2018/03/26

ビッグ・シック

アカデミー賞の脚本賞にノミネートされた『ビッグ・シック』について、CINEMOREに二本の記事を書かせて頂いております。

Bigsick

一つ目は「オスカーノミネートを果たした夫婦脚本家の執筆術」、もう一つは「映画界に風穴を空けたコメディ出身者たちの視点とは?」。この映画、本当に面白くて、感動的で、観た人全てを幸せな気持ちにさせてくれる映画です。ぜひ映画とあわせてご覧いただければ幸いです。

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2017/07/15

忍びの国

リアルサウンドにて『忍びの国』のレビューを執筆致しました。すでに公開から2週間ほど経っていますが、本作を受けて感じたことを書かせていただいております。

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2017/02/07

BFF<ベスト・フレンド・フォーエバー>特集

NeoLというウェブサイトでは、先月末からBFF<Best Friends Forever>特集と称して様々なカルチャーを紹介する記事が連続アップされています。

先月末の大統領就任から、ニュースを見るたびに心が折れそうになっている人も多いことでしょう。嫌になってSNSを開くのをやめてしまった、という話もよく耳にします。世界的に排他的な考え方が広がり、なおいっそうの分断が進むかもしれない中、もう一度、人と人とがつながりあうことの意味を考えてみたい。そんな思いを込めて私も、BFFという視点で5本の映画作品を選出してみました。どの作品も、見終わった後にしっかりとした後味が心の中に沁み込んでいくものばかりです。もしご覧になっていない作品があれば、この機会に是非。

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2017/01/23

人魚姫

人魚姫と言っても『少林サッカー』や『カンフー・ハッスル』のチャウ・シンチー監督作なので、そう一筋縄でいく作品ではない。なんとも奇怪で、ナンセンスなコメディにして、現代社会に警鐘を鳴らすテーマ性をも内包したラブ・ファンタジー・・・と何が何だかわからない感じですが、とりあえず中国のみならず世界で大ヒットを遂げており、世界興収で見てみるとなんと昨年の12位にランキング。いったいどのような作品なのか、おそるおそる覗いてみました。

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というわけで、『人魚姫』をレビューしています。ご興味ある方は覗いてみてください。ちなみに本作の序盤にとてもダンディーな富豪の男が登場するのですが、この人、よく見ると巨匠のツイ・ハークでした。チャウ・シンチーが以前に手掛けた大ヒット作『西遊記』の続編は、このツイ・ハークが監督を務めているとのこと。こちらの仕上がりも非常に楽しみです。

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2016/12/01

私の少女時代

青春映画『私の少女時代』についてレビューしています。台湾では2015年の興収NO.1を記録し、その余波はアジア諸国にも拡大しているというメガヒット作です。

台湾の青春映画ってどこか日本の80年代、90年代を思い出させる懐かしさがあるんですよね。特に本作はヒロインの少女時代をフラッシュバックさせていることもあり、90年代の要素てんこ盛り。タイプカプセルを開いたかのようなノスタルジーが胸に広がっていきます。また、 この映画は”アンディ・ラウ”というアイコンを非常に特殊な形で語りの手法に取り入れており、その大胆さにも思わずニヤリ。

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2016/09/25

カンフー・パンダ

NETFLIXで『カンフーパンダ3』が独占配信されているこのタイミング、これまで全く手をつけていなかった映画3部作を一気見してレビューしました。

『カンフー・パンダ』がマイペースに築き上げた不動の地位/リアルサウンド

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世界で安定した人気を獲得し続けているその内容とは?入門編としてご覧いただければ幸いです。

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2016/03/01

マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章

3月5日公開のイギリス映画『マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章』のレビューを執筆しました。

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国宝級の名優たちがインドで舞う。爽やかな味わいに満ちた人生賛歌/映画.com

前作の封切り日、私はたまたまイギリスに滞在していたのですが、第一回目の上映を観ようとボックスオフィスにに向かうと、そこには見たこともないほどの長い列。しかも皆さん、見事なまでに中高年の方々ばかり! この国で女王様から”デイム”を授かった女優の持つ力はすごいものなのだなと思い知らされました。

そんな前作の世界的なヒットを受けて、新たな第二弾が誕生。今回はアメリカ勢がリチャード・ギアやデヴィッド・ストラザーンが参戦して華麗な人間模様を彩ります。機会は少ないものの、ジュディ・デンチとマギー・スミスが交わすやり取りも見どころ。

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2015/06/09

海街diary

吸い込まれそうな光。打ち寄せる波。古くて広い鎌倉の家に暮らすこの四姉妹の物語は、幅広く支持を集めるコミックの映画化ながら、これまでの是枝裕和監督作ともにわかに繋がっているかのような印象さえ受けた。いや、もっと言えば、物語の中のみならず、どこか僕らが暮らす日常とも確かな連続性があって、この世界の片隅に本当に彼女たちが生きている、そんな意識を自ずと芽生えさせる作品だった。

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2014/01/17

【レビュー】オンリー・ゴッド

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映画.comにて『オンリー・ゴッド』のレビューを執筆しております。監督は北欧の奇才ニコラス・ウィンディング・レフン、主演はライアン・ゴズリング。そう、あの大ヒットを飛ばした『ドライヴ』のコンビですね。カーアクションとサスペンスとラブロマンスが心地よく交錯する『ドライヴ』はレフン監督の強烈な個性を見事に中和して生まれた香り高いブレンドだったわけですが、今度の『オンリー・ゴッド』はとにかく容赦なし。まさにレフン節全開。前作で観客の脳裏に染み付いたクールさやスタイリッシュさを塗り返すかのように、とてつもない強烈な世界観が炸裂(錯綜?)しています。

カンヌでのお披露目以降、本作をめぐっては「賛否両論!」との言葉無くしては語れないほど様々なリアクションが入り乱れている状況にあります。さてそんな中であなたの審美眼はこの怪作をどう観るでしょうか?ただし心臓の悪い方はくれぐれもご用心を。

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2013/06/23

【レビュー】3人のアンヌ

 ホン・サンスと言うと韓国のウディ・アレンと呼ぶ人もいるようだが、僕の感覚からすると韓国のつげ義春といった感じだ。あの一連の泥臭さ、飄々とした抜け具合、そしてしんみりとした寂寥感はつげ義春の漫画を読んだ後に押し寄せてくる余韻と似ている。それはホン・サンスの映画がたとえその舞台をフランス・パリに移動させた(『アバンチュールはパリで』)としても一向に変わらなかった。つまるところ、場所が異なってもそこに巻き起こるストーリーは変わらない。そこが世界のどこであってもホン・サンスはいつも同じ歩調のまま、独自の鼓動、独自の間合いでワールドを刻むのだ。

 それはフランスの大女優イザベル・ユペールを、よりにもよって何もない韓国の海辺へ招聘してしまった本作でも、やっぱり同じ結果だった。

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 しかもこの設定の妙は何なのだろう。冒頭にひとりの韓国人女性がツラい現実から逃げるかのように「私は脚本を書くことにした。主人公はフランス人。以前、映画祭で逢った女性監督をモデルにした・・・」とほんの1シーンで(それこそコントの冒頭の状況説明のように)但し書きを描写し、次のシーンで本当にその空想の世界を実写化して現前させるという、ある意味で強引な、でもそれがホン・サンスだからこそ許される、観客と監督との間での特殊な交渉術でもあるかのような語りの導入手法がそこにはあった。

 そしてタイトルが「3人の」と示すように、このシチュエーションは3度繰り返される。つまり冒頭の韓国人女性は3つの短編脚本を書き、そのいずれにも「ひとりの外国人」を登場させているというわけ。本編ではもちろんユペールがその3者をすべて演じている。だからこそ「3人」なのだ。

 けれどこの時、設定をよく理解できない観客はこう思うだろう。「この3人は同一人物?それとも別人?そして3つのエピソードは全く別のお話?それとも連続モノなの?」

 この混濁こそ、本作の醍醐味と言える。そもそもホン・サンスの映画には明確な決めごとなどなく、海面を漂うクラゲのように飄々としたところがある。

 3つのエピソードはいずれも、外国からやってきた女性が海辺を歩くうちにライフセイバー(海で溺れている人を助ける人)と出逢い、言葉もあまり通じない中で甘いやりとりを繰り返す、という点で一致している。けれどこれらが折り重なるうちに、3つのエピソードがまるで3度の輪廻転生、およびパラレルワールドの創出を果たしていくのを感じるのだ。

 繰り返しに思われたそれらは一瞬たりともおなじ展開をはらんでいない。それどころか時おり、ほぼ同じ同心円上をまわる物語どうしがお裾わけをもらうみたいに、少しずつ繋がっている。それに気づいた瞬間、胸には多幸感が押し寄せ、顔にはニヤリとした笑みが浮かんだまま消えなくなっていた。「ホン・サンス、やりおるな」と感じた。

 この構成は裏を返すとちょっとした俳優論としても成立する。イザベル・ユペールに限らずあらゆる俳優は作品ごとに違うキャラクターを演じなければならない。この映画が終われば次の役柄、そしてまた次の役柄へと変化を遂げる。しかし同じ俳優が演じている限り、そこには本人が意図せずに生み出したひとつの連続性が刻まれている。『ピアニスト』で壮絶な役を演じたユペールも、本作で自然体のヒロインを演じたユペールもどこかで繋がっている。同じ一人の人物。俳優にとってすべての出演作はパラレルワールドに等しく、俳優とは常に輪廻を余儀なくされた職業ということもできるだろう。

 その「どこかで繋がっている感覚」を仄かに臭わせるホン・サンスの匙加減が微妙に優しくて、海風や潮の香りが肌をなでていくかのように心の潤いを感じさせる。

 海の向こう、世界は果てしなく広いが、しかしこの小さな海辺で、世界はひとつの完結を迎えているような気さえ芽生えてくる。

 このとことんまでにミニマムな物語。誰かの創作で始まったはずの世界感は、いつしか語り手の手元を離れて飄々と浮遊していった。これは華麗なる「空想逃避のすすめ」なのだろうか。否、嫌なことがあったとき、人は誰でも楽しい事を考えて気を紛らそうとするもの。

 『3人のアンヌ』はそうした創造力の基本原理に抗わず、身を委ねた末にある風景を思わせる。この脚本を書き終えた女性の表情は映らない。が、自分の手のひらの上でひとつの物語性を完結させた彼女の表情は、それが世界最小のミニマルさであるとはいえ、きっと晴れやかであったに違いない。物語には、創作という行為には、そういった隠された力がある。。

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