2020/10/21

ブレッソンの『抵抗』

ロベール・ブレッソンの『抵抗』という作品を初めて観た。この贅肉をそぎ落として、極限までストイックに状景描写していくスタイルは衝撃的だ。静謐で淡々としたテンションを維持しながら、それでいて着実に何かが積み上がっていく興奮がある。時折、聞こえてる汽笛の音や、見回りのドイツ軍兵士の足音などが、映画という平面的な情報の中で「近づいたり、遠ざかったりするもの」として非常に重要な感覚要素となって、後からじわじわ効いてくる。あと、壁の向こう側から聞こえるトントンという合図の音や、この極度に制限された映像空間の中で「あえて見せないもの」も特殊な緊張感をもたらしたり、「そうきたか!」と魂をシビれさせてやまない。思えば、主人公がずっと血の付いたシャツを着続けていることも、時間の経過とともに何かズーンと重いものとなって、のしかかってくる。まるで種まきと、成長と、収穫を見ているかのよう。しまったな、鑑賞しながらメモを取っておけばよかった。もう遅い。レンタル返却の時間だ。

 

 

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2020/08/27

『未来世紀ブラジル』

言わずと知れた80年代が生んだ奇想天外なSFファンタジー『未来世紀ブラジル』。この映画について私が長年抱えていた疑問が二つありました。一つは「なぜ、ブラジルなのか?」。そしてもう一つは「どうしてデ・ニーロが出てるの?」。このたび、執筆の機会を頂きましたので、幾つかの書籍をあたりながら探ってみました。

『未来世紀ブラジル』誕生のきっかけとなったギリアムの突発的インスピレーションと名曲の調べ/CINEMORE

 

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2020/07/28

短評『リトル・ジョー』

短評に『リトル・ジョー』を追加。カンヌで女優賞を受賞したこともあって、何かと公開が待ち遠しかった本作。監督がオーストリア出身だからなのか、色彩感覚、間合い、心理劇の緻密な構築、音楽のチョイスなど、様々な様式が一風変わっているのも見どころです。前作『ルルドの泉で』はフランス、そして今回はイギリスが舞台と、自らの独創性のエッセンスを多用な土壌と掛け合わせながら、その国に生まれ育った者には持ち得ない視点で、稀少性の高い映画を作り出しているという印象。この映画の中で研究員が唯一無二の植物を創り出そうとする姿と瓜二つのように思えました。

その他、『グランド・ジャーニー』『横須賀綺譚』『のぼる小寺さん』『LETO レト』『グレース・オブ・ゴッド』なども。

 

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短評『エレファント・マン』

短評に『エレファント・マン』を追加。1980年製作のデヴィッド・リンチによる名作が、40年の歳月を経て4K修復版となってリバイバル公開。その昔、画質の悪いビデオテープで観た思い出が嘘みたいに、今回は吸い込まれそうなほどの映像の美しさに見入ってしまいました。ジョン・ハートとアンソニー・ホプキンス、どちらも決してステレオタイプ的な描かれ方ではなく、真正面から心を見つめることで互いに響きあいながら変わっていく。そして両キャラクターが常に「どうあるべきか」について深く探求し続ける姿がとても印象的で、揺るぎない本作の芯となりえています。『シザー・ハンズ』などを始めとするティム・バートン作品とも相通じるエッセンスがあり、今の時代だからこそ改めて発見できる部分も多いように感じました。

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2020/07/23

市川準監督作『トニー滝谷』

CINEMOREにて市川準監督の名作『トニー滝谷』について書かせていただきました。

市川準監督の名作『トニー滝谷』はいかにしてあの特殊な空気感を表現したのか?/CINEMORE

公開から15年が経ち、今まさにコロナ禍において変わりゆく人と人との繋がり合いやコミュニケーションについて想いを馳せる時、この作品が「村上文学の映画化」である以上に、「市川準監督作」としてより深く胸に迫ってくるのを実感しました。

 

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2020/07/16

短評『おばけ』

短評に『おばけ』を追加しました。ぴあフィルム・フェスティバルでグランプリを受賞した傑作。ああ、こんな映画と出会えた・・・という喜びが胸いっぱいに広がります。人生のどこかで、機会あらば是非触れていただきたい一作。

ちなみに2020年2月に行われた上映会で鑑賞した際の感想はこちら

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2020/07/01

真利子哲也監督インタビュー

定額制の映画配信サイト「シネマディスカバリーズ」にて真利子哲也監督のインタビュー記事が公開されました。Vol.1からVol.3まで実に1万字を超えるボリュームになっていますが、Vol.1は今のところ会員登録などせずにどなたでもご覧いただけるようです。

私が監督のことを知ったのは真利子さんの藝大大学院の修了作『イエローキッド』が劇場公開される頃のこと。すごい才能がいると耳にしてマスコミ試写で拝見し、その面白さと激しさにぶったまげたのを今も生々しく覚えています。試写会が終わって監督らしき方がいらっしゃるのを見て一瞬勇気を振り絞って声をおかけしてみようかと思いましたが、引っ込み思案な性格が発動してしまい、足を踏み出すことができませんでした。あれから11年。まさかこのような形でお目にかかることが叶うとは。1時間半もの間、実に刺激的で興味深いお話の数々をお聞きすることができて、本当に光栄でした。心より感謝しております。

ただいま「シネマディスカバリーズ」では真利子哲也監督のレアな作品5本を配信中です。ヒリヒリするほどの魂のぶつかり合いが刻まれた長編作『ディストラクション・ベイビーズ』や『宮本から君へ』などに比べると、これらの配信作5本は全くタイプが異なるように思えるのですが、しかし紛れもなく同じ監督の手によってこの世界に生み落とされた作品たち。一本一本がとにかく面白いんです。とくに個人的にはセルフドキュメンタリー作『車のない生活』と『アブコヤワ』の突き抜けた語り口に度肝を抜かれました。加えて、監督ご本人による作品コメントやインタビュー内での言葉を通じて、より様々な視点から真利子哲也ワールドをご堪能頂けるのではないかと思います。是非この機会にご覧ください!

 

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2020/06/17

短編映画特集に寄稿しました

定額制動画配信サービス「シネマディスカバリーズ」の「短編映画特集」に寄せて、コラムとレビューを書かせていただきました!

今回配信されているのは『遠い光』『帰ろうYO!』『漂流ポスト』『海へ行くつもりじゃなかった』『落書き色町』。ジャンルや質感が全く異なる作品ながらそれぞれに魂を貫く瞬間があって、5つの作品というより、まさに5つの世界を旅して帰ってきた気持ち。本当に素晴らしかった。

「拙文をご覧ください!」と書きたいところですが、なんだか最近その気持ちが薄れてきました。むしろ、主役は間違いなく「本編」ですので、まずは思い切ってこれらの世界へ飛び込んでいただきたい。そして「この監督はすごい!」「私の感性と通じるものがある」と思える才能と出会えたなら、ぜひ名前を覚えてこれからも注目し応援し続けていってほしいです。そういった思いが結集することで、逸材はこれからもっともっと活躍の場を広げ、さらなる素晴らしい作品を私たちの元へ届けて続けてくれるはず。そんな作り手と観客との素敵な出会いがたくさん生まれることを祈っています。

Cinemadiscoveries_logo

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2020/05/04

オススメ映画5選

先日、SNS上で何人かの親友たちからバトンを受け取りました。お声掛けに心より感謝しつつも、案の定、あらかじめ指定された内容とは全くかけ離れたアウトプットの形となってしまいましたことを、前もってご報告しておきます、どうかお許しくださいませ。

・・・というわけで、誰からもリクエストされていない「オススメ映画5選」を勝手にお届けします。もしも未見の作品がありましたら、この機会におひとつ、いかがでしょうか?

 

 

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2020/04/23

フィフス・エレメント

『フィフス・エレメント』の公開は97年なので、私が大学1、2年くらいの時の作品ということになります。そのせいか、このタイトルを耳にすると、なんだか当時の新宿東口付近の様子が濃厚なまでに思い出されるんですよね。。。やはり「映画そのもの」と「それを見た場所」というものは、一つのセットで記憶に刻まれているものなんですね。


そんなわけでCINEMOREにてリュック・ベッソン監督作『フィフス・エレメント』について書かせてもらいました。
傑作『レオン』の後、リュック・ベッソンが果たしてどの方向へ向かうのか固唾を飲んで見守っていたら、誕生した映画が殊のほか、真逆の方向性を持ったユニークなものだったので、一緒に見た同級生たちとの間で「ようわからんが、面白い」という合意に達したのを覚えています。


映画の舞台は2263年。どうやら面白おかしい壮大な未来が待ち構えているようなので、2020年あたりでくじけてなどいられないなと思いました。

 

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