2020/03/17

「The Fall 落下の王国」

ターセム・シン監督作『落下の王国』について書かせていただきました。公開時にも、この一筋縄ではいかない語り口に魅了され、「物語の湧き上がってくる場所(本作では、人と人とがふれあう狭間に”物語内物語”が生じていく)が面白い」と知人と語り合っていたのですが、その映画作りの裏側はもっと一筋縄ではいかないものでした。お時間ある方はぜひ、作品鑑賞と合わせてお読みいただければ幸いです。

ところで、本作はターセム監督が「この人と結婚して生涯を共にしたい」と心から願っていた恋人と破局を迎えたのを機に、制作が始まったとのこと。様々な映画の裏話を覗いていると、映画監督の中には自分の強みや長所よりもむしろ「何らかの苦しみや自分の弱さ」をバネにしてとんでもない名作を作り上げる人が多く、これは一体なんなんだろうな、と思わされます。

例えば、スピルバーグは自らの映画作りの原点について「僕はただ怖いと感じてるものを自分から取り出したかっただけだよ。(中略)怖くなくなって正視できるようになるから。そしたらやがて、自分がちょっとモンスターなものだから、みんなにも怖がってもらおうと思い出したんだ」「だから、僕にとっては(映画作りは)一種のセラピーだよ。自分の暮らしから追い出して、あなたがたの真ん中にドカンと置いてみた、みたいなこと」(J.リプトン著「アクターズ・スタジオ・インタビュー」2010/早川書房/酒井洋子訳)と語っています。

自らの感受性をうまく転換させて別次元へと放出する。あるいは、苦しみから少しずつ抜け出していく過程、魂が抜け出すかのように自分をどんどん俯瞰して見つめることで、そこに何らかの”表現すべき世界”が立ち上がっていく・・・そういった幾つかの心理的、精神的な作用すら思い浮かびますが、つまるところ私たちの苦しみや悲しみというものは、常に大きな力にもなりうるということなんじゃないかな、とぼんやり考える午後。

 

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2019/10/10

SFハードアクション映画「アップグレード」

今や人間と自動音声ガイドやAIがバディを組む映画も珍しくは無くなった。それらの描写が一般化するまでには、「アイアンマン」や「ナイトライダー」や「2001年 宇宙の旅」など偉大な先人たちがいたことは言うまでもなく、最近でもインディペンデント映画ながら卓越した未来描写で自動運転AIと人間との関係性を描いた「センターライン」が注目を集めたのは記憶に新しいところ。で、こういったジャンルの最新版として是非押さえておきたいのが、「ソウ」シリーズで知られるリー・ワネルの監督、脚本作『アップグレード』だ。製作を担うのは低予算ホラーの雄、ジェイソン・ブラム。

舐めてかかると心底はまってしまう逸品である。ミニマルな未来描写にも心酔させられるのだが、何者かの襲撃で妻を殺され、自らも重傷を負った主人公がAIチップを埋め込むことで超人へと生まれ変わるあたりから、一気に面白さが火を吹く。ハードタッチのリベンジ・アクションであり、脳内ナビゲートするAIと主人公が会話しながら真相を追う相棒モノでもある。何と言ってもコンパクトながらしっかりとまとまったプロットが秀逸で、この先どうなっていくのか微塵も掴ませない。いやはや思いがけない拾いものだった。

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2019/09/14

「サムライ」(1967)

アラン・ドロン主演の名作『サムライ』について書かせて頂きました。

Lesamourai

フレンチ・フィルム・ノワールの傑作が描く孤高の生き様/CINEMORE

本作が公開されたのは僕が生まれる10年前なので、当時の日本人がどんな面持ちでこれを受け止めたのか、その確かな情景は想像するしかないのですが、今回はあくまで自分史に忠実に、自身がこの映画に触れるきっかけとなったジム・ジャームッシュの『ゴースト・ドッグ』という映画を導入部に置きながら綴ってみることにしました。お前がメルヴィルを語るなんて100年早い!と言われそうですが、もう恥も外聞もない年頃なので、生きているうちにできるだけ多くの名作世界へ潜り込み、できるだけわかりやすい言葉でお伝えしてければと思います。

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2019/09/08

「追跡者」U.S.Marshals

映画『追跡者』について書きました。

スピンオフという概念を、この時代(20年前)に堂々と振りかざすことのできた『追跡者』は、駄作か良作かといった単純な議論を超えた、かなりの先駆者だったーーーー。

Marshals

TLJは今とさほど変わりませんが、こうしてみるとRDJはやっぱり若いですね。当時33歳。薬物がらみでいろいろお騒がせしてきた彼を面白い役で使っている点でも、非常に画期的でした。その反面、彼は撮影に来なかったり、メディアに対してこの映画のことをボロクソに貶していたりもしていたそうで。多分、相当コンディションが悪かったのだろうなあと予想するわけですが。「アリーmy Love」で途中降板してしまったのも懐かしいですね。そんな彼が今やハリウッドを代表する有名人の地位にまで上り詰めているわけですから、本当に人生は何が起こるかわからないものです。

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2019/08/03

スパイ・ゲーム(2001)

トニー・スコット監督が2001年に手がけたサスペンス・アクション『スパイ・ゲーム』について書きました。

Spy_game

ヘリ撮影シーンから垣間見えるトニー・スコットの意匠/CINEMORE

CINEMOREでは先々週にロバート・レッドフォードの俳優引退作『さらば愛しきアウトロー』について取り上げ、先週はブラッド・ピット主演の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』について書き、その流れで私の中で二人に関する興味関心が高まっていたこともあり、あまたあるトニー・スコット作品の中から本作をチョイスさせて頂くことに。他の作品について読みたかったと思われる方もいらっしゃるかもしれません。またの機会がありましたら書いてみたいと思います。

その他、CINEMORE執筆記事はこちらから。

映画.comの執筆記事はこちらから。

 

 

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2019/08/01

ワイルド・スピード スーパーコンボ

いよいよ明日から公開となる『ワイルド・スピード スーパーコンボ』について書きました。

ソリが合わないという点では全くぶれない二人の最強バディ・ムービー/映画.com

暑い夏にあえて激辛メニューを食べるかのような限界越えムービー。小難しいこと一切なく、頭を空っぽにして楽しめる作品です。

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2019/07/27

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

いよいよ全米公開を迎えたクエンティン・タランティーノ最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』について書きました

タランティーノが万感の想いで描く、映画界の激変期”1969年”へのラブレター/CINEMORE

2時間41分、タランティーノの映画愛がぎっしりと詰まった素晴らしい作品です。TVスター役のディカプリオと彼の専属スタントマン役のブラッド・ピットが織り成す、おかしくも深くて強い絆がまた最高。観る側の自分もまた、この街の濃密な記憶をゆっくりと泳ぎ渡っていくかのようでした。日本公開は8月30日。気になった方は是非お読みくださいませ。

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2019/06/28

スパイダーマン/ファー・フロム・ホーム

日本で6月28日(金)に世界最速公開を迎える『スパイダーマン/ファー・フロム・ホーム』のレビューを執筆しました!

『スパイダーマン/ファー・フロム・ホーム』レビュー/映画.com

最高に面白くて楽しくて、2時間9分、まさに至福のひと時!

ぜひ!

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2019/03/06

スパイダーマン:スパイダーバース

『スパイダーマン:スパイダーバース』のレビューを執筆しております。気になった方は是非ご覧ください。

祝オスカー受賞!ヒーロー映画の常識を覆す、興奮、陶酔、驚愕の大傑作/映画.com

今年のアカデミー賞。「作品部門」のオスカーを獲ったのは『グリーン・ブック』でしたが、一方、日本からは細田守監督の『未来のミライ』がノミネート入りして注目された「長編アニメーション部門」を制したのは、『スパイダーマン:スパイダーバース』でした。ディズニー/ピクサー以外の作品がこの部門の頂点に立つのは実に久々なのだそうです。試しに遡ってみると・・・

2018年 スパイダーマン:スパイダーバース
2017年 リメンバー・ミー
2016年 ズートピア
2015年 インサイド・ヘッド
2014年 ベイマックス
2013年 アナと雪の女王
2012年 メリダとおそろしの森
2011年 ランゴ(←ディズニー/ピクサー以外) 

こうして並んでいる作品群を見ると、子供から大人まで様々な世代が楽しめる作品ばかりだと思います。でも『スパイダーバース』は、むしろ大人たちの方が歓喜してスクリーンに釘付けになってしまうような、とにかく描き方と世界観がとてつもなくユニークな作品でした。

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2019/03/03

ミッション:8ミニッツ

ダンカン・ジョーンズ監督による長編第2作目『ミッション:8ミニッツ』(原題:Source Code)について執筆しました。

Source_code_2

衝撃のループワールドから浮かび上がるダンカン・ジョーンズの作家性/CINEMORE

ジョーンズ監督といえば、『ウォークラフト』でやや失速してしまった感も強いのですが、やはり彼の持ち味はテクノロジーと人間が相まみえることで予想もつかないドラマが生まれていくところ。改めて彼のフィルモグラフィーをひもといてみて、『月に囚われた男』と本作『ミッション:8ミニッツ』も素晴らしさに感銘を受けました。付け加えると、彼が初期に手がけたショートムービー”Whistle”もなかなかの秀作。やはり彼は、『ウォークラフト』よりもこういった路線の映画の方が唯一無二の輝きを放てるのではないかと思います。

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