2020/08/14

クライ・ベイビー

CINEMOREにてジョニー・デップ初主演作『クライ・ベイビー』について書かせていただきました。

ジョニー・デップ主演作『クライ・ベイビー』が描く先入観や固定観念の向こう側/CINEMORE

アイドル路線から脱却したかったジョニー・デップと、カルトの帝王と呼ばれたジョン・ウォーターズ。二人の不可思議なケミストリーが楽しめる一作です。同じ公開年の『シザーハンズ』とともに、ジョニー・デップの将来性を決定づけた作品とも言い得るのではないでしょうか。

そういえば、面白いことに『クライ・ベイビー』も『シザーハンズ』も、ジョニー・デップの他にトム・クルーズ、ロバート・ダウニーJr.、ジム・キャリーが主演候補に挙がっていたのだとか。同世代のこの4人はこれらの作品の他にも何かと競い合いながらキャリアを重ねてきたのかもしれませんね。

 

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2020/08/02

『コントロール・オブ・バイオレンス』

映画配信サービス「シネマディスカバリーズ」にて、石原貴洋監督作『コントロール・オブ・バイオレンス』のレビューを書かせていただいております。いやあ、この映画は面白かった。タイトル通り「バイオレンス」が一つのテーマではあるものの、何よりも登場人物の誰もが魅力的で、商店街のおばちゃんや町内会、ヤクザ、関東からの流れ者集団(渋川清彦の、決して”腕っぷし”ではない悪漢ぶりが最高)、さらに餃子屋のおっちゃんたちから、謎の殺し屋”能面”の存在に至るまで、相関図がどんどん広がって、それを自分の頭の中で組み立てていく感じがたまらない。映像のパワフルさ、じわり沁み込む人情模様、地元への底知れぬ愛情、スタッフ同士の絆がひしひしと伝わってきて、一瞬一瞬、どのように展開していくのかワクワクさせられました。

Cinemadiscoveries_logo_20200714004901

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2020/07/28

短評『エレファント・マン』

短評に『エレファント・マン』を追加。1980年製作のデヴィッド・リンチによる名作が、40年の歳月を経て4K修復版となってリバイバル公開。その昔、画質の悪いビデオテープで観た思い出が嘘みたいに、今回は吸い込まれそうなほどの映像の美しさに見入ってしまいました。ジョン・ハートとアンソニー・ホプキンス、どちらも決してステレオタイプ的な描かれ方ではなく、真正面から心を見つめることで互いに響きあいながら変わっていく。そして両キャラクターが常に「どうあるべきか」について深く探求し続ける姿がとても印象的で、揺るぎない本作の芯となりえています。『シザー・ハンズ』などを始めとするティム・バートン作品とも相通じるエッセンスがあり、今の時代だからこそ改めて発見できる部分も多いように感じました。

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2020/07/03

短評『アングスト/不安』

短評に、1983年の映画ながらこのたび日本で初劇場公開を迎える『アングスト/不安』を追加しました。
公開当時、本国オーストリアではあまりに衝撃的な内容として1週間で打ち切りとなったそうです。これに大打撃を受けたのが自ら出資もしていた本作の監督。さすがにこれに懲りたのか、その後は一本も監督していないそうです。ではこの『アングスト』は駄作なのか。いえいえ、これがとんでもない奇妙な映画で、シリアルキラーのお話しながら、どこかグッと惹きつけられてしまうところがある。私の場合、その大部分はカメラワークからくるものでしたが、なんとも言いようのない吸引力があるんですよね。

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2020/06/06

ピンク・フラミンゴ

身の回りの衛生管理をしっかりやらなきゃならない時期に、ついにこの映画を見てしまったことを告白いたします。人生初です。それで、案の定、想像を超えたとんでもない映画でしたので、これは書き留めておかなければとこちらの記事を執筆しました。どえらいお下劣映画ですが、勇気のある方のみお読みいただけると幸いでございます。

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2020/02/14

1917 命をかけた伝令

サム・メンデスが長回し撮影を駆使して第一次大戦の混沌たる戦場を描いた『1917』が公開を迎える。

個人的に、戦争映画というと『プライベート・ライアン』の冒頭場面が思い出されてやや臆病になってしまう私なのだが、今作は戦争の非情さは表現されても残虐描写が強調されることはなく、レーティングも「G」。むしろ、舞台演出家でもあるメンデスらしい独特の空間設計、時間設計が印象を刻む重厚作に仕上がっている。とりわけ、兵士が塹壕から戦場へ飛び出し周囲を見渡す時の、あらゆる生命が根こそぎ奪われた後の「からっぽ」感には言葉にならないほどの思いが迸った。これらは先人たちが築いた戦争映画で感じたことのないものだ。

そこに執念とでも呼びたくなるような「長回し撮影」が加わる。もちろん、長回しは目の前で何が起こるかわからない極限の緊張感と臨場感をもたらすもの。本作におけるこの手法をもう一歩進めて解釈すると「カメラが回り続けていること=兵士が生きていること」とも捉えうる。一つのミスもゆるされない途切れなき映像が、髪の毛一本分の境目で隔てられた生死とも重なり合い、そこに並々ならぬ状況と意味が生まれているのである。

こうして我々はまるで伝令を受けた兵士の一回生(一度きりの命)を体験するかのように一緒にほぼリアルタイムの旅を続け、いつの間にか、彼が戦場で感じたこと、触れた思いさえも同じ目線で共有するようになっている。まさに運命共同体である。

この映画に感銘を受けるのはそれだけではない。長回しでとらえる映像を決して単調なものには終わらせず、最初にひたすら塹壕を歩き回るあたりが序曲ならば、そこから飛び出して展開部を迎え、息をのむほどの迫真の戦場アクションや驚きに満ちた試練を乗り越え、その全てを集約するかのような壮大なフィナーレへとなだれ込んでいく。そんな徹頭徹尾、音楽的とも称したくなるほどのうねりの構造がしっかりと練られているのだ。

この光景が実際に広がっていた時代から100年が過ぎ、第一次大戦もすっかり過去の昔話として扱われがちだ。が、モノクロの記録映像に音声と色を施したドキュメンタリー映画『彼らは生きていた』と同様、これは当時の状況や兵士たちの感覚をヴィヴィッドに蘇らせることで歴史や記憶をつなごうとする、一つの試みでもあると思う。先日のアカデミー賞では有力作と言われながら惜しくも作品賞を逃したが、作り手たちの思いを結集させ、表現技術の限界にまで迫った傑作であることに微塵も変わりはない。

 

 

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2020/02/06

ENGLISH JOURNAL

アルクから出版されている「ENGLISH JOURNAL」最新号にて、映画『アイリッシュマン』に関する記事を執筆してます(巻頭および中ほど、計2箇所)。全国の本屋さんで発売中ですので、主演のロバート・デ・ニーロが朗らかに笑っている表紙を見かけたら、ぜひ手にとっていただけると嬉しいです。

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気がつけばアカデミー賞授賞式まであとわずか。『アイリッシュマン』も作品賞をはじめ複数の部門にノミネートされており、レジェンドともいうべきこの面々が映画界の大きな山をどこまで征服できるのか見ものです。

この雑誌にも、デ・ニーロ、スコセッシ、パチーノのインタビューが収録されているのですが、これがめっぽう読み応え、聞き応えありました。70代後半の彼らがどんな雰囲気で映画作りを行っているのか。現役の映画俳優で「セリフ?覚えてないよ」(パチーノ)とあれほど自信持って言える人がどれだけ存在するのだろうかーーーそれでもなお、見事なまでに演技を成立させてしまうんです。そこがすごいところ。これを読んだ上でもう一度『アイリッシュマン』を見ると、また違った面白さが味わえると思います。

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2019/12/31

レイジング・ブル

更新が滞ってしまい失礼いたしました。
相変わらずCINEMOREの記事をマイペースで執筆させていただいております。
名作や旧作について取り上げている場合が多いですが、
もしリンクの中で気になる作品がありましたら、
ぜひチェックしてみていただけると嬉しいです。

中でもこのお正月休み中に『アイリッシュマン』をご覧の方におすすめなのが、
デ・ニーロとスコセッシ、そしてジョー・ペシが初めてコラボした作品、
『レイジング・ブル』です。一作目にして3人の息がぴったり。今見ても
実に生々しく、ダイナミックで、いつしかある種の悲哀すら漂ってくる傑作です。

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2019/11/26

アイリッシュマン

NETFLIXにて配信される『アイリッシュマン』について映画.comでレビューを執筆させていただきました。

『沈黙-サイレンス-』のマーティン・スコセッシが放つ3時間半に及ぶ超大作。しかも今回は『タクシードライバー』や『レイジングブル』などでも組んだロバート・デ・ニーロ、それにこちらもスコセッシ組常連のジョー・ペシ、さらには大御所アル・パチーノが揃い踏みです。出演者としてきちんと頭の中に入れて臨みながらも、いざ3者がスクリーンに映し出されていると(私は劇場上映版で観たのですが)何度も「マジか・・・」という気分になりました。マジです。本当にそんな時代がやってきたのです。この重厚な語り口は他では真似できない。本当に脳天ぶち抜かれるような映画体験でした。気になった方は是非レビューをご覧いただければ幸いです。

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2019/11/07

ギャスパー・ノエ最新作『CLIMAX』

ギャスパー・ノエ、それは我々の世代にとってかなり衝撃的な名前だ。フランスの鬼才にしてタブーを犯すことを恐れない魔人。かつてシネマライズで観た『カノン』は、上映中に画面が点滅して「警告。今から衝撃的な場面あり。五秒以内に立ち去るべし」みたいな文言が大写しにされたりもしたものだった。

そんなノエの最新作の『クライマックス』は驚きと楽しさと衝撃が相まった、逸品だった。R-18+なので、あらゆる人にお勧めできるわけではないし、毛嫌いする人も多いかと思う。だが、序盤からエンドロールが流れ始めるという意表をつく展開を抜け、雪に閉ざされた体育館でのダンスが始まると、そこはもうハイテンションの渦。長回しで撮られていく生々しいパフォーマンスの交錯がとにかく素晴らしい。

ワン・アイディアを反射神経で95分の映画へと昇華させたような身軽さがまた秀逸なのだけれど、おそらく参加したキャストたちは本作がどんな仕上がりになるのか想像もできなかったのではないか。案の定、そこには過去のノエ作品のエッセンスを全て詰め込んだような楽しき地獄絵図が待っていた。うーん、こんな映画を作ってしまうなんて、やっぱりノエは唯一無二で底知れぬ才能に満ちた怪人だ。

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