2015/11/08

PAN ネバーランド、夢のはじまり

海外での評判の芳しくない『PAN』なんですが、そう言われとなんだか擁護したい気持ちがムクムクと起き上がってきてしまったので、あえて地雷を踏む想いで(うまく踏めているかも分かりませんが)、ジョー・ライト監督の映画作りのスタイルと絡めて書いてみました。1万人に1人くらい、気まぐれに読んでくれると嬉しいなと思っています。

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『PAN ネバーランド、夢のはじまり』に見る、ジョー・ライト監督の映画作りのルーツ/リアルサウンド

『PAN』について書くのは媒体的にこれで2度目なのですが、やっぱり僕は『プライドと偏見』や『つぐない』などのジョー・ライト監督が大好きで、成功もすれば失敗も多い、けれどその作品の中に何かひとつくらいは観客の心に生涯忘れ得ぬなにかを刻み付けようとする彼の創作姿勢に、これからもずっと魅了され続けていくのだろうなと思っています。

『PAN』は1億5千万ドルの製作費で、現時点で全米では興収3千万ドルほど、世界興収でも1億ドルほどしか回収できてないらしく、まあ、ジョー・ライトにとっても手痛い一作となりましたが、負けずに頑張ってほしいなあ。彼のキャリア全体を俯瞰した時に必ず再評価される日がやって来ると思う。興味がある方はぜひいつか「ああ、あの時、あいつがなんか言ってたな」と思いながら観てみてくださいね。これからもジョーのこと、ひとつよろしくお願いします(誰だ、俺は)。

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2015/10/28

PAN ネバーランド、夢のはじまり

映画.comにて『PAN ネバーランド、夢のはじまり』のレビューを執筆しております。

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誰もが知る児童文学のヒーロー。その前日譚を描いた奇想天外ファンタジー/映画.com

『プライドと偏見』『つぐない』などの名作を世に送り出し高い評価を受ける英国映画の旗手ジョー・ライトが、キャリア最高となる1億5千万ドルの製作費をかけて創り上げた壮大なるファンタジー。ライトならではの語り口と、中盤から登場する”黒ひげ”役のヒュー・ジャックマンの悪漢ぶりに魅せられた作品でした。

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2012/06/21

【予告編】ジョー・ライト監督作「アンナ・カレーニナ」

『プライドと偏見』や『つぐない』のジョー・ライト監督による最新作『アンナ・カレーニナ』の予告編とポスター画像が公開された。

本作はロシアの文豪レフ・トルストイによる19世紀ロシアを舞台にした文芸大作をイギリスが誇る名戯曲家トム・ストッパード(『恋に落ちたシェイクスピア』『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』)の手により脚色。キーラ・ナイトレーがタイトルロールを演じるほか、ジュード・ロウ、アーロン・ジョンソン、ケリー・マクドナルド、マシュー・マクファディン、エミリー・ワトソン、オリヴィア・ウィリアムズなどなどが揃い踏みする。果たして俊英ジョー・ライトはどのような映像スタイルでこの大河ロマンに挑むのか。今回は特に『路上のソリスト』、『ハンナ』と2本の現代作が続いた後の、ライトにとって久々の文芸回帰となるだけに余計に期待が募る。劇場封切は11月9日。

Annakarenina

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2011/09/09

【NEWS】ジョー・ライト最新作、今月撮影開始

プライドと偏見』『つぐない』のジョー・ライト監督による新作『アンナ・カレーニナ』の撮影が今月末にもイギリス&ロシアにて開始される。

Joe 脚本を手掛けるのは『恋に落ちたシェイクスピア』や『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』などで知られる大物劇作家トム・ストッパード。出演はキーラ・ナイトレイ、ジュード・ロウ、アーロン・ジョンソン、ケリー・マクドナルド、マシュー・マクファディン、エミリー・ワトソン。2012年秋~冬頃の米公開を予定している。

文豪トルストイによる原作は、19世紀末のロシアを舞台に夫のある身でありながらひとりの将校ヴロンスキーと惹かれあい、愛を重ねるようになるアンナと、その周囲のたどる波乱に富んだ人生を描いた物語。

アンナ役にはキーラ・ナイトレイ、夫アレクセイにはジュード・ロウ、そして将校ヴロンスキー役にはアーロン・ジョンソンが決定している。とまあ、これらの情報はすでにこれらのキャスト情報は以前より報じられていたものばかり。逆に以前より報じられながら今は無くなっている名前もある。それが『つぐない』『ハンナ』で主演したシアーシャ・ローナンだ。彼女は本作の重要人物“キティ”役を演じるものみられていたが、今回のスタジオによる公式発表には含まれていない。

かといって出演者リストに彼女に代わる若手の俳優が含まれていないことから、今なお出演交渉中か、スケジュール調整のさなか、あるいは役自体がなくなった―なんてことも考えられる。

ともあれ、『ハンナ』でアクションに挑戦したジョー・ライトが、最も手堅い評価を獲得した文芸ロマンの領域に帰ってくる。アンナ&ヴロンスキーが国外を旅し再び故郷へ舞い戻ったかのような面持ちで紡ぐその想像世界はいかなる新境地を見せてくれるだろうか。

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2011/08/27

【レビュー】ハンナ

あのジョー・ライト監督がアクションに初挑戦する。『プライドと偏見』や『つぐない』など文芸ロマンの映像化で卓越した手腕を発揮しアメリカ進出した『路上のソリスト』では音楽を媒介として心の中に映り込む音色を映像化するという荒業さえ披露した彼。かくも少しずつ枠組みを広げつつある彼が、『つぐない』のシアーシャ・ローナンをふたたび主演に迎えて放つ今作『ハンナ』は、以前より言われていた“ボーン”シリーズのような激しいアクションというよりは、ジョー・ライトにしか生み出しえないアクション、もっといえば音楽アクション・ファンタジーとさえ言わせてもらいたい異色作だ。ごく一般的な王道アクションの免疫しかない観客にとってはかなりの肩すかしを食うことは確実ながら、ずっと彼の作品を観察してきたファンたちにとっては少なからず「これからも見つめ続けていきたい」とする手ごたえを感じることだろう。到達者であるよりは開拓者、完成された器であるより未完の不気味さであることを讃えるべき映画なのかもしれない。

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驚くほどにこの映画のテーマは、『路上のソリスト』以上に“音楽”なのだった。

本作の音と映像の絡み合いを受けてまず心に蘇るのは、『つぐない』の冒頭でシアーシャ・ローナンが打ち続けるタイプライター音と劇判とが静かに融合して鼓動を刻むあの感覚だ。あの頃から、いやもっと昔から、ジョー・ライトは音楽に対してストーリー以上のこだわりを見せてきたのかもしれない。そして今回はタイプのカタカタ音をもっと激しくドライブさせたかのようなケミカルブラザーズのサウンドトラックが映画の通奏低音を成す。どちらかというと、こちらが先に完成し、それにジョー・ライトが映像を載せていったような印象さえも残る。

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雪と氷に閉ざされて暮らしてきたハンナ父娘が復讐のスイッチを押し(あれこそ音楽の再生ボタンだったのだ)どんどん文明社会へと踏み込んでいく過程で、スクリーンには一気に音と情報と動きとが流れ込んでくる。それは過酷な自然を生き抜いてきたヒロインがラビット・ホールに落ち込んで触れる未知なる世界の衝撃のようなもの。どんどん音が生まれていく。ケミカルの音楽はその言い知れぬ心象を代弁し、ときに彼女の心を奮い立たせて再び疾走へと駆り立てていく。そして行き着く先には悪い魔法使いのごときケイト・ブランシェットが仁王立ちして待ち構える。

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それはこれまで「音楽」というものを百科事典でしか知りえなかった少女が、ひとつのオリジナルな音符として起ち、他者と激しくぶつかり合うことによって様々な音色を奏でていく姿でもある。とりわけどんなアクションシーンにも増して、彼女が親切な老人によって提供された部屋でおっぱじめる“演奏”にはジョー・ライトらしさを感じる。走る、跳ぶ、話す、息をする。すべて音楽。こういうごくありふれた日常を視点を変えて“変換”してくれる描写があるからこそ彼の作品を見続けることがやめられないのだ。

そんなハンナがやがて巡り合う、おませな少女とやんちゃな弟は、まるで『つぐない』の幼い姉弟が姿を変えて蘇ったかのようだ。彼らのヒッピーな父母を演じるオリビア・ウィリアムズ&ジェイソン・フレミングらも、『ハンナ』のメロディを展開させる軽妙な要素を成している。彼らを追う殺し屋を『プライドと偏見』で最も味のある役回りを担ったトム・ホランダーが怪演しているのも見どころのひとつ。

また、長回しシーンも用意されているから油断できない。駅に降り立った父親(エリック・バナ)が多くの追手を地下駐車場に連れ込み一網打尽にするシーンは、まさにジョー・ライトの代名詞とも言うべき肺活量の大きさを印象付ける部分だろう。

かくも『ハンナ』はジョー・ライトの系譜で見たときにはじめて意味を成す。

次回作の彼は大御所トム・ストッパードの脚本をもとにキーラ・ナイトレイとシアーシャ、それにアーロン・ジョンソン、ジュード・ロウを迎えてトルストイの「アンナ・カレーニナ」を奏でる。彼の最も評価の高い文芸路線へと舞い戻るわけだが、それにあたって『路上のソリスト』と『ハンナ』は絶好のリフレッシュの機会であり、実験的な要素も多分に持ち合わせた場所となったのではないだろうか。

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2009/03/25

『路上のソリスト』

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長編デビュー以来、『プライドと偏見』『つぐない』と文芸作品の続いた英国の俊英、ジョー・ライト監督。彼の卓越した手腕は、それらの原作に漂うクラシック性を逆手にとり、目の覚めるような語り口で現代に生きる観客へと照射してくれる。

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2008/04/14

『つぐない』

長文がうんざりの方は300文字でサクッとチェック。

 イアン・マキューアンの原作はかなり分厚い小説なのだが、『プライドと偏見』をご覧になった方には既にお分かりと通り、ジョー・ライトという監督はまだ30代の若さながら、これらの小説における文体を見事な映像詩へと変換していく。ふと目にしたポスターなどからクラシックなイメージを思い浮かべる方も多いだろうが、それはちょっと違う。文芸=クラシックという思い込みの向こう側にジョー・ライトの秀でた才能は華々しく開花し、息を呑むほどの芸術性と“フィクション”を俯瞰する大仕掛けは観客の心を深遠な領域にまでいざなってやまない。

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2008/04/10

『つぐない』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『つぐない』です。

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2006/02/25

『プライドと偏見』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『プライドと偏見』です。

この古典ラブストーリーは、男性が観てもドキドキする。

かつて英国女性たちが熱狂し、幾度もドラマ化されてきたジェーン・オースティンの恋愛小説「高慢と偏見」を新鋭ジョー・ライトが映画化。18世紀末のイギリスを舞台に、プライドと偏見とに邪魔され口論の絶えないお年頃の男女が、互いを想い合う素直な気持ちに気づいていく。当時の時代性を丁寧に描きながらも、さすが製作会社が『ラブ・アクチュアリー』や『ブリジット・ジョーンズ』のワーキング・タイトル社なだけあり、若い観客への訴求力も万全。なによりジョー・ライトのカメラワークが極上の躍動感を醸成し、そこに息づくすべてのキャラを生き生きと蘇らせている。05年度アカデミー賞では主演女優賞など4部門ノミネートを果たした。

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プライドと偏見
監督:ジョー・ライト
出演:キーラ・ナイトレイ、マシュー・マクファディン、ドナルド・サザーランド、
ブレンダ・ブレッシン、ジュディ・デンチ、ロザムンド・パイク
(2005年/イギリス)パラマウント

<ジョー・ライト作品>
『つぐない』レビュー
『路上のソリスト』レビュー

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