2020/10/23

『BRICK ブリック』

見たこともない新感覚が炸裂した映画にも興奮するが、その一方で、長い歴史のあるものとそれとは真逆の現代的な要素とが絡まり合って、ものすごい化学反応を起こしている映画にも興奮させられる。僕にとって2005年に制作された『BRICK ブリック』はまさにその最たるもので、試写室で見たときに「うーん、面白い!」と唸ってしまったのを覚えている。ダシール・ハメットの『マルタの鷹』の世界観をそのまま現代の学園内に置き換えたかのような、ちょっと特殊な感覚のハードボイルド映画だ。ボロボロ、フラフラになりながら走りつづける主演にはジョゼフ・ゴードン=レヴィット。監督はこれが初長編となるライアン・ジョンソン。二人の名前をずっと覚えておこうと心に誓ったのが昨日のことのようだ。あれから12年後、まさかジョンソンが『スター・ウォーズ』の監督の地位にまで上り詰めるなんて想像もしていなかった。ほんと人生ってわからないものだ。

というわけで、日本ではそれほど知名度が高いわけではないこの作品について。ご興味ある方はぜひご覧ください。

『BRICK ブリック』ダシール・ハメット流“探偵モノ”の舞台を学園内に置き換えた、ライアン・ジョンソンのデビュー作/CINEMORE

 

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2020/10/18

ジョー・ライト監督作『ハンナ』

もはやファミリー向けの売れ線しか置いてなくて使い物にならんと思い込んでいた近所のレンタル屋にロベール・ブレッソンが置いてあることが判明し、代表作『スリ』を借りた。先日、CINEMOREで取り上げたジョー・ライト監督作『ハンナ』に『スリ』がインスピレーションを与えているのを何かで読んだからだ。なるほど、動線や目線を大事にしながら、やがて訪れる決定的な瞬間に至るまでの状況と緊張感としなやかな体の動きを静謐に紡ぎだすこの一連の流れ。もはや神業というほかない。たとえお金はかかっていなくても自らのスタイルを維持し、ここまで鮮烈な印象を撮り切るところに強靭な作家性を感じる。それにしても、レンタル屋に行くと未見のタイトルばかりが目に飛び込んできて、自分の不勉強ぶりに恥じ入るばかり。そういったものから距離を置かず、一つ一つ攻略していくところにこそ、最大の喜びがあるわけだけれど。

 

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2020/09/17

『ディープ・インパクト』

あなたは『アルマゲドン』派ですか?それとも『ディープ・インパクト』派ですか?私はというと、1998年の公開時からずっと『ディープ・インパクト』派。SFスペクタクルのはずが、涙無くしては見れない人間ドラマと化している点も含めて大好きな映画です。そんな本作についてCINEMOREに書かせていただきました。ご興味ある方は是非ご覧くださいませ。

 

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2020/09/02

『FIGHTING CAMERAMAN』

2年前の福岡インディペンデント映画祭でのこと。一本の短編映画、それもたった9分半の作品が、僕の心臓をいとも簡単に握りつぶしてしまいました(いい意味で)。カメラが人に襲いかかるという展開だけでも相当面白いのですが、この『FIGHTING CAMERAMAN』は観る者を爆発的なテンションへと誘いつつ、僕にはどこか「表現すること」の”初心”へと立ち返らせてくれる映画のようにも思えてなりませんでした。

そんな本作がシネマディスカバリーズにてついに配信開始。光栄なことにそのレビューを書かせていただいております。しかも今回は『FIGHTING CAMERAMAN』だけでなく、坂田監督が手掛けるショートムービー版『宮田バスターズ(株)』も同タイミングで配信スタート。現在、この作品の長編版が制作中とのことですので、配信中の作品を見て興味を持たれた方は、ぜひ今後の坂田組の動向にもご注目いただければと思います。

なお、シネマディスカバリーズは月額料金が800円になったそうです。よりお手軽にインディペンデント映画を楽しむことができるようになりましたので、ぜひ一度、その世界を覗いてみていただければ嬉しいです。宜しくお願い致します(と言っても、私は単なるレビュー書きでしかありませんが)。

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2020/08/02

『コントロール・オブ・バイオレンス』

映画配信サービス「シネマディスカバリーズ」にて、石原貴洋監督作『コントロール・オブ・バイオレンス』のレビューを書かせていただいております。いやあ、この映画は面白かった。タイトル通り「バイオレンス」が一つのテーマではあるものの、何よりも登場人物の誰もが魅力的で、商店街のおばちゃんや町内会、ヤクザ、関東からの流れ者集団(渋川清彦の、決して”腕っぷし”ではない悪漢ぶりが最高)、さらに餃子屋のおっちゃんたちから、謎の殺し屋”能面”の存在に至るまで、相関図がどんどん広がって、それを自分の頭の中で組み立てていく感じがたまらない。映像のパワフルさ、じわり沁み込む人情模様、地元への底知れぬ愛情、スタッフ同士の絆がひしひしと伝わってきて、一瞬一瞬、どのように展開していくのかワクワクさせられました。

Cinemadiscoveries_logo_20200714004901

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2020/04/23

フィフス・エレメント

『フィフス・エレメント』の公開は97年なので、私が大学1、2年くらいの時の作品ということになります。そのせいか、このタイトルを耳にすると、なんだか当時の新宿東口付近の様子が濃厚なまでに思い出されるんですよね。。。やはり「映画そのもの」と「それを見た場所」というものは、一つのセットで記憶に刻まれているものなんですね。


そんなわけでCINEMOREにてリュック・ベッソン監督作『フィフス・エレメント』について書かせてもらいました。
傑作『レオン』の後、リュック・ベッソンが果たしてどの方向へ向かうのか固唾を飲んで見守っていたら、誕生した映画が殊のほか、真逆の方向性を持ったユニークなものだったので、一緒に見た同級生たちとの間で「ようわからんが、面白い」という合意に達したのを覚えています。


映画の舞台は2263年。どうやら面白おかしい壮大な未来が待ち構えているようなので、2020年あたりでくじけてなどいられないなと思いました。

 

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2020/03/17

「The Fall 落下の王国」

ターセム・シン監督作『落下の王国』について書かせていただきました。公開時にも、この一筋縄ではいかない語り口に魅了され、「物語の湧き上がってくる場所(本作では、人と人とがふれあう狭間に”物語内物語”が生じていく)が面白い」と知人と語り合っていたのですが、その映画作りの裏側はもっと一筋縄ではいかないものでした。お時間ある方はぜひ、作品鑑賞と合わせてお読みいただければ幸いです。

ところで、本作はターセム監督が「この人と結婚して生涯を共にしたい」と心から願っていた恋人と破局を迎えたのを機に、制作が始まったとのこと。様々な映画の裏話を覗いていると、映画監督の中には自分の強みや長所よりもむしろ「何らかの苦しみや自分の弱さ」をバネにしてとんでもない名作を作り上げる人が多く、これは一体なんなんだろうな、と思わされます。

例えば、スピルバーグは自らの映画作りの原点について「僕はただ怖いと感じてるものを自分から取り出したかっただけだよ。(中略)怖くなくなって正視できるようになるから。そしたらやがて、自分がちょっとモンスターなものだから、みんなにも怖がってもらおうと思い出したんだ」「だから、僕にとっては(映画作りは)一種のセラピーだよ。自分の暮らしから追い出して、あなたがたの真ん中にドカンと置いてみた、みたいなこと」(J.リプトン著「アクターズ・スタジオ・インタビュー」2010/早川書房/酒井洋子訳)と語っています。

自らの感受性をうまく転換させて別次元へと放出する。あるいは、苦しみから少しずつ抜け出していく過程、魂が抜け出すかのように自分をどんどん俯瞰して見つめることで、そこに何らかの”表現すべき世界”が立ち上がっていく・・・そういった幾つかの心理的、精神的な作用すら思い浮かびますが、つまるところ私たちの苦しみや悲しみというものは、常に大きな力にもなりうるということなんじゃないかな、とぼんやり考える午後。

 

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2019/10/10

SFハードアクション映画「アップグレード」

今や人間と自動音声ガイドやAIがバディを組む映画も珍しくは無くなった。それらの描写が一般化するまでには、「アイアンマン」や「ナイトライダー」や「2001年 宇宙の旅」など偉大な先人たちがいたことは言うまでもなく、最近でもインディペンデント映画ながら卓越した未来描写で自動運転AIと人間との関係性を描いた「センターライン」が注目を集めたのは記憶に新しいところ。で、こういったジャンルの最新版として是非押さえておきたいのが、「ソウ」シリーズで知られるリー・ワネルの監督、脚本作『アップグレード』だ。製作を担うのは低予算ホラーの雄、ジェイソン・ブラム。

舐めてかかると心底はまってしまう逸品である。ミニマルな未来描写にも心酔させられるのだが、何者かの襲撃で妻を殺され、自らも重傷を負った主人公がAIチップを埋め込むことで超人へと生まれ変わるあたりから、一気に面白さが火を吹く。ハードタッチのリベンジ・アクションであり、脳内ナビゲートするAIと主人公が会話しながら真相を追う相棒モノでもある。何と言ってもコンパクトながらしっかりとまとまったプロットが秀逸で、この先どうなっていくのか微塵も掴ませない。いやはや思いがけない拾いものだった。

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2019/09/14

「サムライ」(1967)

アラン・ドロン主演の名作『サムライ』について書かせて頂きました。

Lesamourai

フレンチ・フィルム・ノワールの傑作が描く孤高の生き様/CINEMORE

本作が公開されたのは僕が生まれる10年前なので、当時の日本人がどんな面持ちでこれを受け止めたのか、その確かな情景は想像するしかないのですが、今回はあくまで自分史に忠実に、自身がこの映画に触れるきっかけとなったジム・ジャームッシュの『ゴースト・ドッグ』という映画を導入部に置きながら綴ってみることにしました。お前がメルヴィルを語るなんて100年早い!と言われそうですが、もう恥も外聞もない年頃なので、生きているうちにできるだけ多くの名作世界へ潜り込み、できるだけわかりやすい言葉でお伝えしてければと思います。

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2019/09/08

「追跡者」U.S.Marshals

映画『追跡者』について書きました。

スピンオフという概念を、この時代(20年前)に堂々と振りかざすことのできた『追跡者』は、駄作か良作かといった単純な議論を超えた、かなりの先駆者だったーーーー。

Marshals

TLJは今とさほど変わりませんが、こうしてみるとRDJはやっぱり若いですね。当時33歳。薬物がらみでいろいろお騒がせしてきた彼を面白い役で使っている点でも、非常に画期的でした。その反面、彼は撮影に来なかったり、メディアに対してこの映画のことをボロクソに貶していたりもしていたそうで。多分、相当コンディションが悪かったのだろうなあと予想するわけですが。「アリーmy Love」で途中降板してしまったのも懐かしいですね。そんな彼が今やハリウッドを代表する有名人の地位にまで上り詰めているわけですから、本当に人生は何が起こるかわからないものです。

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