2019/08/26

恐怖を克服するのに有効な方法

私は有名監督の「まだ何者でもなかった頃の話」が大好きなのだが、こと「アクターズ・スタジオ・インタビュー」で聞かれたスピルバーグの少年時代にまつわる話に惹きつけられた。一人の学生が「あなたが誰もが知る“スティーヴン・スピルバーグ”になる前、ご自身の中に表現者としての潜在的な可能性を感じてましたか?」と尋ねて、スピルバーグはすかさずこう返す。

「そんなものあるわけない。ゼロだよ、ゼロ!」。

まだ何者でもなかった頃、彼は「怖いと感じるもの」をたくさん抱えた子供だったという。と同時に、その恐怖をどうにかして克服したかった。ではどうすれば? 導き出した答えは「心の内側の恐怖を取り出して具現化すること」。そうやって真正面から正体を見極めることで恐怖は克服できる。だが彼の場合、それがちょっと行き過ぎてしまったようだ。次第に「僕の中のモンスター(スピルバーグ談)」な部分が顔を出し、怖いと感じたものを他人に突きつけて怖がらせようと色々やりだすーーーーつまり、その延長線上に『激突!』や『JAWS』のような傑作群があることは明らかだ。「僕にとってそれは一種のセラピーのようなもの」。自分の体験を記憶の中に閉じ込めることなく、皆で共有する。ここにもスピルバーグ作品を紐解く上での重要なポイントが隠されている。

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2019/08/25

スピルバーグ、もう一つの第一歩

偉大なキャリアにはその道を踏み出した第一歩がつきものだ。ちょうど先日、『アラビアのロレンス』に関する原稿の中で、スピルバーグが監督になろうと本気で決意したきっかけについて書いたばかりだが、それ以前にも彼が“動くイメージ”そのものに興味を持った瞬間があったそうだ。

名物番組「アクターズ・スタジオ・インタビュー」でその“きっかけ”として挙がったのは、チャールズ・ディケンズの名著「二都物語」。どうやら学校で読書感想文か何かの課題が出されたようなのだが、彼は当時、この本にちっとも興味が持てず、どうしていいものかと悩みながら時間を持て余すうちに、気がつくと「読む」のではなくページの隅っこに一生懸命パラパラ漫画を描いて遊んでいたそう。で、いま改めて振り返るとこれが1フレーム、1フレームを意識しながら“動くイメージ”を作り出した最初の一歩だった・・・というわけ。

誰もが敬意を捧げる威厳ある古典作品と、その片隅にひっそりと描かれた簡易なイラスト。キャリアの第一歩には現在に通じる何かしらの共通点が見つかる場合が多いが、この組み合わせにも、まさに今日の彼へと通じる「スピルバーグらしさ」がほとばしっているかのようだ。

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2018/12/24

聖夜はやっぱりこの映画!

幼少期に『グレムリン』を観たことは、自分の中のクリスマス観を決定づける大きな転機になったと思っています。

街が、食卓が華やげば華やぐほど、いやいやちょっと待てよ、ここには何か落とし穴があるんじゃないのか・・・・・・と警戒してしまうのです。とりわけこの映画のヒロインの告白は衝撃的でした。クリスマスと聞くだけであれほど胸が引き裂かれるほどの悲しみを感じる人がいるなんて。未だに年末年始に浮かれそうになるたび、心のどこかにあのエピソードが思い出されます。まるで、クリスマスだからこそ、自分とは全く境遇や立場の異なる誰かに思いを馳せよ、と言われているかのような。

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こういった大切な気持ちを教えてくれたジョー・ダンテとスピルバーグとギズモには感謝しています。本来クリスマスは、かくあるべきものだとも思うのです。

そんなわけで、過去に書いた『グレムリン』の原稿をご紹介。

・『グレムリン』 新鋭監督ジョー・ダンテが譲らなかった「ざわつくクリスマス」

・もっと残酷でグロかった!? 学生の脚本をヒット作に昇華させた、スピルバーグのプロデュース術

ヒロインが語る「人生最悪のクリスマス」エピソードを死守すべく、ジョー・ダンテがスタジオ側ととことん闘った舞台裏などについて書いています。ご鑑賞のお供としてぜひご覧くださいませ。メリー・クリスマス!

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2018/09/14

インナースペース

昔懐かしの映画『インナースペース』について書きました。いざ鑑賞するとすごく面白いのに、実際に観ている人、覚えている人はとても少ないように思える本作。製作総指揮はスティーヴン・スピルバーグ、監督は『グレムリン』でおなじみのジョー・ダンテです。

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・SF、バディムービー、アクション、コメディ、80年代特有のごった煮感をスマートに昇華させた傑作『インナースペース』

・興収は悪くてもVHSではヒット!80年代の巨匠、ジョー・ダンテが贈る名作SFコメディ『インナースペース』

当の私はというと、小学生の頃に観て、一週間くらい大興奮してしまったクチ。奇しくも現在公開中の『アントマン&ワスプ』と同じ”サイズ・チェンジ”ムービーとしても、意外と多くの共通項を持った作品ではないかと思います。ご興味ある方は、ぜひご覧ください。

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2015/07/29

ジュラシック・ワールド

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暑い日が続いてますね。お変わりありませんか? 映画界の夏興行もいよいよ本格化。『マッドマックス』に『アベンジャーズ』、『ターミネーター』ときて、さらに『ジュラシック・ワールド』、『ミッション:インポッシブル』と人気シリーズの最新作が目白押し。

そんな中から、8月5日より待望の日本公開となる『ジュラシック・ワールド』のレビューを映画.comにて執筆しております。気になっている方はぜひご一読の上、今や世界興収、北米興収ともに歴代3位にまで昇り詰めた(いずれも1位、2位にはジェームズ・キャメロンの『アバター』と『タイタニック』が君臨)この大冒険ムービーに備えて頂ければ幸いです。

思えば、スピルバーグが1993年に『ジュラシック・パーク』を放ってから22年もの月日が経過しました。今回のシリーズ第4弾で何よりも嬉しいのが、映画のストーリーも観客と同じく22年分の歳月を経ているということです。だから、いやがおうにも22年前、ブラキオサウルスがスクリーン一杯に首を伸ばしていたシーンのことなどが蘇ってきてしまう。現に、あの頃は親に手を引かれて映画館に足を運び、気がつけば今回は自分がお子さんの手を引く立場になっている方も多いはず。そうやって自分史と重ね合わせて映画が楽しめるのもこのシリーズの醍醐味と言えるのでしょう。

そして、これは大人になってから気付いたことなんですが、スピルバーグにおける1993年はまさに奇跡的ともいえる年でもあり、同年に『ジュラシック・パーク』と『シンドラーのリスト』を公開しているんですね。過去のエピソードを紐解くと、これらはほぼ同時期に製作されていて、『ジュラ』の撮影を何とか終わらせてからポーランドへと飛び、そこで日中は『シンドラー』を撮りながら、空いた時間で『ジュラ』の特殊効果のチェックも行っていたのだとか。

僕らからすればあまりに両極端の荒業に思えるんだけれど、こうやって両極共に針が振り切れている状態だったからこそ、互いに反動を付けながら自分を限界にまで追い込むパワーを引き出し得たのではないかと思うのです。そして何よりも『シンドラー』があったからこそ、『ジュラシック・パーク』にはまるで願いをこめるかのように人間の創造性や夢見る喜びといったものが縦横無尽にあふれていたのではないでしょうか。

今回の『ジュラシック・ワールド』では、まさにスピルバーグの子供世代とも言えるコリン・トレボロウが監督のバトンを引き継いでいます。彼は僕よりもひとつ年上だから、恐らく映画館で93年に受けた原体験も似通ったものだったはず。そんな彼が長編第二作目にあたる本作でプレッシャーを撥ね除けて見事にやり遂げてくれたことが本当に嬉しかった。ちなみに彼の前作『彼女はパートタイムトラベラー』も素晴らしい作品なので(日本では未公開でDVDスルーなのですが)、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。

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2012/11/13

【NEWS】スピルバーグ新作SFにアン・ハサウェイ出演

EMPIRE誌によると、アン・ハサウェイがスピルバーグのSF"Robopocalypse"に出演することを認めたという。本作は現在"Lincoln"のプロモーションのために大忙しのスピルバーグの次回作になるものとみられている。

ダニエル・H・ウィルソンのベストセラーを原作にした"Robopocalypse"はロボット反乱後の地球を描いた物語。ハサウェイの他にもクリス・ヘムズワース、ベン・ウィショー、ジェマ・アタートンらの出演が予定されている。

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2012/09/26

【NEWS】スピルバーグ新作キャスト候補にベン・ウィショーも追加

年末には"Lincoln"の米公開を控えるスティーヴン・スピルバーグ監督だが、すでにその先の新作"Robocalypse"に向けてキャスティングが進んでいる。

ダニエル・H・ウィルソン原作によるSF黙示録とでもいうべき本作は世の中にあふれたロボットが一斉に蜂起した後の人類の運命を描いたものだ。すでに『マイティ・ソー』のクリス・ヘムズワースが主演交渉入りしており、『ダークナイト・ライジング』や『レ・ミゼラブル』のアン・ハサウェイもヒロイン候補として話が及んでいるが、米ヴァラエティ誌によると現段階でこれらのキャスト候補陣にさらにベン・ウィショーも追加されている模様。

"Cloud Atlas"や『007/スカイフォール』に出演するウィショーが打診されているのは物語で重要な鍵を担うハッカー役とのこと。正式なオファーはまだ出されていないものの、可能性を探る段階で接触が行われているようだ。

ドリームワークスと20世紀フォックスが手を握って制作される"Robocapypse"は2014年4月25日に公開予定。

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2012/08/08

【画像】スピルバーグ最新作『リンカーン』

Entertainment Weekly誌がスティーヴン・スピルバーグ監督作"Lincoln"の初出しスティールを公開している。ダニエル・デイ=ルイス扮するエイブラハム・リンカーンの様子はこれまでにも幾度かパパラッチにより隠し撮りされたものが伝わってきており、極限まで役作りを突き詰めることで知られるデイ=ルイスのリンカーンのなりきり様が話題になってきた。そのシンボリック性は今回のスティールにてますます加速。まるで蝋人形の館を訪れた気分に浸ってしまうほどだ。

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ドリス・カーンズ・グッドウィンによる原作「リンカン」を基にした本作は、第16代大統領が生きた最期の4ヶ月を中心に、奴隷解放宣言を下し、南北戦争を終わらせるために粉骨砕身する姿が描き出される。出演はデイ=ルイスのほかにサリー・フィールド、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、トミー・リー・ジョーンズ、デヴィッド・ストラザーン、ジェームズ・スペイダーなどなど。アメリカでの公開は11月16日。

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2012/03/16

【NEWS】ジュラシック・パークも3D化

Jurassic 『ライオン・キング』『リトル・マーメイド』そして『ファインディング・ニモ』をはじめとするディズニー&ピクサーの大ヒットアニメやジェームズ・キャメロンの大ヒット作『タイタニック』、そして『スター・ウォーズ』6部作に至るまで、今や3D化の勢いが不朽の名作群へと押し寄せる中、ついにこの映画『ジュラシック・パーク』も3D化されることが決定した。公開日は2013年7月19日を予定。

1993年に公開された本作は世界興収9億1500万ドルをマークしており、この3Dリバイバル公開を経るとスピルバーグ監督作として初となる「10億ドル」越えを達成することが予測される。

また、スピルバーグは2013年の7月3日に自身の監督作"Robopocalypse"の封切りを予定しており、もしも両作ともに順調に製作されたなら、昨年の『タンタンの冒険』と『戦火の馬』の同時期公開に匹敵するほどの“スピルバーグ祭り”がまたもや実現することとなる。

なお、目下、スピルバーグ指揮下で『ジュラシック・パーク4』の企画も進行中。スピルバーグは製作のみに徹する模様で、監督には『ジュラシック3』や『キャプテン・アメリカ』を手掛けたジョー・ジョンストン?という可能性も示唆されている。

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2012/02/15

【NEWS】タンタン2はピーター・ジャクソンが監督予定

2011年はスピルバーグが初の3Dアニメーションを世に送り出した記念すべき年となった。アメリカではそれほど振るっていない『タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密』だが、ワールドワイドに視野を広げれば興収3億7000万ドル越えのヒット。製作陣も予定通り3部作構想の次回作に向けて動き出しているようだ。

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Total Filmが直接スピルバーグから聞き出したコメントによると、この企画の立役者であるスピルバーグ&ピーター・ジャクソンの間には当初より「おれが1作目を監督するから、きみは2作目をよろしく!」と言う約束があるらしく、スピルバーグ自身は2作目も続投したいが「ピーターがやらなきゃならん」とのこと。現在、『ホビット』2部作を製作中のピーター・ジャクソンはこれを終え次第、すぐにエルジェの世界へ“監督”として帰還することになりそうだ。もちろんスピルバーグもプロデューサーとして本作にかかわる。

ちなみに『ユニコーン号の謎』はエルジェの原作3冊分(「なぞのユニコーン号」「金のはさみのカニ」「レッド・ラッカムの宝」)の要素を合わせた内容だったが、それでは続編はどうなるのだろうか。スピルバーグは「どの原作をベースにするかはまだ言えないよ」とコメント。以前、プロデューサーのキャスリーン・ケネディが"The Calculus Affair"(「ビーカー教授事件」)というタイトルを示唆したことについても「まだ決定には至っていないんだ。(ケネディは)きみの書く記事を混乱させようとしているのかもね!あるいは本当にそうかもしれない。ぼくも『ビーカー教授事件』は好きだよ。ありえるかもね」。

実際の進捗状況としては、「ようやく物語のあらすじが固まったところだ。目下、脚本家がこの仕事にあたってくれている。どの原作になるかは公言しないけれど、(前作は3冊分だったに対し)今回は一冊以上、2冊以下ってところかな」。

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