2020/07/03

短評『アングスト/不安』

短評に、1983年の映画ながらこのたび日本で初劇場公開を迎える『アングスト/不安』を追加しました。
公開当時、本国オーストリアではあまりに衝撃的な内容として1週間で打ち切りとなったそうです。これに大打撃を受けたのが自ら出資もしていた本作の監督。さすがにこれに懲りたのか、その後は一本も監督していないそうです。ではこの『アングスト』は駄作なのか。いえいえ、これがとんでもない奇妙な映画で、シリアルキラーのお話しながら、どこかグッと惹きつけられてしまうところがある。私の場合、その大部分はカメラワークからくるものでしたが、なんとも言いようのない吸引力があるんですよね。

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2020/06/06

ピンク・フラミンゴ

身の回りの衛生管理をしっかりやらなきゃならない時期に、ついにこの映画を見てしまったことを告白いたします。人生初です。それで、案の定、想像を超えたとんでもない映画でしたので、これは書き留めておかなければとこちらの記事を執筆しました。どえらいお下劣映画ですが、勇気のある方のみお読みいただけると幸いでございます。

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2020/04/23

フィフス・エレメント

『フィフス・エレメント』の公開は97年なので、私が大学1、2年くらいの時の作品ということになります。そのせいか、このタイトルを耳にすると、なんだか当時の新宿東口付近の様子が濃厚なまでに思い出されるんですよね。。。やはり「映画そのもの」と「それを見た場所」というものは、一つのセットで記憶に刻まれているものなんですね。


そんなわけでCINEMOREにてリュック・ベッソン監督作『フィフス・エレメント』について書かせてもらいました。
傑作『レオン』の後、リュック・ベッソンが果たしてどの方向へ向かうのか固唾を飲んで見守っていたら、誕生した映画が殊のほか、真逆の方向性を持ったユニークなものだったので、一緒に見た同級生たちとの間で「ようわからんが、面白い」という合意に達したのを覚えています。


映画の舞台は2263年。どうやら面白おかしい壮大な未来が待ち構えているようなので、2020年あたりでくじけてなどいられないなと思いました。

 

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2020/04/21

シネマディスカバリーズ

4月19日よりサービス開始となった定額制の動画配信サイト「シネマディスカバリーズ」。こちら、昨年の夏頃から色々とお話を伺っていたのですが、立ち上げた方の努力がようやく実ったかと思うと、私もちょっとだけ涙ぐんでしまうものがあります。スタッフの方々もまさか始動時の世の中がこんな状況になっていようとは想像もしてなかったはず。いま、映画の危機が叫ばれていますが、この新たな試みが単なる映画配信にとどまらない力強いムーブメントへと繋がっていくことを願ってやみません。

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動画配信サービスと言えば、NetflixやHuluやAmazonプライムビデオをはじめ、それぞれが異なる特色を持っているもの。その点、シネマディスカバリーズは街の大きな劇場ではあまりかからない、作家性の研ぎ澄まされたインディーズ映画を中心に編成されています。なので、ラインナップを覗いてみると「えっ!何!この映画!?」と驚かれるかもしれません。でもその「えっ!何!?」をぜひ新たな好奇心の入り口とし、独特な雰囲気を持った一本一本の世界観へと思い切り飛び込んでいただければと思います。多分、これまで触れたことのない感触や感情や体験へと連れて行ってくれるはずです。

私もレビュー執筆やインタビューなどでお手伝いしておりますが、執筆させていただくどの作品もびっくりするくらい個性的で面白く、作品の底知れぬパワーや可能性に吹き飛ばされないように、いつも気合を入れて鑑賞しています。レビューというとおこがましいですが、その時感じたこと、気づいたこと、素直な気持ちをできるだけわかりやすい言葉でお伝えできればと思っています。まだまだ走り出したばかりのこのサービス、どうか応援のほど宜しくお願い致します。

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2020/04/14

『ハスラー』(1961)

1961年に公開され、世界中にビリヤードブームを巻き起こしたと言われるこの渋い傑作、『ハスラー』について書かせていただきました。ビリヤード映画、ポール・ニューマンの出演作。そして、言わずと知れた25年後に公開される『ハスラー2』(マーティン・スコセッシ監督、トムー・クルーズ出演)の原点。そんな要素がつきまとう本作ですが、読み解くうえでもう一つ重要なのが「ロバート・ロッセン監督」の存在です。もっといえば、彼が直接的に影響を受けたハリウッドの赤狩りなどのことを踏まえながら見ると、また別の表情が浮かび上がってきます。とっつきにくい作品ではありますが、ご興味ある方は是非お読みいただけると嬉しいです。宜しくお願い致します。

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2020/03/18

ヒッチコック「間諜最後の日」(36)

真夜中に少しずつ見進めていくヒッチコック作品の数々。本日は1936年の『間諜最後の日』を楽しんだ。原題は"The Secret Agent"。 この前作にあたる傑作『三十九夜』(こちらについては過去に記事にしたこともあり)はジョン・バカンによる原作モノで、対する本作はサマセット・モームが原作。いずれの作者も諜報員だったり情報部に属する軍人だったりと、きな臭さでむせかえる世界情勢を読み解き、エンタテインメントに落とし込む才に長けていた人たちだ。

Secretagent

ただ『三十九夜』が英国内を確固たる動線をたどって駆け巡る躍動感に満ちているのに比べると、『間諜最後の日』は第一次対戦中の緊迫したヨーロッパが舞台でありながら、何が目的なのか漠然としていて、登場人物たちの目的遂行への意志も弱い。緊迫感や娯楽性の上では前作とはかなり格差が生じているのは否めない。ヒッチコック自身も書籍「映画術」(晶文社)のトリュフォーとの対話の中で、

「アイデアは決して不足してなかったんだが、映画は失敗作だったな。というのも、この種のアクション映画では主人公がはっきりとした目的を持っていて、その目的に向かって邁進しなければならない。それが映画そのもののアクションの展開の生命力になると同時に、観客が主人公に同化して完全に映画に参加するための助けになるわけだ。(中略)ところが本作の主人公には、目的があるとはいえ、それはむしろ、嫌々ながら果たさなければならない義務であって、できればそんな仕事を投げ出してしまいたいと思っている」(P.93)

と語っている。ただ、どうだろう。暗雲立ち込める第二次大戦直前の時代にこのような映画を製作するにあたって、主人公の男女が「人殺しなんてまっぴらごめんだ。この仕事を辞めて、一緒に逃げよう」と言い出したり、また敵のエージェントが残忍極まる悪役ではないところなど、決してステレオタイプに陥らない、陥らせないヒッチコックのこだわりが感じられる。彼は人間の心や信念の揺れを描くのが本当にうまい。ふとした瞬間、我々もまた、これが古典映画であることを忘れ「生身の人物」と接したかのような感情にさらされるのだ。

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2020/03/17

「The Fall 落下の王国」

ターセム・シン監督作『落下の王国』について書かせていただきました。公開時にも、この一筋縄ではいかない語り口に魅了され、「物語の湧き上がってくる場所(本作では、人と人とがふれあう狭間に”物語内物語”が生じていく)が面白い」と知人と語り合っていたのですが、その映画作りの裏側はもっと一筋縄ではいかないものでした。お時間ある方はぜひ、作品鑑賞と合わせてお読みいただければ幸いです。

ところで、本作はターセム監督が「この人と結婚して生涯を共にしたい」と心から願っていた恋人と破局を迎えたのを機に、制作が始まったとのこと。様々な映画の裏話を覗いていると、映画監督の中には自分の強みや長所よりもむしろ「何らかの苦しみや自分の弱さ」をバネにしてとんでもない名作を作り上げる人が多く、これは一体なんなんだろうな、と思わされます。

例えば、スピルバーグは自らの映画作りの原点について「僕はただ怖いと感じてるものを自分から取り出したかっただけだよ。(中略)怖くなくなって正視できるようになるから。そしたらやがて、自分がちょっとモンスターなものだから、みんなにも怖がってもらおうと思い出したんだ」「だから、僕にとっては(映画作りは)一種のセラピーだよ。自分の暮らしから追い出して、あなたがたの真ん中にドカンと置いてみた、みたいなこと」(J.リプトン著「アクターズ・スタジオ・インタビュー」2010/早川書房/酒井洋子訳)と語っています。

自らの感受性をうまく転換させて別次元へと放出する。あるいは、苦しみから少しずつ抜け出していく過程、魂が抜け出すかのように自分をどんどん俯瞰して見つめることで、そこに何らかの”表現すべき世界”が立ち上がっていく・・・そういった幾つかの心理的、精神的な作用すら思い浮かびますが、つまるところ私たちの苦しみや悲しみというものは、常に大きな力にもなりうるということなんじゃないかな、とぼんやり考える午後。

 

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2020/02/14

1917 命をかけた伝令

サム・メンデスが長回し撮影を駆使して第一次大戦の混沌たる戦場を描いた『1917』が公開を迎える。

個人的に、戦争映画というと『プライベート・ライアン』の冒頭場面が思い出されてやや臆病になってしまう私なのだが、今作は戦争の非情さは表現されても残虐描写が強調されることはなく、レーティングも「G」。むしろ、舞台演出家でもあるメンデスらしい独特の空間設計、時間設計が印象を刻む重厚作に仕上がっている。とりわけ、兵士が塹壕から戦場へ飛び出し周囲を見渡す時の、あらゆる生命が根こそぎ奪われた後の「からっぽ」感には言葉にならないほどの思いが迸った。これらは先人たちが築いた戦争映画で感じたことのないものだ。

そこに執念とでも呼びたくなるような「長回し撮影」が加わる。もちろん、長回しは目の前で何が起こるかわからない極限の緊張感と臨場感をもたらすもの。本作におけるこの手法をもう一歩進めて解釈すると「カメラが回り続けていること=兵士が生きていること」とも捉えうる。一つのミスもゆるされない途切れなき映像が、髪の毛一本分の境目で隔てられた生死とも重なり合い、そこに並々ならぬ状況と意味が生まれているのである。

こうして我々はまるで伝令を受けた兵士の一回生(一度きりの命)を体験するかのように一緒にほぼリアルタイムの旅を続け、いつの間にか、彼が戦場で感じたこと、触れた思いさえも同じ目線で共有するようになっている。まさに運命共同体である。

この映画に感銘を受けるのはそれだけではない。長回しでとらえる映像を決して単調なものには終わらせず、最初にひたすら塹壕を歩き回るあたりが序曲ならば、そこから飛び出して展開部を迎え、息をのむほどの迫真の戦場アクションや驚きに満ちた試練を乗り越え、その全てを集約するかのような壮大なフィナーレへとなだれ込んでいく。そんな徹頭徹尾、音楽的とも称したくなるほどのうねりの構造がしっかりと練られているのだ。

この光景が実際に広がっていた時代から100年が過ぎ、第一次大戦もすっかり過去の昔話として扱われがちだ。が、モノクロの記録映像に音声と色を施したドキュメンタリー映画『彼らは生きていた』と同様、これは当時の状況や兵士たちの感覚をヴィヴィッドに蘇らせることで歴史や記憶をつなごうとする、一つの試みでもあると思う。先日のアカデミー賞では有力作と言われながら惜しくも作品賞を逃したが、作り手たちの思いを結集させ、表現技術の限界にまで迫った傑作であることに微塵も変わりはない。

 

 

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2020/02/06

ENGLISH JOURNAL

アルクから出版されている「ENGLISH JOURNAL」最新号にて、映画『アイリッシュマン』に関する記事を執筆してます(巻頭および中ほど、計2箇所)。全国の本屋さんで発売中ですので、主演のロバート・デ・ニーロが朗らかに笑っている表紙を見かけたら、ぜひ手にとっていただけると嬉しいです。

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気がつけばアカデミー賞授賞式まであとわずか。『アイリッシュマン』も作品賞をはじめ複数の部門にノミネートされており、レジェンドともいうべきこの面々が映画界の大きな山をどこまで征服できるのか見ものです。

この雑誌にも、デ・ニーロ、スコセッシ、パチーノのインタビューが収録されているのですが、これがめっぽう読み応え、聞き応えありました。70代後半の彼らがどんな雰囲気で映画作りを行っているのか。現役の映画俳優で「セリフ?覚えてないよ」(パチーノ)とあれほど自信持って言える人がどれだけ存在するのだろうかーーーそれでもなお、見事なまでに演技を成立させてしまうんです。そこがすごいところ。これを読んだ上でもう一度『アイリッシュマン』を見ると、また違った面白さが味わえると思います。

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2020/01/17

カッコーの巣の上で

CINEMOREの原稿を手がけるようになって名作に触れる機会が増えました。これまであれこれ言い訳を作って逃げてきた名作たちがたくさんあるのですが、本当に面倒くさがり屋の自分が、最近ではヒッチコックを見て、スコセッシを見て、アメリカン・ニューシネマの数々、それから廃盤になってる作品も多いケン・ローチの映画もできるだけ執念深く探し回るようになったことに驚かされます。その効果は大きいと思ってます。鍵となる作品を一つ見ておくと新作映画を見ている際に「あっ!」と気づかされる点も多く、例えば最近の映画だと『ダウントン・アビー』のラストがヴィスコンティの『山猫』へのオマージュなのではないかという推測も瞬時に浮かんできました。

さて、その「食わず嫌い」だった作品の最たるものとして、心の中にはまり込んだ巨石のように『カッコーの巣の上で』という存在があったのですが、これをようやく鑑賞することができました。映画好きならば誰もが一度は聞いたことがある名作。勝手な想像で「暗くてつらい映画なのかな」と思っていたのですが、とてつもない躍動感に満ちた映画だったことに驚かされました。やっぱり映画を見る上で「先入観」などというものは邪魔になるだけですね。もっと思い切り飛び込まないと。CINEMOREにてこの作品について書かせてもらっていますので、お時間ある方は是非ご覧ください。

 

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