章』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『王妃の紋章』です。

さすが王朝の家庭崩壊はスケールが違う

近年、絢爛豪華な武侠映画が続く中国の巨匠チャン・イーモウ。今度の新作は後唐時代に君臨した“黄金の王家”の物語だ。王が王妃に毒を盛れば、王妃は義理の息子と密かに不倫。果てにはその兄弟たちも家庭崩壊の泥沼に足を突っ込んでいく。さすが北京オリンピック開会式の総合演出を務めるイーモウ、数万人規模のエキストラを軽々と動員してみせる演出力は計り知れない。飛び交う弓矢、飛び散る鮮血、空から舞い降りる忍者軍団。でも、ここまで渾身の力を込めて描かれるのが、たかが“(王朝の)ホームドラマ”という 落差に、あきれを通りこしてむしろ拍手を送りたくなる。これは中国へのラブレターであり、壮大なブラックユーモアでさえあるのかも。

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3月21日の「NEWS23」にイーモウ監督が出演していました。そのときの発言録はこちら

王妃の紋章
監督:チャン・イーモウ
出演:チョウ・ユンファ、コン・リー、ジェイ・チョウ
(2006年/中国)ワーナーブラザーズ
4月12日(土)東劇ほかにて全国ロードショー

【メモ】朝日新聞(4月11日夕刊)によると、『王妃の紋章』の原案は「劇作家曹 禺(ツアオユイ)の『雷雨』。革命前の資本家一家の崩壊を描いた著名な戯曲で、中国の演劇学生なら一度は演じたことがある」ものなのだそうです。つまり、チャン・イーモウはこの原作世界を思いっきり唐代へ放り込んでしまったわけですね(なので、この物語は史実にあらず)。残念ながら「雷雨」の翻訳版は絶版となっているようです。

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『フィクサー』

アカデミー賞 助演女優賞(ティルダ・スウィントン)、獲得!

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『フィクサー』です。

長文レビューはこちら

今度のクルーニーは“フィクサー=もみ消し屋”

NY最大の法律事務所。とある企業訴訟の担当者が良心の呵責に耐え切れず、クライアントに反旗を翻す。すかさず事務所はフィクサーを送り込み事態の収拾を図るのだが…。ストイックかつ骨太な作風で知られる“ジェイソン・ボーン”シリーズの脚本家トニー・ギルロイの初監督作。今回のクルーニーはオーラを消し去り、正義に目覚めた同僚をなだめつつも営利主義の中枢で激しい葛藤に苛まれる仕事人を見事に演じる。利益のためなら善悪をいとわぬ現代社会を打破することは可能なのか?いつしか焦燥しきった彼が息子に託す希望の言葉が深く胸に突き刺さる。『シリアナ』『グッドナイト&グッドラック』に続くクルーニーの“迷えるアメリカ”3部作、その決定版と言える一作。

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フィクサー
監督:トニー・ギルロイ
出演:ジョージ・クルーニー、ティルダ・スウィントン、
トム・ウィルキンソン、シドニー・ポラック
(2007年/アメリカ)ムービーアイ
4月12日、みゆき座ほかTOHO系全国ロードショー

ブッシュ政権下のアメリカにおいて『シリアナ』『グッドナイト&グッドラック』、そして今回の『フィクサー』といった重厚なメッセージを含んだ作品群を送り出してきた製作会社“セクションエイト”。ジョージ・クルーニーとスティーブン・ソダーバーグが立ち上げたこの会社も遂に解散してしまいました。これについてクルーニーは「だんだん会社としての組織に束縛されるようになってきた」と理由を述べていますが、僕にはもうひとつ背景があると思います。つまり、既にアメリカをはじめ世界の人々は「世の中がおかしい」と気付きはじめた。この状況を受けて彼らは、もはや着火点としてのセクションエイトの役割は終わりを迎えたと判断したのではないでしょうか。

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『つぐない』

アカデミー賞 作曲賞(ダリオ・マリアネッリ)、獲得!

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『つぐない』です。

長文レビューはこちら

まさかこれほどまでとは思わなかった…

『プライドと偏見』で頭角を現した弱冠35歳のジョー・ライト監督が、長編2作目にして大成長を遂げた。原作は2002年に出版されたイアン・マキューアンの「贖罪」。『プライドと偏見』と同じくクラシックな雰囲気漂う物語ではあるが、ひとりの少女の誤解によって離れ離れになってしまった若き男女の運命と、その少女が生涯をかけて誓う“つぐない”を、見事なまでの芸術性とカメラワークで綴っている。とりわけ彼らの前に立ちはだかる“戦争”という名の混沌をたったワンショットで俯瞰するシーンは、息が止まるほどの感動で観客を揺さぶってやまない。そして終幕にかけて“フィクション”の魔法を少々。まるで魂の浮遊すら感じさせる渾身の123分に心から拍手。

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つぐない
監督:ジョーライト
出演:キーラ・ナイトレイ、ジェームズ・マカヴォイ、シーアシャ・ローナン、
ロモーラ・ガライ、ヴァネッサ・レッドグレイヴ
(2007年/イギリス)東宝東和
4月12日(土)より新宿テアトルタイムズスクエアほか全国順次公開

『つぐない』のサントラは本当に耳に残ります。あのタイプライターのカタカタ音がいつの間にかリズムになってメロディーを運んでくる展開など、本当によく練られている。さすが、アカデミー賞作曲賞を受賞しただけあります(って何様のつもりなんでしょう)。そして本作に心奪われた人ならば、ジョー・ライト監督の『プライドと偏見』を是非観てみてください。序盤、キーラのニッと歯を見せる笑い顔がたまらなく怖いんですが、徐々に、徐々に、この映画の魅力にはまっていきます。最後はうなった。やっぱ、この監督、巧いわ!もう、なんていうか、若くして映画に魅入られた人間、って感じがするんですよね。

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『クローバーフィールド/HAKAISHA』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『クローバーフィールド/HAKAISHA』です。

極限状況でカメラが果たす最後の役割とは…

“かつてセントラルパークだった場所”で見つかったハンディカメラと、そこに納められていた衝撃的な映像…。この針の穴のように極細な視点によって、NYで起こった未曾有の惨事を追体験する「擬似パニック・ドキュメンタリー」。圧倒的な情報不足の中で自由の女神、ブルックリン橋、セントラルパークが目の前で次々と破壊され、炎と粉塵の向こう側にチラリと見える“すべての元凶”には身が凍りながらも大爆笑!日本人の誰もが“あの映画”を思い浮かべるはずだ。また、さすが「LOST」のJ.J.エイブラムス製作だけのことはあり、極限状況でフル稼働する“カメラ”についての深い哲学性をも感じさせる。話題ばかりが先行しているが、これはかなりの力作かつ怪作だ。

●『クローバーフィールド』に関する井戸端会議はこちら

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クローバーフィールド/HAKAISHA
製作:J.J.エイブラムス
監督:マット・リーヴス
出演:リジ-・キャプラン、ジェシカ・ルーカス、T.J.ミラー、
マイケル・スタール・デイヴィッド、マイク・ヴォーゲル
(2007年/アメリカ)パラマウント ピクチャーズ ジャパン
4月5日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズ他全国ロードショー

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『うた魂♪』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『うた魂♪』です。

歌うこととは、人間にとって原初的なカタルシスなのだ。

青春ムービーは数多くあれど「合唱」をフィーチャーしたものは少ない。そのスキマ的なアイディアと和製コメディのユルさを、田中誠的な独特の空気感で融合させたのがこの映画。歌うことに臆病になった女子高生がバンカラ(死語)な男子校合唱部と出逢うことで再び情熱を取り戻していく。序盤、夏帆のホンワカぶりはかなり暴走気味だが、歌えて踊れて演技もできるゴリが豪快な笑いを放出し、最後はやっぱり“あの人”が決めてくれる。「人が真剣な時って、かなり顔が変」「でもそんなことに構ってられない!」という青春特有の突破口もテーマとして巧い。合唱部出身の僕としては合唱コンクールの特殊な雰囲気や舞台裏なども隠れた見どころかと。

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うた魂♪
監督:田中誠(『タナカヒロシのすべて』)
出演:夏帆、ゴリ、薬師丸ひろ子、石黒英雄、
徳永えり、亜希子、岩田さゆり
(2007年/日本)日活
4月5日よりシネクイント、シネ・リーブル池袋、新宿ジョイシネマほかにて全国ロードショー

『天然コケッコー』300文字レビューはこちら

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『MONGOL モンゴル』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『MONGOL モンゴル』です。

言語を超えて“気迫”がぶつかり合う越境プロジェクト

浅野忠信がチンギス・ハンを演じ、アカデミー外国語映画賞の候補にもなった歴史大作。父の暗殺、仲間の裏切りによって過酷な幼少期を強いられた主人公がやがて愛妻を得て徐々に勢力を拡大していく壮年期までを、角川春樹製作の『蒼き狼』とほぼ同じストーリーで描く。驚かされるのはその芸術性だ。俳優、クリエイターともに各国の精鋭が集結しただけあり、激しい戦闘を内側から捉えたカメラワーク、刻々と表情を変える大自然のビジュアルは見ごたえ充分。しかも登場人物は目元が朝青龍っぽい人ばかりで驚かされる。歴史モノの常で“省略の強引さ”を感じる部分もあるが、エンディングに流れるホーミー・メタルのような怒涛の勢いは確実に伝わってくる。

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MONGOL モンゴル
監督:セルゲイ・ボドロフ
出演:浅野忠信、スン・ホンレイ、クーラン・チュラン
(2007年/ドイツ=ロシア=カザフスタン=モンゴル)
ティ・ジョイ=東映
4月5日より全国ロードショー

角川春樹製作、反町隆史主演のこのスペクタクルには実にいろんな意味で衝撃を受けました・・・。

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『マイ・ブルーベリー・ナイツ』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『マイ・ブルーベリー・ナイツ』です。

ウォン・カーウァイがアメリカの大地で見つけたもの

アヴァンギャルドな作風で知られるカーウァイが、ちょっと照れ臭くなるほど甘~い映画をこしらえた。それは失恋から次の恋までの心の移動を“5603マイルの旅”として綴ったロードムービーだ。新たな挑戦は数多い。フランス&香港の合作ながら舞台はアメリカ。脚本はめずらしく前もって脱稿され、しかも英訳化。撮影はクリストファー・ドイルから一新し(*)、映像は揺れず、色も鮮明。いたるところに紫色のイメージが忍び込み、いつか主人公の帰るべき場所=ブルーベリー・パイを静かに照らし出す。そうそう、気になるノラ・ジョーンズは、日本人が字幕を通して鑑賞する分にはとてもナチュラル。もちろん他のキャストたちの巧みなリードがあってこそなのだけれど。(牛)

(*)今回の撮影監督は、デヴィッド・フィンチャー作品などで知られる国際派、ダリウス・コンジ。

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マイ・ブルーベリー・ナイツ
監督:ウォン・カーウァイ
出演:ノラ・ジョーンズ、ジュード・ロウ、デヴィッド・ストラザーン、
レイチェル・ワイズ、ナタリー・ポートマン
(2007年/フランス=香港)アスミック・エース
3月22日より日比谷スカラ座ほか東宝洋画系にて全国ロードショー

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『デッド・サイレンス』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。本日の執筆者は「ひまわり親方」さん、お題は『デッド・サイレンス』です。

B級ロードまっしぐらすぎて、なんか捨てがたい!

ハロウィンの風物詩『SAW ソウ』シリーズの生みの親(監督&脚本コンビ)が、何を血迷ったのかB級オカルト・ホラーを作っちまったぜ。「いっこく堂」の腹話術を見てキミョーな気持ちに襲われたことある人ならこの空気にバッチリはまっちゃうかも。なにせ腹話術人形が人を殺す、ってトンデモ映画なんだ。って、チャッキーかよっ!そこに田舎町の血塗られた歴史とか強引に絡んできて、ムチャな主人公がその謎に向かってむやみにダイブ。その巻き添えで町民もどんどん舌を抜かれて(!)死んでいく。ルールなんて完全無視!なんなのこの救いのなさは!でもマーク・ウォルバーグの実兄がおかしな刑事役を演じていて、そこだけは笑いました。(ひ)

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デッド・サイレンス
監督:ジェームズ・ワン
脚本:リー・ワネル
出演:ライアン・クワンテン、アンバー・ヴァレッタ、ドニー・ウォルバーグ、ボブ・ガントン
(2007年/アメリカ)東宝東和
3月22日より有楽町スバル座ほか春休みロードショー

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『ジェリーフィッシュ』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『ジェリーフィッシュ』です。

イスラエルから新しい感性の胎動が聞こえる

新しい才能に出逢いたければカンヌの新人監督賞(カメラドール)に注目するといい。昨年はイスラエルの新鋭コンビがこれを受賞。まるで『マグノリア』を小さくしたようなこの群像劇は、「ウェイトレスと不思議な少女」「ハネムーン中のカップル」「フィリピン人ヘルパーと言葉の通じない老婆」の物語が同時進行し、やがて誰もが“海”や“船”のイメージに導かれ、人生という名の大海へ漕ぎ出していく。ウェイトレスは語る。「私達はしょせん第二世代なのよ」。なるほど、タイトルの“くらげ”のように瑞々しく、変幻自在。それは彼らの尊い可能性なのだ。争いの時代を超えて、この国を新たな芸術性で包み込もうとする新世代の挑戦が唯一無二の透明感を残す。(牛)

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ジェリーフィッシュ
監督:エドガー・ケレット、シーラ・ゲフェン
出演:サラ・アドラー、ニコル・ライドマン、ゲラ・サンドラー
(2007年/イスラエル=フランス)シネカノン
3月15日(土)より渋谷シネ・アミューズほかにて全国順次公開

カンヌ映画祭カメラドール受賞作を並べてみました。審査員の好みが先走りすぎたり、表現された感性があまりに新しかったりで日本未公開になるパターンも多いんですが、2005年の受賞作『君とボクの虹色の世界』や2003年受賞の『恋に落ちる確率』などは『ジェリーフィッシュ』と近しいものがあるのではないでしょうか。そしてカンヌに愛された映画人、河瀬直美監督の歴史が1997年にカメラドール受賞の『萌の朱雀』からはじまったことは言うまでもありません。

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『ダージリン急行』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。たまには違う人の意見も聞きたいってことで、今回から友人の「ひまわり親方」さんが参戦してくれることになりました。その“張り手”のほどはいかに!?お題は『ダージリン急行』です。

マッチョな世界では生きにくい、このナイーブさ

体育会系のオイラにはこのナイーブさの美学が響いてこなかった。デザインとか細かいこだわりとか分かるけど、なんか人間がちっちゃい。もっとドカーン!と冒険できんかったのかな?それともオイラが鈍感すぎるのか…?列車の旅!しかもインド!という「関口知宏の中国鉄道大紀行」も真っ青なカルチャーショックに戸惑いつつ、最初はギクシャクしてた三人が少しずつ心を通い合わせていく流れに、ちょっとだけ心揺さぶられたり、やっぱ、どうでもよかったり。結局、好き嫌いなんだと思います、ウェス・アンダーソンって。いまのゴツゴツした世界情勢だとどうも存在感に欠ける気がするんだけど、でも、だからこその逃避先「インド」だったのかもね。(ひ)

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ダージリン急行
監督:ウェス・アンダーソン
出演:オーウェン・ウィルソン、エイドリアン・ブロディ、ジェイソン・シュワルツマン、
アンジェリカ・ヒューストン、ビル・マーレイ
(2007年/アメリカ)20世紀フォックス映画
3月8日よりシャンテシネほか全国ロードショー

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『ダージリン急行』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『ダージリン急行』です。

列車に飛び乗らなければ映画は始まらない!

スカイブルーに黄色の文字。この配色を見ただけでハイタッチを決めたくなる。3兄弟が列車でインドを旅するウェス・アンダーソンの新作は、彼と仲良しのロマン・コッポラ&ジェイソン・シュワルツマンが実際にインドを旅しながら共同で執筆。前作の“潜水艦”から“鉄道”へと乗り換え、「人生」や「家族」といったお馴染みテーマをよりシンプルに描いた作品となっている。たとえケンカし、脱線しても、気がつけばまた仲なおり。それは世界のどこにでもある他愛もないストーリー。けれど、走り出した列車に3兄弟がスローモーションで飛び乗ってくシーンにはどうしようもなく泣けた。だってそこには旅の高揚のすべてが詰まっていたから。人生の意味が集約されていたから。(牛)

(*)ロマン・コッポラは、フランシス・フォード・コッポラの長男。ウェス・アンダーソンの出世作『天才マックスの世界』に主演したジェイソン・シュワルツマンは、ロマンの従兄弟。ちなみに、ニコラス・ケイジも彼らと従兄弟どうしです。

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ダージリン急行
監督:ウェス・アンダーソン
出演:オーウェン・ウィルソン、エイドリアン・ブロディ、ジェイソン・シュワルツマン、
アンジェリカ・ヒューストン、ビル・マーレイ
(2007年/アメリカ)20世紀フォックス映画
3月8日よりシャンテシネほか全国ロードショー

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『地上5センチの恋心』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『地上5センチの恋心』です。

作家と読者はファンタジックな糸で繋がっている

愛、情熱、勇気、葛藤などなど、作家とは読者に最大級の感動をもたらすもの。でもその立場をひとたび逆転させてみると…。これは挫折した人気作家がひとりの主婦から貰ったファンレターに心救われ、直接「ありがとう」と伝えたくて彼女のもとへ訪ねていくファンタジック・コメディだ。作家ではなく、あえて平凡な主婦を主人公に、その胸の内を具現化してみせる手法が面白い。というのも、彼女はジョセフィン・ベイカーの曲を聴くとミュージカルさながらに踊りだすし、愛読書に触れると路上の真ん中でフワフワと浮遊してしまうのだ。それは年齢を問わずして湧き上がる“恋心”に似た感情。ある意味“セガール気分”でもあるような気がして、個人的には大ヒットです。

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地上5センチの恋心
監督:エリック=エマニュエル・シュミット
出演:カトリーヌ・フロ、アルベール・デュポンテル
(2006年/フランス=ベルギー)クレストインターナショナル、ヘキサゴン・ピクチャーズ
3月1日(土)より、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー

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『エディット・ピアフ 愛の讃歌』

アカデミー賞 主演女優賞、メーキャップ賞、獲得!

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『エディット・ピアフ 愛の讃歌』です。

演じることの、そのさらに向こう側

ひとえに伝記映画といえば冗長になりがちなもの。でも本作はまるっきり違う。フランスが誇る歌姫エディット・ピアフの愛と情熱に満ちた生涯を、死の際に輝く走馬灯のようにスピーディーに織り成していく。すべては時系列ではなく、イマジネーション優先。エピソードは交錯し、登場人物もどんどん入れ替わる。でも不思議なことに混乱は生じない。それは主演女優マリオン・コティヤールのエネルギッシュな存在感がすべてを超越して僕らの感性に直接うったえかけてくるから。特殊メイクの恩恵はあっても、少女時代から最晩年(47歳)までを全身全霊で演じきる身体能力には舌を巻くばかりだ。演じる?いや、これはもう“憑いてる”とさえ言える境地なのではないか。

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エディット・ピアフ 愛の讃歌
監督:オリヴィエ・ダアン
出演:マリオン・コティヤール、シルヴィー・テステュー、パスカル・グレゴリー、
エマニュエル・セニエ、ジャン=ポール・ルーヴ
(2007年/フランス=チェコ=イギリス)ムービーアイ

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『ライラの冒険 黄金の羅針盤』

アカデミー賞 視覚効果賞、獲得!

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『ライラの冒険 黄金の羅針盤』です。

まだまだ“序章”でしかないけれど

モラトリアム中年とファンシー少年の交流を描いた『アバウト・ア・ボーイ』をご存知だろうか?この傑作を世に出したワイツ兄弟の片割れ(弟)が、大人気ファンタジーを担いで戻ってきた。舞台は地球に似たパラレル・ワールド。その存亡の鍵となる謎をめぐって、ひとりの少女が冒険の旅に出る。注目なのは監督自身『スターウォーズ』と『バリー・リンドン』を参考にしたと語る壮大なビジュアルだ。中でもクラシックな実景に精緻なCGを織り込んだ全く新しいファンタジー色に観客の胸は高鳴りっぱなし。またすべての人間に守護動物が寄り添うという独特な世界観にも深読みの楽しさが尽きない。序章としてはなかなかの滑り出し。真価は第2弾で決まると見た。

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ライラの冒険 黄金の羅針盤
監督:クリス・ワイツ
出演:二コール・キッドマン、サム・エリオット、エヴァ・グリーン、
ダコタ・ブルーリチャーズ、ダニエル・クレイグ
(2007年/アメリカ)ギャガ・コミュニケーション×松竹
3月1日、全国拡大ロードショー

「ライラの冒険」シリーズは、「黄金の羅針盤」に続いて「神秘の探検」、「琥珀の望遠鏡」と3部作となっています。実際に会って話を訊いたクリス・ワイツ監督によると、映画版の続編製作はあくまで一作目のヒットいかんにかかっているらしく、彼の表情にも緊張の色が伺えました。ちなみに、彼の兄であり『アバウト・ア・ボーイ』の共同監督でもあるポール・ワイツはただいま大ヒット・ファンタジー「ダレン・シャン」シリーズの映画化を進めている模様です。

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『いつか眠りにつく前に』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『いつか眠りにつく前に』です。

人生の最後の灯火に焦点をあてた傑作。

老婆に死が迫っている。家族に見守られる中、彼女の意識はゆっくり混濁し、ふと記憶をよぎるのは、あの若かりし日の思い出…。さすが『めぐりあう時間たち』のスタッフ&キャストが再集結しただけあり、同時進行する過去と現在の語り口は見事というほかなく、ベッドに横たわるレッドグレイヴがいつしか記憶の中でデインズとなって“動”を体現する転換ぶりには激しく胸が締め付けられる。そして誰しもに訪れる自問自答の時間。「あの決断は正しかったか?」「悔やんだりしていないか?」それら身を切るような問いかけに、本作はささやかなワンシーンでもってすべての人生を優しく肯定する。この映画に会えてよかったと自信を持って言える傑作である。

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いつか眠りにつく前に
監督:ラホス・コルタイ
出演:クレア・デインズ、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、メリル・ストリープ、
グレン・クローズ、トニ・コレット
(2007年/アメリカ)ショウゲート
2月23日より日比谷みゆき座ほか全国ロードショー

映画『いつか眠りにつく前に』は、『めぐりあう時間たち』の原作者、マイケル・カニンガムが原作小説に心奪われ、映像化のために製作総指揮と脚本執筆を買って出たことから始動した作品です。時空を超えた物語の連なりの巧さにカニンガムの特色を再確認しました。

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『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』

アカデミー賞 主演男優賞、撮影賞、獲得!

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』です。

野心と愛憎とオイルにまみれた、怒涛の2時間36分!

まさに大胆不敵。『マグノリア』で現代の最重要映画作家のひとりとなったPTA(*)が挑むのは、一人の石油採掘師の不気味なまでに破天荒な人生だ。黙々とカットを繋ぐ序盤では確かな優しさを垣間見せていたデイ=ルイスが、やがて石油に黒くまみれ、愛憎の表裏一体化した怪物のように変わっていく。忍び寄る父と子の確執、そして兄と弟の猜疑心。物語が暗黒色を強める中、時折フラリと現れる牧師役ポール・ダノには要注意だ。穏やかな表情の裏側にとんでもない狂信を秘め、観客を仰け反らせること間違いなし。人はアメリカン・ドリームの前でかくも豹変する生き物なのか。これは石油をめぐる現代風刺でもあり、またそれを超えた壮大な人間ドラマでもある。

(*)もちろんポール・トーマス・アンダーソンの略

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長文レビューはこちら

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:ダニエル・デイ=ルイス、ポール・ダノ、ケヴィン・J・オコーナー、
キアラン・ハインズ、ディロン・フレイジャー
(2007年/アメリカ)ウォルトディズニースタジオモーションピクチャーズジャパン
4月26日よりシャンテシネほか全国順次ロードショー

本作の原作であり、長らく絶版となっていたアプトン・シンクレアの「石油!」(1927年発刊)が復活!。『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』よりも更に長い大河ドラマを繰り広げています。なお、本作のサントラを手がけたのは、なんとレディオヘッドのギタリスト、ジョニー・グリーンウッド!不協和音と現代音楽をかき混ぜたような不気味な音色が圧倒的な映像世界を見事に盛り上げています。

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『ノーカントリー』

アカデミー賞 作品賞、監督賞、助演男優賞(ハビエル・バルデム)、脚色賞、獲得!

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『ノーカントリー』です。

この素晴らしき黙示録の世界で

80年代、テキサス。狩りの途中で無数の死体と大金を発見したモスは、衝動的に金を持ち去る。案の定、それを追って動き出す奇妙な殺し屋がひとり。彼の行く先で罪なき大勢が犠牲となり、また事件を追って老保安官までもが動き出すが…。コーエン兄弟の最新作は音楽や台詞をそぎ落とし、静寂の中でボシュッボシュッ(*)という音がこだまする。ヤツだ!ヤツが来た!このおかっぱ頭の殺し屋は、もはやハビエルにとって一世一代の当たり役。彼のもたらす緊張と弛緩が観客を極限まで翻弄する。モスは言う。「ヤツは悪の根源なのか?」いや違う、恐らく彼は悪でもあり、神でもある。そして、その得体の知れなさこそ、まさにこの映画。コーエン兄弟流の黙示録へようこそ。

(*)これがなんの音かは、口が裂けても言えません。

●より詳しい長文レビューはこちら

●『ノーカントリー』についての井戸端会議はこちら

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ノーカントリー
監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
出演:トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン、
ウディ・ハレルソン、ケリー・マクドナルド
(2007年/アメリカ)パラマウント/ショウゲート
3月15日(土)シャンテシネほか全国ロードショー

『ノーカントリー』の原作は、コーマック・マッカーシー(「すべての美しい馬」など)による「血と暴力の国」です。お馴染み“このミステリーがすごい”最新版では12位にランキングしたこの奇妙な物語も、ひとたびコーエン兄弟の手にかかると久々に『ファーゴ』をも思わせる暴力と、可笑しさと、そして哀しいほどに人間味あふれる傑作に仕上がっています。

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『ジャンパー JUMPER』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『ジャンパー』です。

今回は簡単なイントロ篇ってことで

自分が“ジャンパー”であると知った若者、デヴィッド。彼が頭に景色を想い浮かべると瞬時にそこへひとっとび。そんな能力者を追って謎の組織“パラディン”が忍び寄る。それは両陣営をめぐる壮絶なバトルの幕開けだった…。次々と革新的な映像を生み出すダグ・リーマン監督が、今回は秒刻みで時空を飛び交う驚愕アクションに挑戦。ヘイデンがロンドン→エジプト→ローマ→東京を自在に駆け巡れば、対するサミュエル先生は問答無用の追跡ぶりで観るものを圧倒する。また『リトル・ダンサー』のジェイミー君が“先輩ジャンパー”としてなかなかの好演ぶり。多くの謎やバトルを残してあっという間に本編は終わるが、このスナック感覚の小気味よさはちょっとだけ癖になりそう。

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ジャンパー JUMPER
監督:ダグ・リーマン
出演:ヘイデン・クリステンセン、ジェイミー・ベル、レイチェル・ビルソン、
ダイアン・レイン、サミュエル・L・ジャクソン
(2008年/アメリカ)20世紀フォックス映画
3月7日(土)より日劇1ほか全国ロードショー