2016/04/05

渡英していました

3月の後半、所用のため渡英しておりました。

出発直前にベルギーでの惨劇があったものですから、到着する頃にはかなりの警戒態勢を予想して内心不安が募っていたのも事実。ですが、いざ着いてみるとピリピリしたムードを感じさせない穏やかな空気が流れていました。しかしこれは何も警戒を怠っているわけではなく、ピリピリしたムードを感じさせない配慮が働いていたのだと思います。現に街中にはいつもと変わらず多くの防犯カメラが作動しており、警察官や係員の持つ無線機からは終始、カメラの監視側と連動した事細かな連絡が飛び込んでくるのが聞こえましたからーー。

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夜のテムズ川沿いを歩くと、夜景が美しすぎて、どこまででも歩いてしまう。引き返すポイントを完全に見失ってしまいます。

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テムズ川にかかる橋の上に位置するBlackfriars駅からの眺め。遠くにうっすらとタワーブリッジが見えるでしょうか。右手の天を衝く三角すいのような建物はShardと呼ばれる高層建築。煙突がトレードマークの建物は発電所をリノベーションしたテート・モダン(現代美術館)。

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英国ではおなじみの寿司チェーン「yo! sushi」。キャッチフレーズが「ここは〜」ではなく「これは〜」なところに、アリスの不思議な世界へ迷い込んだようなパラレルなジャポニズムを感じます。

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テムズ川沿いに位置するこの建物はどこでしょう?と質問するのも野暮ですね。ジェームズ・ボンドの勤務先としてあまりに有名となりました。映画の中では何度も破壊されていますが、健在です。

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絢爛豪華な国会議事堂は、様々な偉人たちの彫像で囲まれています。個人的に最も良い位置を確保しているのがこの勇壮に馬に跨り剣を振り上げる王。獅子心王とも呼ばれたリチャード一世です。

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ロンドンでは必ずBFIに足を運ぶことにしています。今回はそこで行われたBBC製作の新作ドラマ「The Hollow Crown」の第2シリーズのプレビュー上映も鑑賞。シェイスクスピアによる戯曲をもとにしたこのシリーズですが、ヘンリ−6世統治下を舞台にした今回のシリーズでは薔薇戦争が中心に描かれ、後半ではリチャード3世をベネディクト・カンバーバッチが怪演。この日はヘンリ−6世役のトム・スターリッジと、グロスター公役のヒュー・ボネヴィル(「ダウントン・アビー」や「パディントンでも有名ですよね」)を招いてのQ&Aも実施。

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2012/08/01

【LONDON】タヴィストックの思い出

10年前に新調したパスポートが遂に期限切れを迎えた。ということは、私が大英博物館近くのタヴィストック広場でマハトマ・ガンジーの座像と初めて出逢った時分からもうざっと10年近くの歳月が流れたこととなる。

それ以来、ロンドンを訪れるごとに、ハイドパークではなく、リージェント・パークでもなく、なぜかこのタヴィストック広場に通うようになった。そこは不思議な磁力でもって人を引き付ける、心休まるのどかな広場なのだった。そして今回訪れた時にもガンジーは相変わらずその場に鎮座していた。

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なぜ私がタヴィストック広場に惹かれるのか。それは10年前、心細くブルームスベリー地区を歩いていたときに見つけたこのガンジー像が同じアジア人としてとても心強く思えたというのもあるのかもしれない。そしてこの広場内には広島の原爆犠牲者を追悼して植えられた桜の木や戦争時の徴兵忌避者を記念する碑や作家ヴァージニア・ウルフの記念碑まである。なにか様々なレベルの要素が入り乱れ一貫性に欠ける気もするが、それでもこの広場には穏やかなる平和への希求がある。それらが放つ磁力といったものは実際にこの場を訪れてベンチに腰をおろしてみなければわからないだろう。

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すぐ近くにはイギリスの国民的作家チャールズ・ディケンズの住居跡を示すブループレートが。タヴィストック広場にはそのような文豪たちの偉業をたたえる意味合いも込められているという。

ところが私はつい最近になって初めて、このタヴィストック広場に関する思いがけない事実を知ることとなる。それはロンドン市民ならば誰もが決して忘れることのない日付「2005年7月7日」に関することだった。

その日、通勤客が行き交うこのエリアにて複数の自爆テロが発生した。犠牲者56名。中でもこのタヴィストック広場の真横ではダブルデッカーが爆破され乗車していた13名が命を落としていた。それは非暴力、非服従を訴え続けてきたガンジーの鎮座するまさに向かい側で起こった出来事だった。私にはテロリストが寡黙に瞑想を続けるガンジー像にこの世の絶望を見せつけたかったのではなかったのかと感じられてやまない。

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よりによってロンドン市内で最も平和への希求が捧げられてきた場所でこのような悲劇が巻き起こってしまう運命には言葉を失ってしまう。そしてそれらの事件の舞台であったとは露も知らない自分が、事件前も事件後も相変わらずこの広場に惹かれ続けて幾度も足を運んでいる事実にも不思議な運命性を感じた。

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訪れたのは7月21日。すでに7日の追悼日からは2週間が経過していたが、いまだ多くの花が捧げられていたのですぐにその位置を特定することができた。通行人は誰もが必ず足を止め、中央にあるプレートを見つめ、去って行く。

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In memory of those who were killed in the bomb attack on a route 30 bus near this spot on 7th July 2005. London will not forget them and all those who suffered that day.

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目の前でどんな悲劇が巻き起ころうとも、そこにじっと座り続けることを余儀なくされたガンジー像。タヴィストック広場には益々もって穏やかな時間が流れ、昼食時には私と同じようにこの場所に惹かれた多くの人がベンチで手作りサンドウィッチを大事そうに包みから開けて懸命に頬張っていた。中東系の浅黒い肌のおばあさんはこれが昼食後の楽しみなのだと言わんばかりに、ビニル袋から目一杯に詰め込んだパン屑を掴みだしては一定間隔でばら撒き、何十羽もの鳩たちによる祝福を浴びていた。この光景だけを見つめていると、ほんの7年前に起こったテロの悲劇など存在しなかったかのようだった。

我々はそうやって穏やかな日々を地道に積み重ねることによってのみ、平和への希求の成果を計り知ることができるのかもしれない。

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2012/07/28

【LONDON】

相変わらずの曇天模様ではありますが、トラファルガー広場からピカデリー・サーカスに抜ける通りには各国の国旗がはためき、歓迎ムードが高まっていました。

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2012/07/24

フロイト博物館 Freud Museum London

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ロンドンはフィンチェリー・ロードの閑静な住宅街にあるフロイト博物館を訪ねました。かの有名な精神分析学者ジグムンド・フロイトがナチスドイツからの亡命後、晩年を過ごした邸宅です。

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2012/07/21

英国でもダークナイトが初日を迎えました

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クリストファー・ノーランのお膝元のイギリスでも『ダークナイト・ライジング』が封切られました。私も行きつけのピクチャーハウス・シネマでの初回上映(午後13時)のチケットを握り締め、いざ、出陣。

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2012/07/20

ブリティッシュ・フィルム・インスティテュート

英国映画の促進から古い映画のアーカイブ、そしてシネマテークに至るまでを司るブリティッシュ・フィルム・インスティテュート(BFI)。テムズ河沿いのロンドン・アイからほど近いところにあるこの場所では、ロンドンの映画愛好家や研究家のために新作と旧作、古典を織り交ぜた様々なプログラムを上映しています。例えばこの日などは新藤兼人の作品なども上映されていました。劇場のお許しをいただいて、劇場内の写真を一枚。

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2012/07/18

イギリス滞在中

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2012/07/15

【イギリス滞在中】

ただいまロンドンにいます。オリンピックの影響でさぞや大混雑かと思いきや、意外にも秩序正しさが保たれていて、今年の2月には1時間半並びっぱなしだった入国審査も、ものの5分で通過。

そのほか列車などの公共サービスも実にスピーディー。その代わり、係員も列車の車掌も以前のように無駄口叩いてくれたりはしません。礼儀正しさを保ちつつも、もはやこちらの顔さえ見ていない感じです。大量の観光客の流入が予想される今夏、まずはスピード主義で臨む体制が出来上がっている印象を持ちました。かといって全てが機械的なわけではなく、客の方から問いかけがあればその都度きちんと目を合わせて答えてくれます。要は無駄がなくなっているというわけです。

さて、本日はロンドン博物館やテートギャラリー、そしてブリティッシュ・フィルム・インスティトュートにも足を向けてみようと思います。

ちなみ滞在先は高級ホテルなどではなく、ロンドン市内にある大学の学生寮。こちらでは学生の休暇中に部屋を一般客に貸し出すホテル業務が行われています。オリンピック期間、市内ならば一泊2万以上とも言われる中、ここでは朝食付きで、なおかつ驚くべきロケーションの良さ(テートモダンの真裏なので、昨夜も閉館の10時まで館内にいました)。学生寮ゆえ無味乾燥で狭苦しくはありますが、最低限のものがあれば満ち足りる自分にとっては最高の環境です。何にも増してここは木賃宿などとは違って施設内の治安が保たれていて安心です。

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2012/02/25

The Woman in Black ~英国滞在中Vol.4~

これまでにも何度となくすばらしい作品群を授けてくれた映画館”ピクチャーハウス”で、ダニエル・ラドクリフ主演のゴシック・ホラー"The Woman in Black"を鑑賞。映画の中身もさることながら、客席には僕ただ一人という、ホラーを味わうにはあまりに条件の揃いすぎた環境で上映がスタートした。

せっかくなので記念写真を一枚。

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ハリー・ポッター卒業後のラドクリフが亡き妻の幻影を感じながら幼い息子を育てる父親役を好演している。そんな父子にしばしの別れ。法律事務所の仕事でとある遺産問題に決着をつけるべく、人里離れた田舎町へ向かうことになる。しかし到着するや、村人たちはなぜか彼によそよそしい態度をとる。やがて明らかとなっていくその理由。この村では子供たちが次々と死へ誘われた過去があった。

そんな迷信など信じぬと、向かう先は曰く付きの屋敷。

彼がそこに足を踏み入れたとき、あたりには誰もいないはずなのに、物陰から黒衣の女性がこちらをじっと伺っている様子が目に映る。ある時には室内。それも彼のすぐそば、そして耳元にも・・・。

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スーザン・ヒル原作、いまや舞台作品としても世界的に有名になった本作を、あの伝統と鮮血の雄“ハマー・フィルム”が映像化(最近では「モールス」などを手がけている)。「キックアス」や「X-MENファースト・ジェネレーション」などで知られるジェーン・ゴールドマンが脚本を担当している。監督は"Eden Lake"で注目を集めたジェームズ・ワトキンス。村に漂う重苦しい空気や屋敷内の調度品、剥製、玩具の数々。そして徐々に本格的に高まっていく黒衣の女の脅威。どこか「リング」やタイのパン兄弟のホラー映画のような趣向なども彷彿とさせながら、暗闇に浮かび上がる呪いの表現も手を代え品を代え、実に巧みに織りなされている。

ホラー映画は交響曲と同じで、そのボルテージの醸成が上手ければ上手いほど、表向きの怖さとは別にある種の恍惚さが高まっていく。よく知られた物語をその世界観を完璧に把握、制御しながら繊細に味付けしている。そんなこだわりが十分に伝わってくる作品だった。

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イギリス滞在中Vol.3

ストラットフォードを離れ、地下鉄でピムリコ駅へ。ここで階段を駆け上がる途中で蒲田行進曲ばりに転倒してしまい、周りにいた男性に「なんてこった!大丈夫ですか!?」と抱え起こされるというハプニングもあり。幸い大事には至りませんでしたが、まだ左足が腫れています。

英国に滞在する折にはよくここへやってきます。テートギャラリー。

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現在はピカソ展のまっただ中ということで盛り上がりを見せているこの美術館ですが、常設展の鑑賞はすべて無料です。ここで必ずお目にかかることにしているのがこの絵

Dscn2773 ジョン・エベレット・ミレーによる「オフィーリア」です。ごぞんじシェイクスピアの「ハムレット」に登場する悲劇のヒロインをモチーフにした作品です。エベレット・ミレーをめぐっては現在このような映画企画も持ち上がっており、これがどうなるのかも気になるところ。

工事中の部分にはこんな幕が掛けられていました。

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工事が完成した暁にはここに描かれているような大行列が茶飯事の光景となるのでしょうか。またテートと通りを隔てた公園ではこんなモニュメントを見つけました。

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角度を変えて見ると、

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彼らが見上げるものは何なのか分かりませんが、それが例え辛く悲しいものだったとしても決して俯かない、そんな平凡だけれども力強い精神状態を喚起させてくれます。

すぐそばにはテムズ河。その対岸にも不可思議な建築物がたたずんでいます。

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橋の向こうの建物を、僕は密かに「バルタン星人」と呼んでいます。

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